「この化学式は、黒板に書いあるようにこうなります。、、、、」
麻衣の目に一瞬理科室の端に置かれた骸骨の標本に目が止まり昨日の事が脳裏に蘇った。
思わず金縛りにあったように動きが止まった。
「(あっ、いけない。、、昨日の事思い出しちゃった。しっかりしないと! )」
口に手を当てて咳払いをし唾をゴクリと飲んで気を取り直して授業を進めた。
「、、そうすると00+▽=Yとなります。」
静かな教室にいつものように麻衣の声が響いた。
「キンコンカンコーン、、」
スピカーからいつものようにチャイムが鳴り響いた。
「今日は、ここまでにします。」
すると地味で真面目そうな女生徒が慣れないで恥ずかしそうに
「起っ立、」
と言うと同時にガラガラと椅子を引き摺る音が気怠そうに教室中に鳴り響いた。
「礼ッ」
生徒の黒い頭が不揃いに前に傾き、麻衣も頭を傾けた。
髪肩まで届く黒い艶々した髪が可愛く揺れる。
「これで今日の授業は、全部終わったな。」
誰も居なくなったガランと鎮まり返った教室で 麻衣の薄っすら紅い唇が開きふうっっと溜息が漏れた。
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