しかし剣道の話だ。
やはり盛り上がる。
辻村君はわたしのことを思っていたよりずっと見てくれている。
剣道のことだけど、それでもやっぱり嬉しい。
来年は絶対に日本一になれると言ってくれた。
わたしも彼の剣道が好き、、、
でもそれ以上に彼が好き、、、
わたしは剣道だけじゃなく彼をずっと見てきた。
中学のときから、、、
彼は気づいていないけど、、、
かなわないものだとずっと思ってた、、、
でも今は違う、、、
もっとわたしを知って欲しい。
「ねえ辻村君、わたしの全国大会のビデオ見たくない?」
「見たい、凄く見たい、、、」
フフッ、凄い食いつき、、、
「じゃあ、これからウチに来る?」
「えっ、、、でもいいのか?」
「もち、、、辻村君だったら全然構わないよ、、、早く行こ、、、」
奈々の家は豪邸だった。
「凄いな、これが三田村の家か、、、」
「わたしが建てたんじゃないから、、、とにかく入って、、、」
なんとなく奈々らしい返事だなと良太は納得してしまう。
奈々の部屋に案内される。
「ご両親に挨拶しなくて良いのか?」
「うん、二人とも出かけているから、、、今日はわたし一人だし、、、」
「それって、、、まずくないか?」
「そんなこと気にしないで、、、それより早く二人で見ようよ、、、」
部屋はやはり広い。
綺麗に整頓はされているが女の子らしくメルヘンチックな装飾はまるで無い。
思わず笑みが漏れる。
「なによ、、、わたしの部屋ヘン?」
「ううん、、、なんか三田村らしいなと思って、、、」
「それどういう意味?」
奈々は大きなテレビモニターにDVDをセットした。
「ねえ、並んで見よ、、、」
二人でベッドに腰かける。
再生が始まると良太の視線は画面に釘付けになった。
奈々は時折良太の横顔を盗み見る。
バランスよく整った顔立ち。
童顔で優しげなところが更に良い。
整い過ぎの顔は気持悪い。
ハッキリ言って良太はモロにタイプだ。
それに他の男みたいにリキまないところも好き、、、
いつも自然体、、、
大概の男達はわたしの気を惹こうとして見栄を張りいい格好をしようとする。
良太はこんなにいいオンナがベッドで横にいるのに画面に映し出される試合に夢中になってる。
スゲェ!
そこを見切るか?
この相手にそれかよ!
独り言のように呟いてるが的を得ていて内心舌を巻く。
「辻村君て、、、やっぱスゴイね、、、」
「何が?スゴイのは三田村だろう?」
いよいよ奈々の準決だ。
頭を預けるように良太に身を寄せる。
引き締まった逞しいカラダ、、、
真剣に見つめる良太は気づいていないようだ。
結果は延長でもつかず旗判定だった。
「判定、、、どう思う?」
「うん、、、難しいけど、、俺なら三田村かな、、、」
「本当?」
「まあ、身びいきもあるけど、、、」
贔屓してくれるんだ、、、
「でも次やったら三田村が勝つ、、、それは絶対だ、、、」
ジーンと胸が熱くなる。
「この人優勝したんだよ、、、それに三年だから来年いないし、、、」
「そうだな、、、だから来年は三田村の番だ、、、」
事もなげに、信じきったように告げる。
やっぱり、この人がいい、、、
強く感じる。
「でも、、、ヤッパリいいな、、、」
「何が?」
「三田村の道着姿、、、俺は一番好きだ、、、あっ、ゴメン、、、ヘンなこと言って、、、」
「ううん、、、でも辻村君て、、、もしかしてフェチなの?」
「そうかもな、、、でも今のところ三田村だけだけど、、、」
わたしだけ、、、
他の人なんてイヤだ、、、
「じゃあ、、、道着になってあげようか?」
「ええっ、、、でもさ、、、」
「見たくない?」
「、、、、見たい、、、」
「素直でよろしい、、、」
奈々は道着を準備すると服を脱ぎ出した。
つづく
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