もうすぐ時間になる
何度繰り返しても、この時間だけは馴れない
長く感じる一秒を誤魔化すために、空想を進める
途中で否定してはいけない
その胡散臭い、古本屋のすみに積まれていた怪しい本が、何度も何度もひつこいくらい繰り返した注意事項を、心臓がバクバクと高鳴り汗が吹き出すほどの緊張の中、なんとか守りながら進めた
否定してはいけない
押し付けなければいけない
たとえ意見が矛盾しようとも、その2つを守った
好きなものを思い浮かべさせ、言わせ、それを否定せずに認める
好きなものを快楽だと決め付け、押し付け、納得していなくても次に進める
不安を煽り、不安を取り除くための方法を教え、救いの体を無理矢理に保ちながら次の会話に進む
犬を愛らしいとゆう虚ろな目をした彼女の意見を、否定せずに認めたうえで、本当は犬になりたいんだよと押し付ける
そうじゃないと、力なく否定する言葉を無視したまま、撫でられたら嬉しい、撫でられたい、誉められたら嬉しい、誉められたい・・・貴女はそれを望んでいるんだよと決め付け押し付ける
ばれたら恥ずかしい、誰かに知られたら困ると、ありもしない不安を煽り、毎日ここに来れば、ここならば誰もいないから大丈夫だと不安を取り除く
犬のように鳴かせて、鳴いたことを誉めながら、誉められたら嬉しいだろうと押し付ける
犬なのに服を着てはいけないと押し付け、脱いだら頭を撫で、撫でられたら嬉しいだろうと押し付ける
犬のように床を這わせ、それを誰かにみられたら困ると不安を煽り、俺と一緒にいるから大丈夫だと不安を取り除く
誰にも知られないためにはここに来なくてはいけない
犬になりたいからここに来なくてはいけない
その事を強く刷り込むために何度も何度も繰り返した
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