夫以外の男性との交わりはいつも公共の場という特殊な場所が多い真由美にとって、ベッドで身体を重ねるセックスは緊張してしまった。
アンケート調査と偽って主婦の身体を狙っていたであろう彼は、若いだけあって体力は十分。それだけに悪くはなかったけれど、満足するものだったかと問われれば、そうでもなかったのだ。
セックスにはテクニックも必要かもしれないが、質と気遣いが欠けていると興醒めしてしまう。
若さや見た目だけでは不完全燃焼になると知った真由美だった。
この日、真由美のセクションは数日前から行わている資料室の片付け、それに追われていた。そうはいっても片付けそのものの峠は過ぎ、業務の合間に手の空いた者が身体を動かすことになっていた。
誰もやりたがらないので仕方なく真由美が名乗り出て、1人では大変だからと後で追加部隊を1人送ると大して有り難くもない言葉を、上司がかけてくれていた。
大方の片付けは済んだと聞いていたからスカートスーツを身に着けつてきたけれど、棚の1番上にはまだ重そうなダンボール箱があるではないか。
真由美は辟易した気持ちを飲み込み、まばらに残る軽い物から手を付けはじめた。
1時間もすると3分の1ほどが片付いたが、残りが問題だった。両手を腰に当てて棚の上を仰ぎ見る真由美が、意を決したように両手を伸ばし、狙いを定めたダンボール箱を引き寄せる。
身体の動きづらさを覚えてアウターを脱ぎ捨てると、再び両手を伸ばしてダンボールを……。思いのほか重くてどうにもならない状況に陥った真由美が1人その場で悶絶し、もう耐えられないと思ったとき、救世主が現れた。
入社1年目の彼は真由美とは別のセクションにいるはずだが、上司の計らいで駆り出されたのだろう。そんな彼の手が後ろから伸びてきて、今まさに転倒寸前だった真由美を救うことになった。
ちょっと大丈夫ですか……?
怪我でもしたら大変ですよ、無茶はしないでください………
後ろからダンボール箱を支える彼の手が、資料がどっさり詰まったダンボール箱を下ろしていく。
あぁ~びっくりした……ありがとう、助かったわ…
冷や汗をかきながらお礼の言葉をかけられた彼だったが、真由美だと知って内心で動揺していた。
密かに憧れを持つ人だったから同じセクションに配属されなかったことが、残念で仕方がなかったのだ。
会社説明会で受付業務についていた真由美を見たときから、気になっていたのだ。恐らくは40代、それにしては若くて笑顔が魅力的な女性だと思ったのだ。
こんな20代の自分では振り向いてはくれないだろうし、そもそも既婚者だろうと思ったのだ。同じ会社内だから顔を見ることは度々あるけれど、諦めなければならないのに悲しいかな、想いは消えることはなかったのだ。
忘れたい人なのにやりたくもない片付けの応援を申し付けられ、その相手が真由美だったなんてどんな皮肉なのだろう。はにかんだ笑顔でお礼を言われ、嬉しくないはずがない。
それじゃ棚の上にある箱は、自分が下ろしますから………
そう言うのにも関わらず真由美は、1人じゃ危ないから一緒にしましょうと言って聞かないのだ。
さっきは咄嗟に手を伸ばしたが、真由美の身体に密着する形になって、ダンボール箱を下ろしてから戸惑ったのだ。
汗ばんだ真由美の体臭にシャンプーか整髪料、または制汗剤か何かの香りが混ざった匂いが鼻をくすぐり、身体の温もりが伝わってきた。何よりも柔らかいお尻の感触が、堪らなかったのだ。
それじゃいい……?……いくわよ……
真由美の掛け声に合わせ、一緒にダンボール箱を手前に引き寄せていく。棚から半分近くが浮くと箱の下に手をずらし、持ち上げつつゆっくり後退しながら膝を曲げてしゃがみ込みながら床に下ろす。
正直にいって1人でしたほうが楽ではあるが、この方法でしたほうが楽に違いないと思い込んでいる真由美に、逆らうのも気が引ける。それに身体が密着したまましゃがみ込むには、自分が大きく膝を開かねばならず、股の間に真由美を抱え込む格好にならざるを得ないことが悩ましい……。
真由美は何とも思っていないのか、それとも年齢差がありすぎて男だと意識されていないのか平気な顔をしていた。それでもこっちは………。
