学校が始まり一ヶ月が過ぎたころ定期試験があった。
上位100名までが張り出される。
ナギサはトップを守れなかった。
仕方がないか、、、今回は、、、
3位、、、でも次は、、、
大会もあったし皆受験で懸命に勉強している。
「ナギサ君、、、珍しいね、トップじゃないなんて、、、」
シズクだった。
クラスも違うし久しぶりだった。
ミユキと付き合い始めてからは、もちろん体の関係は一度も無い。
「仕方がないさ、、、こんなもんだよ、、、でもシズクは8番か、、、頑張ってるな、、、」
「うん、、、ナギサ君にそう言って貰えると嬉しいよ、、、」
シズクは以前とは雰囲気も変わり穏やかな笑みを浮かべていた。
「わたしね、ミユキちゃんと同じ塾に通ってるんだ、、、クラスは違うけど、、、」
「そうなのか、、、知らなかったよ、、、」
ミユキは今も変わらず毎日のように塾に通ってい
る。
残念ながらミユキは100位以内には入っていなかった。
まあ、こればかりはそんなに簡単にいくものではない。
「ときどき見かけるけど頑張ってみたいだよ、、、」
「そうか、、、」
「うまく、、いってるんでしょう?」
「うん、そうだな、、、」
「県大会、惜しかったね、、、」
「まあ、実力が足りなかったよ、、、」
「ナギサ君らしいね、、、でも立派だったと思う、、、凄く、、、」
「ありがとうな、、、シズク、応援してくれて、、、メール見たよ、、、」
「ううん、当たり前だよ、そんなことぐらい、、、応援に本当は行きたかったし、、、でもミユキちゃんは行ったんでしょう?」
「んっ?」
「ミユキちゃん、模試受けてなかったからナギサ君の応援に行ったんだと思ってたんだ、、、」
まさか、、、そんな、、、
どういうことだ、、、
頭の中が混乱する。
「どうしたの?ナギサ君、顔色が悪いけど、、、」
「なんでも、、ない、、、」
「大丈夫?」
「ああ、、、なんとも無い、、、」
その場を離れる。
シズクは後ろ姿を見送っていた。
何かあったんだ、、、間違い無い、、、
シズクはナギサを諦めたわけではない。
ずっと想い続けていた。
側にいれば、またいつか、、、
そんな気持ちを密かに抱いていた。
だからミユキと付き合い始めたのを知ったときはショックを受けた。
彼女はシズクから見ても魅力に溢れていたし、噂よりもずっと素直でいい子だと知っていた。
おそらく男の経験もないのではと踏んでいた。
一途にナギサに寄り添うミユキを見て辛い思いも込み上げてきたが、必死耐えてきた。
まだ何もかもが決まったわけではない。
ナギサと同じ大学に通えれば流れも変わるかも知れない。
ミユキはどんなに頑張ってもナギサと同じ大学に合格は出来ない。
だから諦める気はなかった。
今回の件は、おそらくミユキは応援に行かなかった、、、
しかも模試があるからとウソまでついて、、、
そういうことなのだろう、、、
応援にも行かないで何をしていたのか?
おそらくはナギサには言えないことだ、、、
一途に見えて、ミユキには案外脆いところがあるのかも、、、
チャンスがくるかも知れない、、、
わたしが言った一言が何かを起こしてくれるかも知れない、、、
わたしは本当のことを言っただけだ。
悪いことはしていない。
焦ることはない、、、
あとはミユキがどう出るか、、、
二人を見守っていればいい。
面白いことになりそう、、、
シズクは心の中でほくそ笑んだ。
つづく
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