翠は学校に来なくなった。
そして早苗との関係も終わりをつげた。
翠は部屋に籠り良太を裏切ったことを後悔し続けている。
それなのに母親の自分が良太と逢い続けることなど出来ない。
良太もそれを受け入れた。
それが正しいと納得したからだ。
自分は早苗が好きだ、、、
それだけでいい、、、
今別れた方が二人にとって思い出としていつまでも残る。
とある休日
良太は奈々と逢った。
奈々は全国大会、個人戦で惜しくもベスト4で敗れた。
良太が応援のメールを送り、それから二人のやり取りが始まった。
いつになったら残念会をしてくれるのと再三催促をされ二人で逢うことになった。
午前中に互いの趣味である美術館を見学して、美味しいと評判のレストランで食事をした。
「どうしたの、、、辻村君、急にそんなにわたしを見て、、、」
「いや、、、キレイだなと思ってさ、、、そのワンピースも凄く似合ってる、、、」
「ええっ、、いきなりなの?お世辞じゃないの?本当に思ってる?」
「お世辞じゃないって、、、三田村はもっとキレイになるよ、、、」
奈々はスカイブルーのワンピースに白のカーディガンを羽織っていた。
ミディアムボブの艷やかな黒髪に人目を引く際立つ美貌。
剣道をしているには細身だが、しなやかな身体つき。
しかし女性らしさも十分に感じさせる抜群なスタイルだった。
けれど、、、やはり奈々が一番似合うのはやはり剣道着だ。
奈々は頬を染めた。
良太の言葉が嬉しい、、、
「三田村って、本当に最高だよな、、、実は俺の理想なんだ、、、」
ええっ、、、
もうこれって、、、完全に告られてるよね、、、
さっきまでそんな素振りは全然無かったのに、、、
いきなりくるなんて、、、
それでも悦びが込み上げる。
ずっと想いを寄せていた相手、、、
奈々は良太があの尻の軽いオンナと別れたことも知っている。
もう二人の邪魔をする者はいない。
今日は初めてのデート。
最後に奈々の方から告白するつもりだった。
こう見えて奈々は経験が豊富な方だ、、、
もちろん男を知っている、、、
だから次のデートのときには良太に抱かれるつもりでいた。
でもこの流れになったからには、、、
辻村君だって、、、わたしが欲しいはずだ、、、
凄くドキドキする、、、
ホテルに行くのかな、、、
それとも彼の部屋?
でもその前に公園とかでキスをして、、、
「いいよ、、、辻村君だったら、、、」
奈々は頬を染め恥ずかしそうにうつむいた。
「えっ?何が?」
何がって、、、
「とにかく三田村の構えって究極だよな、、、邪念が無くて、澄み切った水面みたいと言うか、、、そこから竹刀が切り裂くように出てくる、、、誰にも真似できないよ、、、」
「ええっ、、、もしかして、剣道のことなの?」
「そうだけど、、、まずかった?」
「そんなこと、、、無いけど、、、」
わたしはてっきり、、、
腰が砕けそうです、、、
もう、、、わたし、バカみたい、、、
つづく
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