何の変哲もない町の本屋、この日はいつものよりも訪れる人の数がいささか増えていた。
その紳士、淑女たちは店の奥まで足を進め、通路と繋がった裏の蔵の中へと足を運ぶ。
湿度、温度が一定に保たれ綺麗に改装されたその中は、絵画とデッサンの状態の絵が等間隔に壁に並べられていた。
ある絵画は長い時の流れを生きてきた大木が描かれ、まるで女体を彷彿させる奇っ怪な姿を見せている。隆起した部分や凹んだ所のラインがあまりに生々しく、女性器に見えなくもない部分、そこにはまるで男性器を彷彿させる大蛇が頭を潜り込ませようとしている。
またある絵画は原木栽培の椎茸を描き、その中には傘が広がる前の成長途中とされるキノコがまるで反り返った男性器そっくりに突き出ていた。
またある絵画はザクロを描き、またある絵画は海の中の岩場に棲息するアワビの姿を描き出している。沢山の粒がひしめき合うザクロは見方を変えれば女性器であり、裏返ったアワビは詳細に描かれた女性のそのものに酷似している。
何よりも生々しいのは芸術の名のもとに男性器、女性器がいくつも詳細に描かれたデッサン画であり、男女が重なった様々なデッサン画では肌に汗が浮かぶ艶感までも詳細に写し出されていた。
表情の苦悶、恍惚、そして上り詰めていく様が如実に描かれ、美しい形を保っていた乳房が鷲掴みにされて形を歪ませ、腰を打ち付けることで粘液が飛び散る結合部は見る者の目を引いた。
年に数回ほど開催されるこの秘密の個展は、会員制となっており、いつの時代にも存在する上流階級のスポンサーが趣味の出資で成り立っている。
一際目を引いたある連画、それは鮭の一生に重ねられていた。
ペニスの亀頭を女性の唇が根元へと覆い隠していくその瞬間から、包皮を捲り上げて露出した陰核を一旦見せて、そこを男性の舌先が弄び唇で吸われる場面………。
そして結合して奥へと沈む陰茎によって膣口の粘膜が中へと凹む姿、引かれる際に外側へと陰茎に纏わりつく様が生々しく、引き抜かれた後から流れ出す精液が糸を引いて落ちるまでを記録されたデッサン画は圧巻だった。もちろんモデルである麻子と拓也の顔は本人と分からないように脚色されている。
時を同じくしてお金に悩む女子学生が、カフェで物思いにふけていた。お酒が苦手だから水商売の世界は足が向かないし、何より酔客は大嫌い。
残るは………AV、先日スカウトされて男に渡された名刺を虚しい気持で眺めていた。
ある日の午後、大学で講義を受ける生徒の中にひとりの女の子に目を引かれた女性講師がそっと声を掛けた。人を引き込む魅力と安心感から学生の彼女は、悩みを打ち明け始めた。麻子の感はやっぱり当たっており、自分はヌードモデルをしていると彼女に打ち明け驚愕させた。秘密は守られるしギャラも良い、初めから裸体の全てを見せなくてもいいように出来るから、やる気があるのなら話を繋げてもいいと平井唯をスカウトをした。
社会に出てから少なくても数年は奨学金の返済に追われることになる、20代の青春は無いものと思ったほうがいいのだ。唯には選択肢が無かった………。
数週間後、唯の姿は駅で待ち合わせた麻子と共にいつもの場所にあった。藤木美紀との簡単な打ち合わせの後に控室に入り、彼もモデルだと麻子に紹介された自分と同世代の男性と顔を合わせた。
驚いたのは麻子は彼の目の前で着替えを始め、彼もまた同じように服を脱ぎ始めたことだった。
始めのうちは恥ずかしいかもしれないけれど、慣れるから大丈夫よ………。
麻子は事もなげにそう言ってブラジャーを取り去り、片足づつショーツを抜き去ってしまった。
彼もまた全てを脱ぎ去り、目のやり場に困りながらガウンを着る際に立派なペニスの持ち主であることを知ってしまった。仕方なく唯も急いで身に着けている物を引き剥がし、震える手で上下の下着を取り去ると即座にガウンを身に着けた。
どうしても困った時にはサポートするけれどね、あたしは今日は基本的に手を出さないから、彼に任せていればいいわ………。
初日だから、少しづつ慣れていけばいいの……。
あの包み込むような笑顔で麻子に背中を押され、3人は控室から足を踏み出した。
10人いるかどうか、恥ずかしくて性格な人数を確認する余裕なんてない、まともに生徒たちを見ることはできなかった。
明るい照明の下に出て半円に広がった生徒たちの前に立ち、まずは美紀の要求に応じてポーズをとる。その際に胸元を少し緩ませて脚を開き、右手を頭の後ろに回す格好でしばらく身体を固定させる。美紀の次の指示は後から彼に抱き締められるというもので、ガウン越しに逞しい身体をしていることが生々しく伝わってきた。心臓が早打ちして体温が上昇するのが自分でも分かり、矢継ぎ早に美紀が出す要求に顔まで熱くなった。なぜなら彼の手が緩んだ胸元から入ってきたのだから……。
胸をいきなり掴むような不躾なことはせず、拓也は下から支えるように触れるだけにする。嫌でも唯の早打ちする心臓の鼓動が手から伝わり、気持ちがほっこりする。自分だって初めてのときは口から心臓が飛び出るんじゃないかと思うほど、脚が震えて緊張したものだった。無表情でいてね言われた通りに出来ているのか自身はなく、唯は彼が触れる手の温もりに羞恥するだけだった。
美紀の指示は彼女の気分で変わる。今度は肩ひじを突いて下に寝そべりながら片膝を立てるというもので、ガウンの下側が開いて秘部が見えやしないかと冷や汗が出る。そこに同じように後ろに寝そべった彼に密着され、やはり胸元から手が入れられてくる。
大丈夫………?
