ナギサは部活を終え道場を出た。
「ナギサ!」
いきなり声をかけられる。
外には同じクラスの大柄な女子生徒が立っていた。
藤堂ミユキ
ハイトーンカラーに染めた髪をサイドテールにまとめている。
濃いギャルメイクだが顔立ちは結構可愛い。
いわゆる白ギャルだ。
物怖じしないサバサバした性格。
思ったことを口にするタイプだが嫌味がないので煙たがられることはない。
それに根が優しいから同性からも好かれている。
その上、170とモデル並みの身長でスタイルもいい。
太っているわけではないがムッチリとした大人びた体型がなんともいえない色気を漂わせる。
とにかく男子には人気がある。
特定の彼氏はいないようだが、その外見から経験も豊富でヤリマンだという噂もある。
オマタと同じくアタマもかなり緩く成績はからっきしだった。
それでも皆にはユキちゃんと呼ばれ、慕われている。「藤堂どうした、こんな時間に?」
ミユキは帰宅組だ。
「ナギサと一緒に帰りたいと思って、、、いいかな?」
「いいけど、、、何か話か?」
「うん、、、実はそうなんだ、、、」
並んで歩く。
珍しくミユキがモジモジしてる、、、
話をようやく始めたのは学校をだいぶ離れてからだった。
「あのさ、、、シズクと別れたって本当だよね?」
「ああ、、、本当だ、、、」
「それだったら、、、その、、、明後日の日曜、、、わたしとデートシテくれないかな?」
「デート?」
随分といきなりだな、、、
以前からそれなりに話してはいたけれど、、、
「話があるんだ、、、ダメ、、かな?」
何か縋るような目をしている、、、
はあん、、、これは何かあるな、、、
まあ丁度部活も休みだし、、、
「いいぞ、、、別に用事も無いし、、、」
「えっ、本当に?」
ミユキの表情がぱあっと明るくなる。
「やったあ!ポケ○ン、ゲットだぜ、、、」
「あの、、、俺、ポケ○ンじゃないし、、、」
「いいじゃん、そんなこと、、、フフッ、でもよかったよぉ、、、断わられるかと思ってた、、、」
「そうなのか?」
「そうだよ、、、ナギサって優しいけど、、、そういうところは固いから、、、皆言ってるよ、、、」
「まあ、、、今回は特別と言うことで、、、」
「ムフフ、、、わたしは、、、特別か、、、」
なんか微妙に噛み合って無い気がする、、、
まあ、いつものことだけど、、、
「ところで、話って何なんだ?」
「それは内緒、、、」
それからは終始ご機嫌なミユキと駅のホームで別れを告げた。
きっと話は剣道部の誰かと仲を取り持って欲しいということだろう、、、
よく試合を見に来て応援してくれてたし、、、
まあ、そのお礼をかねて出来るだけのことはしてやるか、、、
ナギサはそう思っていた。
つづく
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