銀色のチェーンメイル型のアンダースーツにザクロとブラッドオレンジ(右肩のみ)の鎧を身に着けた鮮血の救世主の名を持つ黒い魔弓と剣の戦士。
銀色の鎖帷子型のアンダースーツに異世界の果実の鎧を身に着けた踊り子のごとき妖精の名を持つ魔法の槍の女戦士。
前者が私の愛する者で、後者が私自身だ。
いろいろ長く語りたいが、脱線しそうなのでこちらも少し省略させてもらう。
以上に述べた18人で魔蛇が率いる無数の怪物軍団に特攻を開始した。
怪物軍団には獣人のような怪人タイプ、生物そのものを巨大化させたような怪獣タイプがおり、まさに地獄の軍団だった。
すでに生きているとも、死んでいるとも言えない超常の存在になった我々の戦いは互角だった。
先に述べたはじまりの仮面の戦士とそれを生み出した『神』の戦いと何ら変わらず、膠着状態の再現でしかなった。
魔蛇と試練の勝者は埒の開かない状況を打開する術をほぼ同時に互いに思案した。
決断は魔蛇のほうが早かった。
魔蛇は自身の力、偽りの黄金の果実の力、使役する怪物達を糧に『神』の暴走の再現を行った。
ほとんど不意打ちだった。
核兵器の大爆発のようでそうではない破壊が再び起こる。
巨大なガラス細工が壊れるような光景が今度はより身近になる。私たちが立っていた大地、周囲の景色、上空に亀裂が生じる。
その瞬間、すべてが砕けた。
周囲に宇宙ではない、真っ白な空間がどこまでも続いていた。
その空間にジグソーパズルのように先ほどの景色が写った破片、いや、ガラス片のようになった『世界』の破片が無数に舞っている。
敗けた。遅いか早いかの違いで敗けた。
※元投稿はこちら >>