ワインが進み心地良い酔いがまわる。
そして昔ばなしに花が咲く。
「そういえば、陸の家で勉強会とかしたよね?」
「うん、覚えてるよ、、、」
「あのとき、わたし胸が目立つ格好してリンリンと張り合ったりして、、、」
「あったあった、、、」
「今考えたらバカらしいけど、、、あのときは本気だったな、、、」
「そんなこと無いだろう?」
「ううん、、、負けたくなかったの、本当に、、、」
「そんなにかよ?」
確かにバチバチしてたけど、、、
「それで、、、リンリンとわたし、どっちが勝ってた?」
「もう、、、どっちでも良くないか?」
「そう、、だね、、、」
そうだった、、、わたしは、、、
「リンリンね、、、あの後凄かったんだよ、、、勉強メチャクチャ頑張って、、、大学に入って陸の大学に留学するんだって、、、夏村さんにはかなわなかったけど学年2位までなったんだから、、、」
「凄いな、、、あのリンリンがかよ、、、」
「でも大学で妊娠しちゃってできちゃった婚、、、内緒だけど泣きながら陸が良かったって、大変だんだったんだから、、、まあ今はいい奥さんで母親だけど、、、」
「あいつらしいな、、、」
「うん、ホントそうだね、、、」
「お前は勉強どうだったんだ?」
「うん、、、ずっと20位ぐらい、、、でも英語は頑張った、夏村さんに負けないぐらい、、、」
「日詰も凄いじゃん、、、でもどうして英語なんだ?」
そんなに英語が好きだったっけ、、、
「それは、、、なんとなく、、、」
いつか陸のそばにいけるようになんて、、、言えない、、、
「でもさ、そのおかげで今の外資系の会社に勤められたし、、、外国の企業とやり取りも任されて、凄く役立ってる、、、」
「そうか、、、良かったな、、、」
「陸はどこに勤めてるの?」
「俺は、、、」
それは世界でも有数な医療機器を扱う企業だった。
その開発部門に配属されている。
「凄い、、、」
「単なる下っ端だよ、、、」
「そんなことない、、、凄いよ、本当に、、、」
益々陸が遠い存在に感じてしまう。
自分もそれなりのサラリーを貰っているが、おそらく陸はその三倍以上のはずだ、、、
こんなの釣り合うはずが無い、、、
初めから分かっていたけど、、、
「そういえば夏村さん、医者になったんだよ、、、」
「ふーん、、、」
「ほら夏村さんの家、大病院だったでしょう?」
「そうだったな、、、」
「跡ははお兄さんが継ぐから、、、インターンが終わって海外の病院で武者修行するって言ってたんだけど、、、それからまるっきり連絡が取れなくなって、、、今頃どうしてるかな?」
「夏村のことだ、心配無いだろう、、、」
なぜだかイズミのことには余り興味がないようだ、、、
結構仲良くしてたのに、、、
愉しい時間はあっという間に過ぎていく。
辺りが暗く成り始める。
「そろそろだな、、、」
「うん、、、そうだね、、、」
最後にもう一度お参りをして墓地を離れる。
「タクシーで送ろうか?」
「いいの?」
「もちろん、、、」
少しでも陸といたい、、、
タクシーはすぐにつかまった。
二人で乗り込む。
別れが近づく、、、
「陸はホテルなの?」
「いや、実家に泊まってる、、、あの家、両親も帰る予定が無いし、売ることにしたんだ、、、だから最後だと思ってさ、、、」
「えっ、、、」
思い出の場所が、、、大切な場所が無くなってしまう、、、
凪子と合った場所、、、
そして陸と過ごした青春時代、、、
陸と初めてで最後のセックスをした部屋、、、
本当に何もかも無くなってしまう、、、
泣いたらダメ、、、
決めてたでしょう、、、
「いつまでいるの?」
「あと3日、、、4日の夜、飛行機に乗る、、、」
「そっか、、、」
言葉が途切れてしまう。
そして家に着いて締まった、、、
陸はタクシーに乗ったまま、、、
「日詰、、、元気でな、、、」
「陸も、、、元気でね、、、」
「ありがとな、、、」
「ううん、こちらこそ、、、陸、さようなら、、、」
「日詰、、、さようなら、、、」
陸を乗せたタクシーが走り去る。
見えなくなるまで見送って部屋に駆け込んだ。
ありがとうなんて、、、
わたし、、、陸に、、、何も返せて無いよ、、、
涙がポロポロと溢れる。
今でも机の上に飾ってる陸と二人で映った写真立て、、、
陸の腰に抱きつき幸せそうに笑ってる、、、
陸もとびっきりの笑顔、、、
わたしが、、、全部壊した、、、
葵は胸に抱きしめた。
嗚咽が溢れた、、、
つづく
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