15.~モテモテ恭子ちゃん~
ふと、思いつきで聞いてみる。
「恭子ちゃん、今晩空いてる?」
「エッ、うん。でも、泊まりとかは無理だからね。」
「違うよ。今日は俊子も居ないし、スナックへ飲みに行こうかと思ったんだけど、恭子ちゃんもどう?」
「俊ちゃんが連れて行ってくれるならイイけど。」
「じゃ、8時半頃に迎えに行くよ。」って事で、飲みに出掛けた。
ホントに田舎町なので、学区内には飲む所って言うと赤ちょうちんみたいな店が1件と、結構な年配の人が集まるスナックが1件あるだけで、駅前まで出なけりゃイケなくて個人で出る事が滅多に無い。(付き合いでは来るけどね。)
恭子ちゃんもこういった店に来るのは相当久しぶりのようで、今日は佳恵ちゃんも帰って来ないから、お酒も進みカラオケも楽しそうに歌ってる。すると同じ学区から来ていたお客さんに声をかけられた。
「俊ちゃん珍しいね、しかも恭子さんと一緒なんて。」
「いや、最近仕事の手伝いをして貰ってるからさ、慰労会だよ。」
「でも、お子さんは?」
「あぁ、今日は娘が塾の合宿らしくって、俺んとこは奥さんの実家に行ってるから、たまには飲みますかって出て来たんだよ。(笑)」
「いいよなぁ、あんな美人さん連れ出せて。」
「ま、親戚だしね。色々と溜まってる事もあるだろうから、たまにはこうやって吐き出して貰わないとね。」
なんて話してたんだが、今夜はホントに楽しく飲んでくれてた様だった。
それにしても恭子ちゃんはやっぱり美魔女ってやつなのか、地元の人からは勿論だけど、初めて会うお客さんにも声をかけられたりしていて、ママが
「ウチに来て欲しい位だわ。」って言ってたな。
帰りのタクシーで
「恭子ちゃんモテモテだったね。声かけられまくってたじゃん。(笑)」って言うと
「そんな事は無いけど、でも楽しかった~。ねぇねぇ、今度からは浩介さんにも許可貰うから、また誘ってよ。」
って、酒場へ遊びに出るのもおねだりされてしまった。(まぁ、大歓迎なんだけどね。)
「じゃ、明日はまた暑くなりそうだけどヨロシク頼むね。」って事で、仕事の手伝いを頼んで別れた。
翌日、仕事に来てくれた恭子ちゃんが財布を出して
「昨日のお金… 」って言う。
「イイよ。昨日は俺が勝手に誘ってお付き合いしてくれたんだからさ。(笑)」
「でも… 」
「じゃぁ、今度からは多少払って貰う事にしよう。だから、今日のところはお財を布片付けて… な。」って、納めて貰った。
仕事をしながら少しお喋りする。
「それにしても昨日は随分楽しそうだったね。」
「エッ、うん。だってホントにあぁ言う所に行くのって久しぶりだったし、やっぱりたまには夜遊びって必要ね。」って笑う。
まぁ、恭子ちゃん家は佳恵ちゃんが受験生だから色々とあるんだろうな。
自分からはなかなか出られないだろうし、憂さ晴らしにたまには誘ってあげようって思った。
それで、仕事も終わり事務所に戻って来たんだけど、今日は俊子を駅まで迎えに行かなければイケない。
「俊ちゃん。今日、お迎えって何時?」
「5時頃だけど。」
「じゃ、あまり時間無いわね。」
「何が?」
「汗かいちゃって嫌かも知れないけど、少しこうさせて。」って、俺に向かい合わせで跨りギュ~ッと、抱き締めてくる。
「どうしたの?」
「だって、子供の事も何も気にせずにこうしてられるの、あと少しだよ。」って言う。
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