生身の肉体を持ち、超常の存在の力を行使するには限度があった。オヌマ達との初戦も私と一朗太は白い空間で戦っていた時より弱体化していたことがわかったのだ。おそらく魔蛇との戦いによる消耗もあったのだろう。
ザクロとブラッドオレンジの錠前、創世の力を取り付けた戦極ドライバーを使用するには全盛期の力の覚醒が必要だった。
無論、異界の果実の錠前の力を使う私も同様だ。
私と一郎太は創世の力を使うベルトを新たに作ることを決めた。赤いカラーリングに果物を搾るジューサーとストロー、上品なコップのような意匠を持つ創世のベルト・ゲネシスドライバー。レアメタルを原料に私と一朗太の疑似的な黄金の果実の力によってそれは作り出された。もちろん、このベルトも天才科学者の発明品で一朗太がかつて違う姿と名前を持っていた頃に生み出したザクロの錠前とセイヴァーアローのオリジナルもこのゲネシスドライバーが基なのだ。
基本装備は創世の赤い弓矢・ソニックアロー。ゲネシスドライバーと共通する意匠を持ち、アーチェリー型の武器だ。
エネルギーの矢で敵を射抜き、接近戦では弓本体にあるアークリムという刃で敵を切り裂く。
さらにそれだけではないロックシードを装填できる部分があり、属性の異なる能力も行使できる。
変身に使用するロックシードも特殊で炭酸水ごとき新世代の果実、エナジーロックシードを使うのだ。
このエナジーロックシードも私と一朗太、その子孫以外の使用を認めなかった。
パワーに優れたレモンエナジー、超高速能力を与えるチェリーエナジー、超感覚能力を与えるピーチエナジー、電磁バリアなど防御力を高めるメロンエナジー、そしてすべての能力を超越したドラゴンフルーツエナジー。
とくにドラゴンフルーツエナジーは高出力に加えてパワーが有り余るため、私と一朗太による細心の注意を払った調整が施された。
この龍の果実の名を持つ錠前は試作品が暴走して怪人化、完成品とも言える物は超絶科学力を持つ知的生命体によって生み出され、私と一朗太は後者をベースに作り直した。
私の娘と一朗太の息子がベルトの使用者として未熟な場合、もしくは孫と一緒に戦う際はこのベルトと錠前を使う事を託した。
そして、おそらく孫の代で複雑怪奇に揉めることは間違いない。それでもこの世界を託せるのは私と一朗太、信頼できる仲間のみなのだ。もちろん、私達の汚らわしい行いを許さなくていい。それでも・・・助けてほしい。いかなる方法でも。
それが私が死んでも守ると決めた世界と人間達への変わらぬ願いだ。
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