本格的な春を迎えて日中は、すっかり暖かくなった。桜が散ってからは急速に気温も上る日も多くなった。
G.Wを前に初夏を彷彿させる日もしばしば見られるようになり、着るものに戸惑うのもこの季節。
真由美はこの日、白い半袖のブラウスをトップスに選び、上下はやや濃い目のミルクティー色をしたスカートスーツを身に着けていた、
スカートはセミタイトの膝上7〜8センチ程度という可も不可もない、そんなミニ丈で未だ健在の脚の美しさを嫌味なく披露させていた。
バス停に並ぶ人に続いて日差しに照らされていると、そろそろ日焼け止めが必要だと感じさせられる。今日の気温を見越して早くも半袖の人も見られるようになり、誰もが上着を脱いで腕にぶら下げている。
真由美もご多分に漏れず上着を脱いで、首筋に浮いた汗をハンカチで軽く押さえる仕草を見せていた。白い肌に控え目なチェーンネックレスが輝く様が色気を醸し出し、鎖骨の辺りを見詰める男たちの存在に真由美は気付く素振りはない。
程なくして到着したバスに、待ち人たちが次々と乗り込んでいく。車内はまだ冷房を効かせる気はない運転手のお陰で、座席に座る何人かが少しだけ開けた窓から、心地のいい風が舞い込んでくるのが救いになる。
座席に座る人の心理として風の心地よさに眠気に誘われ、吊り革に掴まって横に立つ人に有るか無きかの気まずさが余計に瞼を重くさせていく。
それは真由美の周辺に立ち並ぶ男たちの存在が、気になってのことかもしれない。真由美の右隣に立つ女性は、自分のすぐ後ろと左後に男性の存在を感じ、何となく気になりはしても、余程のことがない限り視線を向ける気はなかった。
不穏な空気を感じたわけではない、異性としての本能的な行動が、そうさせるに過ぎないだけだ。真由美は右肩にバッグをぶら下げて右手を吊り革に、左腕に上着を掛けて見るともなく車窓に視線を向けていた。
それこそ何の変哲もない、午後の外回りの最中に過ぎなかった。
男の前には薄っすらと汗の臭いに芳香剤が混ざった香りを漂わせる、そんな女の後ろ姿がある。
バス停で見かけたときから既に、狙いは定めてあった。
半袖で薄手のブラウスを身に着けるその背中にはブラジャーの形を浮き出させ、今にもホックを外したくなる。女子高生や若い女の子もいいが、どちらかと言えば色気のある30代以上の女であればあるほど、そそるというものだ。
お尻も垂れた形をしておらず、細身の女にありがちな貧相なわけでもない。
堪らないじゃないか………。
挨拶代わりにと、そのお尻にそっと触れてみる。
びくっ……とさせた女が、身体を硬直させた。
撫で回しても後を気にする素振りを見せはするけれど、騒ぐつもりまではないようだった。
いたずらに注目を浴びたくない女は少なくないものの、我慢の限界を迎えたらどうなるのか……。
その時はその時として、こちらは複数の仲間がいるからなんとでもなる。勘違いだ何だと何人もの仲間が言い寄れば、大抵の女は萎縮してしまう。
スカートを手繰り寄せ、裾を掴んで持ち上げる。
指に珍しい感触を覚え、これだから大人の女は堪らないのだと思わせてくれる。
ストッキングを吊るガーターベルトのストラップを指で浮かせ、弾いてみる。コスブレやある種の趣味で身に着ける若い女の子がいることは知っているが、普段使いをする大人の女に巡り会うなんて、実に久しぶりのことだった。
止まらぬ興奮を乗せた指先を、股の下に忍ばせていく………。
これから大事な取引先に向かうというのに、自分の不運を呪いたくなった。騒ぎになれば時間を取られ、待ち合わせの時間に間に合わなくなる。
そればかりか恥ずかしい情報が先方に伝わりかねず、それだけは頑なに避けなければと思わずにはいられない。
ガーターベルトに気付いた男が喜ぶ様が、その手から伝わってくる。彼等のような輩には卑猥なものとしか認識しないけれど、ストッキングを吊るす為のものにしか過ぎないというのに……。
今はほとんどのセパレートストッキングに肌擦れが起きにくいように、シリコン加工が施されている。でもそれは肌の弱い女性には、肌にかぶれを引き起こす弱点がある。シリコン加工のされていないタイプはあまり出回っていない現実を踏まえると、裏地を直接にあてない加工をしなければならない。
すると当然、ストッキングはずれ落ちてしまう。
だからガーターベルトが必要になってくるのだ。
慣れてしまえばそれほど面倒臭いとは思わなくなり、ラグジュアリーな気分も味わえる。女だからできるお洒落を楽しめる喜びは、小さな幸せを感じさせてくれるのだ。
それを汚すのはいつだって邪な気持ちを抱いて歩く、この類のクズな男たちだった。股の下に伸ばされてきた指が前後に揺らされる。女のここを知り尽くしたようにクリトリスを探り当てるのは、簡単だっただろう。真由美のそれは、特別な大きさなのだから……。
男の手がショーツを潜り込んできた。
お尻の丘の上を伝い落ちていく手が秘裂に辿り着き、指先がクリトリスに触れた。
真由美が頭をぐらりっ…と揺らし、唇を噛む。
意地でも感じまいとする真由美を嘲笑うかのように、幾重にも押し寄せる波が理性にしがみつく指を、一本……また一本と引き剥がしていく。
滲み出てきた分筆液を由比様気に絡め、虫に刺された我が子の肌に、塗り薬を優しく染み込ませるかのように、クリトリスを可愛がられていく。
残念ながら真由美の理性は脆くも崩れ去り、裏の女の顔が目を醒ましつつあった。
座席に座る乗客がコホンッ……と1つ咳をしたのにも関わらず、反応すらできなくなっていた。
真由美が辛うじてできた行動は、腕にもった上着で不自然に短くなったスカートの前側を、やっと隠すのだけ。
とろ〜んとした目で快感に抗う理由を見つけられないまま、バスは進行していく………。
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