波打ち際から小さく動くものが目に止まった。
(ン?蟹か?)
小さな蟹が波打ち際からでてくるとまた海の中に消えていった。
すると波間からまた、大きめの薄赤い甲羅をした蟹が姿を表した。
(また蟹が現れたな。今度のは、結構大きぞ。)
蟹は、波と遊んでいる。
(そうだ、あの魔術試してみるか?)
もう、忘れかけていたあの魔術を奇跡的に思い出した。
(確か呪文は、スペリオン セーバーだったな。)
蟹を見つめながら指先に全神経を集中して蟹の甲羅が中央になるように、十時を切りながら
「動くなよ、よし今だ。、スペリオン セーバー、」
蟹はピクリとすると、動く気配がない。
蟹を見ながら、目をひだりに動かした。
(ウ、、動いた!まさか偶然なのか?)
試しに目を右に向けてみた。すると蟹は右に動いた。
(これ、偶然じゃないぞ!)
挟みを上に上げるようにイメージした。すると蟹も両手の挟みを上に持ち上げた。挟みを開いて閉じるようにイメージするとその通りに挟みを動かした。
(偶然じゃない。魔術が効いてる。流石に前後には、動かないだろうな?)
前に進む様にイメージしてみた。が蟹はプルプル震えて動かない。
(やっぱり前後は、無理か!ちょっとしたラジコンみたいだな!)
ふと砂浜に寝そべった白いビキニが目に浮かび上がった。
(この蟹を近づけてみようか、でも流石にバレるかな?でも彼女お酒を飲んでたら気づかないか?)
美女の近くにチューハイの缶が置いてある。
(ゆっくり近づけば、気づかれないか?やってみよう、なんかドキドキしてきた。落ち着け。)
顔を両手でゴシゴシ擦って気持ちを落ち着かせた。
(彼女の視界に入らないように左後ろ斜めから、音をさせないようにように近づけられるか?)
全神経を蟹に集中し、ゆっくり動かしてみた。蟹は抜き足刺し脚忍び足、ビキニ美女に近づいて行く。
(いい横歩きだ。これぞ忍法蟹歩き!)
などと勝手に必殺技をイメージして、薄赤い蟹が白いビキニ美女にサラサラした砂に小さな足跡を残しながら近づいて行く。心臓が高鳴る。
(ドキドキするな。)
スベスベの背中にホワイトビキニブラの紐、綺麗な蝶々結びにゴクリと唾を飲んだ。
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