なんとなく目が覚めて目覚まし時計を手に取ると、セットした時間の10分前だった。早起きをする習慣が身についてからというもの、目覚まし時計のアラームが鳴る時刻が近づくと、自然と目が覚めるようになったのは学生のとき以来かもしれない。
ベッドから起き上がると台所で一杯の水を飲む。
それからナイトブラを脱ぎ捨ててスポーツブラを身に着けると、下もスパッツを身に着ける。
Tシャツをトップスにして髪の毛をポニーテールに作ってから玄関でスニーカーに足を突っ込み、静かに玄関の扉を閉めた。
早朝の済んだ空気を胸いっぱいに吸い込んで、ゆっくり吐き出す。入念なストレッチを済ませると束ねた髪の毛を揺らしながら、真由美は軽やかに走り出した。
1時間後には家族の朝食を作るために帰宅しなければならず、シャワーを浴びる時間を逆算すれば30〜40分しかないジョギングである。
真由美がこの習慣をはじめてから、もうすぐ半年になろうとしている。何も考えず無心になれるこの時間は貴重であり、心をリラックスさせることができるのだ。
昔培った杵柄ではないけれど、若い頃より固くなった身体もストレッチを続けているうちに胸が床に付くようになり、膝を曲げないでもバレリーナのように顔の横まで足が上がるまでに戻ったのだ。
身体が辛かったのは2〜3週間だけで、特に最初の一週間は辛かったが、乗り越えてしまえば何でもなくなった。本来なら8の字に揺れる胸もサポート力のあるスポーツブラのお陰で上下にしか揺らさず、膝を高く上げて走ることに役立ってくれている。
犬を散歩させる人とすれ違い、新聞配達を終えた帰りの配達員がいつものように真由美を追い抜いていく。やっぱり身体が重いな……と、学生時代との違いを痛感させられるけれど、近頃お腹周りとお尻に付き始めた贅肉は、きれいさっぱりと消え去ってくれた。
自分の年齢を考えれば僅かなものかもしれないけれど、下着を身に着けたときに肌に食い込むあの感じは、どうしても許せないのだ。特に若い世代と交わることが多い女としては、気になってしまうではないか……。
手足が長く均整の取れた容姿は身に着ける衣類を選ばず、スーツもパンツ、タイトスカートも気兼ねなく身に着けられることは自分の肯定感に繋がる。
自分を狙う異性を喜ばせる側面はあるけれど、女としてはどうしても譲れないことだっだ。
それは女として求められる実感を得られ、女としての喜びを味わえるのだから………。
身体の汗を慌ただしく洗い流し、化粧水を肌に馴染ませると人数分のベーコンエッグとサラダを並べ、トーストとコーヒー、スープをテープルに置く。
食べ終わった順に家族が靴音を鳴らして玄関から出ていくと、戦争のような朝が一段落する。手早く後片付けを済ませ、メイクと身形を整え終えると真由美は妻と母の顔からキャリアウーマンの顔になって、パンプスを鳴らして玄関を飛び出していった。
金曜日にもなると、蓄積した疲れが身体がだるくて嫌になる。駅の階段を降りていくとホームに立ち並ぶ人の列が、いつもの代わり映えしない光景を伝えてくる。
いつもの位置に並んぶと、急に目が覚めたように気分が良くなっていた。艶のある黒髪を肩まで伸ばし、実は前髪も同じ長さにしていることを知っている。毎朝同じ時間に見かけているから、分かるのだ。
年齢の判断は容易につけられず、はっきり言ってよく分からない。若くても30代半ばを過ぎた辺りといったところで、40に手が届くかどうかといった印象を受けていた。
同僚の女性は向上心からがつがつとして疲れてしまうし、30歳に近づいた今は結婚を意識して男の品定めに余念がない。年下の女の子は求めるものが多くて辟易させられるし、落ち着きと余裕を感じさせる歳上の女性に癒やしを求めてしまうのは至極、当然のことだった。
このところパンツスタイルばかりだったはずが、今日は久しぶりにスカートを履いている。細身の身体ではあるものの、細過ぎるというわけででもない。程よい肉感を感じさせるスタイルの良さが分かるパンツスタイルはよく似合っている。