複雑な気持ちを抱えながら、次のダンボール箱を下ろすために2人の手が上に伸ばされる。そんなとき、彼に異変が起きようとしていた。
駄目だ駄目だと必死に理性を叱咤する彼だったけれど、股間が反応しはじめたのだ。密着せざるを得ない真由美の背中とお尻。その温もりとお尻の柔らかい感触、真由美は通勤電車で慣れているのかもしれないが、こちらは堪らない。
それに床にダンボール箱を下ろしたとき、胸元がたわんで胸の谷間とブラジャーが見えてしまうのもいけなかった。むくむくと頭角を表す分身が己を主張しはじめていく。
真由美は気付いていないのか……いや、そんなはずはない。お尻の谷間に埋まっているのだ、どんな鈍感な女性だって分からないはずがないのだ。その証拠に真由美の口数が極端に減り、こちらを見ようともしなくなったではないか。
まだダンボール箱は、あんなに残っているというに………。
彼は、途方に暮れていた。
少し前から真由美は気付いていた。
彼を傷付けないために、知らぬ存ぜぬ顔をしようと思ったのだ。さすがに不自然かもしれないが、ほかに上手な手段が思いつかないのだ。
またしてもこんな自分(おばさん)に欲情を覚える若者だったなんて、女として意識される嬉しさの反面、申し訳ないくて複雑な気分になる。
身体が密着しているのだから、男性の単なる生理現象かもしれない。でもそうじゃなかったら……。
真由美の中の淫らな女と理性がせめぎ合う。
彼の鼻息から必死に理性を保とうとしているのが伝わってくる。電車の中で散々望まぬことをしてくる相手に遭遇してきた真由美には、彼が葛藤しているが痛いほど分かるのだ。自分がそうだったから……。
真由美は、意を決した。
こんなおばさんでも、興奮するの……?
彼は、激しく動揺して見せた。
あっ…いえっ……あの、これは……なんて言うか……
なんて言うか、何……?
いえっ、あの……すいません………
どうして謝るの……?
そんなに、したいの……?
えっ……?
絶対に秘密にできる……?
数秒の沈黙の後、頭をフル回転させた彼は真由美の言葉の意味を理解した、
あっ……あのっ………はっはい……
資料が取り去られた棚はスカスカになり、その手前にダンボール箱が積み重ねられて、棚の向こう側からは床にしゃがむ真由美の姿は、首から上しか見えない状態になるのだろう。
そう計算して立ったままの彼の前で身体の向きを変えた真由美は、そのまましゃがみ込み彼のズボンのチャックを引き下ろしていく。
見上げれば緊張と羞恥で真っ赤な顔を強張らせた彼が、息を飲んでいる。下着の中から十分に勃起したペニスを取り出した真由美は、躊躇なくそれを口に含んだ。
亀頭を周回させる真由美の舌が彼を悶絶させ、頭を前後に振ると溜息のような深い息を吐き出す。
2人きりしかいない資料室なのに声を殺しながら彼は喘ぎ、苦悶を浮かべた顔を天井に向けてはあらぬ方向に向けては堪らなそうにしている。
ぬっぷぬっぷぬっぷじゅるるっ…ぬっぷ…ぬっぷ…
見事なカリ高の亀頭が真由美の唇に包み込まれ、繰り返し滑らかな摩擦を受けて分泌液を漏れ出させては、真由美の口内に溜めていく。
同世代のフェラチオに比べればあまりにもレベルの違う真由美の口淫は、彼の自身を奪っていく。
早くも訪れようとする射精感に抗いながら、必死に我を保とうとこれまでの自分に縋りついた。
もがき苦しみながら岸辺の草木にしがみつくように、下唇を噛んで悶絶しつつ仕事のことを考える。けれど下を向けば真由美の頭が動き続け、口から自分の陰茎が現れては消える現実に我を失いそうになる。
耐えて、耐えて、耐えて、悪足掻きをしながらそれでも耐えて………彼は力尽きた。
おびただしい量の精液が真由美の口の中に放出され、生臭い香りが鼻から抜けていく。尿道から残りを吸い出して口を閉じ、彼の顔を見ながらごくりっ……と、飲み下して見せた。
恍惚とした彼はそうする女を、もしかしたら初めて見たのかもしれない。
信じられないとでもいうように驚愕しながらも、堪らなそうに真由美の顔を凝視していた。
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