興信所のバイトは人生の見方を変えてくれた。というか、女の子達の性欲の強さを教えてくれた。そりゃあそうだよな、それがなければ、人類滅んじゃうなんて思いながら、卒業後の就職についても悩み始めた頃だった。
興信所のバイトはけっこうな収入になったし、時には盗聴器で女達のヨガリ声を聞きながら、オナニーすることだってできる美味しい仕事だったけれど、これを続けても未来はないような気がしてた。
本郷のキャンパスで笑われものになってた男子学生がいた。そいつは、みんなにシル シルって呼ばれていた。どうやらシルは汁男の略語で、汁男とはAVに素人さんとして呼ばれて、女優にフェラで抜かれて精液をホントに出しちゃう男のことだ。
皆があざ笑う須永と呼ばれる男に聞けば、きっとAV業界への足掛かりがつかめる—-そんなふうに考えて、学食で接触した。
ここの席いいですか?須永は振り向きもしない。カレーを食ってる。いきなり切り出してみた。
「俺、あの業界、、、いや違うな、実はね、君が知ってる業界に興味があるんだ。」
ちょっと見上げた目には驚きと用心深さが半分ずつ混じって浮かんだ。
しばらく目を伏せてカレーを平らげてから、こっちをしっかり見て、「いいよ、今度、連れてってやる」と言って、手帳を開いて来週の水曜日11時に水道橋の駅で待ち合わせとなった。
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