そうはいってもスカートも似合っていて、膝が見える丈というのも控え目な女心を感じさせる。
なんと言っても肌が綺麗で、いい匂いがするのである。
彼女の側に立つことができた日は朝からいい気分になり、それだけでその日の仕事が楽しくなる。
我ながら単純だと思うが、こればかりは事実だからどうしようもない。
電車がホームに滑り込んできた。吐き出される人たちを待って、先頭に並ぶ者から次々になだれ込むように乗車していく。彼女に続いて自分も乗り込み、不意に身体の向きを変えた彼女に対応しようとしたが、駄目だった。
彼女の行動からドアの横に立ちたかったのは明白で、残念ながら後ろから押されてタイミングがずれたのか、彼女の希望は叶うことはなかった。
身体を横にしながら車両の中程まで押され、どういうわけか彼女と向き合う格好に落ち着いてしまっていた。これを幸運といっていいのかどうか嬉しいけれど、いざこうなってしまうと困ってしまった。
彼女は胸の前を両腕でガードをし、手の平をこちらの胸に当てて少しでも空間を確保しようとするのだ。女性ならば当然の防御姿勢だが、申し訳なさそうな顔をする彼女の顔を、恥ずかしくて見ることができないでいた。
それは、あまりにも近いからだ。
顔を真正面に向ければ唇が触れる距離にあり、否応なく息使いや体臭までも伝わってくる。こちらの胸に押し当てられた彼女の手が温かくて、心臓の鼓動が早くなる。
鼻腔をシャンプーの香りがくすぐり、化粧品の香りがブレンドされて女という存在を強く意識させてくれる。彼女が身体の位置をずらそうとしたのか、太腿がこちらの股間に当ってしまった。
それに気付いた彼女が動きを止め、身体の位置を直そうとしたようだったが、そのまま動きが取れなくなってしまうとは………。
困る、非常に困ったことになった。何故ならそれは彼女の表情が如実に物語っていて、ついに俯いてしまった。そう、彼女の膝がこちらの股の間に挟まり、図らずも押し付けてしまった太腿に目覚めたペニスが主張をはじめてしまっていたのだから………。
どうしよう、こんなはずじゃなかったのに……。
自分の迂闊な行動が不測の事態を招いたことに、真由美は動揺を隠せなかった。スラックスの上からでも分かる逞しさが太腿に感じられ、申し訳なさで顔を上げられないではないか。
わざとではないのだろうけれど、力を込められたペニスが時おりびくんっ……となるのが嫌でも分かり、その力強さに身体の奥のほうで小さな炎が灯るのが分かった。
何を考えてるの、やめて、目覚めないで……。
真由美は己を叱咤してどうにか理性を保とうと、今日の仕事のスケジュールを思い浮かべようと、努めて頭を働かせていく。
びくんっ…………びくんっ…………びくんっ………
電車の揺れに合わせて足を踏ん張らせる彼の太腿が筋肉を動かし、同時にペニスが同調したように動くのだ。彼も恥ずかしそうに困ったような表情を顔に浮かべ、顔と耳を赤く染め上げてしまっている。
それを見てしまっては、もう駄目だった。
どう考えても勃起をしてしまっていることは、誤魔化しようがない。大人として彼女に騒ぐ意思はないようだけれど、情けなくて彼女の顔を見ることができない。
勃起してしまったペニスに気を取られて動揺をしてしまったが、不意に気付いてしまった。そう、彼女の膝がこちらの股間に挟まっているということは、彼女の股間もこちらの太腿に挟まっているという事実そのものに……。
はじめのうちは彼女も腰を引いていたのかもしれないが、今は太腿に彼女の股間がしっかり押し付けられているのが分かる。わざとそうしているわけではないのは彼女の反応から明らかで、だからよけいに恥ずかしい……。
さらに気付いた。彼女の股間が自分のスラックスと彼女のスカートを通しても熱くなっていることを。元彼女との営みを思い出しても、エキサイトしている最中は意識にないから気付かなかった。
女性の股間が、こんなにも熱を持つことを……。
それにしてもこんなに温もりがあるものか……。
もしや、彼女は……興奮しているのか……?
そこからの記憶は曖昧になっていく。意識してしたことなのかもよく覚えていないが、膝を少し上げ下げして彼女の股間に刺激を与えていたのだ。
少しづつスカートの裾が捲り上がり、膝がスカートの中に入る格好になった。彼女の呼吸が次第に荒くなっていくのが分かり、胸に当てられた手の指がYシャツに食い込んでいく。
どうする、どうすんだっ………
そんな内なる声に叱咤され、したこともない痴漢行為を実行に移す自分が信じられなかった。
自分の太腿に被さるスカートの裾の下に手を潜らせて、初めて触れる赤の他人の女性の下半身に触れていた。ショーツと太腿の間に素肌が感じられるということは、パンストではないらしい。
滑らかな肌を伝って肌触りのいいショーツに辿り着き、部分的に異なる生地が使われていると指先が教えてくる。すべすべした部分からとても細かなメッシュを感じさせる生地になり、複雑な刺繍を彷彿させる肌触りから、レースが仕立てられていることが分かる。
ということはこの部分は透けているのではないかと、想像が膨らんでいく。それを確信させたのは生地の下にとてもリアルな違和感を感じさせられたからだった。
それは癖のあるごわつきで、相当な毛量を覚えさせるものだった。はやる気持ちを抑え、お腹の下からショーツの中へ手を滑らせた。彼女に手首を掴まれたが、阻止をするまでの意思は感じるこてはなく、次の瞬間には指に密林が触れていた。
不意に指先が割れ目の間から突き出る何かに触れた。柔らかい包皮は分かるが、これは何だ……?
指の腹で包皮を持ち上げるとその下から顔を出すものといったら……まさかと思った。信じられないサイズだったからだ。
知識の中にはあるが、これほどのサイズの持ち主に出会ったことはない。小指の先ほどもありそうなそれを優しくこすると、彼女の太腿に力が込められる。同時にYシャツに爪を立てられ、間違いなくクリトリスだと確信させられたのだった。
朝のラッシュアワーに誰もが耐えている中で、誰も気付かぬ秘め事に緊張感が増してきた。震える指先が彼女のそこをマッサージするように触れ続け、耳元で卑猥な吐息を漏らすのが堪らない。
指を下に滑らせればぬるっとした分筆液が絡みつき、そっと中に挿入させていた。きゅっとと締められた入口を通過して柔らかな粘膜の中を突き進み、ざらついた部分に辿り着く。
複雑な形状をした膣壁にぷっくりと膨らんだ部分を感じ取り、そこを含めてざらついたエリアを擦るように指を動かしていく。
ふぅ〜ぅっ……はぁ~ぁっ~………
彼女の吐息が明らかに妖艶さを帯びてゆっくりと吐き出され、スラックスの前のこん盛りとした膨らみに、いつの間にか彼女の手が添えられて上下に動かされていく。
彼女もエスカレートしてスラックスのチャックを引き下げ、慣れた手つきで器用に勃起した分身を引きずり出すなんて、少し前まで想像すらしていなかった。
素早く目だけをう動かして、辺りを窺い見る。
誰もが俯き、または視線を落として早く時が流れないかと無表情を顔に張り付かせている。
誰とも目が合うことはなく、注視する者もいないようだった。痴漢行為をするのが初めてなのに、まして公共の場でペニスを空気に触れさせるのも初めてである。緊張するなというほうが無料だった。
彼女の手が分筆液で滑りが良くなり、頭の中に痺れそうな快感を呼び起こす。こちらの指も温かく泥濘んだ洞窟の中を彷徨わせ、息継ぎをするように表に出してはサイズの大きい蕾を弄ばせる。
彼女の吐息が切れぎれになり、堪らなそうに握るペニスの動きを止める。そして思い出したようにまた動かして、親指の腹で鈴口を撫で回す……。
こんなに人の密集する中で、欲情した男女2人が互いの性器を愛撫する異常さに酔いしれていく。
そして痺れを切らして先に行動を起こしたのは、彼女のほうだった……。
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