耳元で彼が優しく気遣いを見せて、言葉をかけてくる。
藤木美紀はどんなことも芸術に繋がるから、それだけは忘れないでね………。
そう言われた言葉がが頭の中で繰り返され、今は麻子と拓哉を信じ、次なる美紀の要求に黙って目を閉じるしかなかった。彼の手がゆっくりと乳房を包み込み、下半身のガウンの割れた所からもう片方の手が入ってきたのだから………。
それでも彼は乳首に触れないように指の間に逃がし、下半身も恥毛の上を人差し指、薬指が触れるだけで秘唇に触れないように中指を浮かせてくれる気遣いが救いだった。
初日だからとこの日は舞台から降りることを許された唯は、離れた位置で麻子がいることから急遽2人の仕事を見学することを許された。
貴女からしたら過激に見えるかもしれないけれど、2人は長いからこういうモデルの仕事もこなせるの………。
いきなり貴女に同じことを要求するようなことはしないから、それは安心して………。
まずは勉強だと思って見てくれればいいし、同じレベルで仕事が出来るようになればギャラも上がると思っていいわ………。
美紀のその言葉の意味をは、唯の想像を遥かに越えたものだった。
2人はガウンを脱ぎ捨てて並んでポーズを決めて、美紀の要求に応えて様々なポーズをとっていく。寝そべったり椅子に手を置いて腰を突き出したり、下に座って脚を広げて恥部を豪快に晒したり…………。
彼も様々な角度で肉体美を披露し、麻子と見つめ合うと驚きの変化を見せる。ペニスが勃起し始めて、それを恥じることなく見せつけながら生徒たちはデッサンを進めていく。どんなことも芸術に繋がる、美紀の追い求める芸術は昔も今も禁断の領域にある人の根本的な欲を、芸術に変換したものなのかもしれない……。唯は痺れる頭でいつしか必死に2人を見詰め、この世界を理解しようとのめり込み始めていた。
不意に近寄ってきた美紀が、唯に語りかける。
今日はもういいわよ、疲れたでしょ………?
それとも最後まで見ていく………?
曖昧に頷く唯を見て、一言忠告をする。
最初にも言ったけれど頭が混乱しようと貴女がどう思おうと、誰が何を言おうとこれから見ることは全て芸術なの………。
芸術には道徳心だとか常識は時として邪魔なだけだし、分かる人にだけ分かればいいとあたしは思うの……。
人の業の深さとか欲求だとか、その領域の美しさの中の芸術に目を背けるなんて愚の骨頂よ……。
見ていくのはなら貴女の自由だけれど、AVだとか下卑た世界と同じにしないでね………。
それだけを言うと、美紀はキャンパスの上を忙しく手を走らせる生徒たちの元へ帰っていった。
そして唯は驚きの光景を目にして驚愕し、喉の乾きを覚えても2人から目を離せなくなっていた。
唇を重ねだした2人は顔をそれぞれ逆に傾けて舌を絡ませ、互いを味わうようにゆっくりと舌を動かし、その様子を自分が見えやすい位置に移動した生徒たちが必死にデッサンをする。
唾液の糸を伸ばしながら2人は口を離し、ビキニを着せたら絶対に似合うプロポーションを保つ、そんな麻子の首筋から舌を這わせて乳首に絡みつく。横からも照明が当てられた2人は映画のワンシーンのように美しく、唾液で艶々した乳首があまりに卑猥で神秘的に彼の唇から弾け出る。
麻子の顔はまるで女神のように慈愛に満ちて、彼の下に転がされるたびうっとりとして目を閉じる。そのまま下に仰向けに寝かされた麻子は彼によって右脚を肩に担がれ、生徒たちに恥部が見えるようにされると顔を埋めてしまった。
暫く経つと麻子の顎が跳ね上がり、背中が床から浮いてしならせながら大きく口を開く。
顔を右に左に倒して彼の髪の毛を掻き毟り、不意に顔を離して生徒たちに晒した麻子のそこは艶々として、ピンク色の粘膜と立派に勃起を果たして飛び出るクリトリス。スクープをものにしようとするカメラマンのように、生徒たちが忙しくその生々しい光景をキャンパスに正確に描き写していく。
用意された椅子に麻子が座るとすぅ~っと膝が開き、そこに彼が顔を埋めると再び麻子の顎が弾かれたように跳ね上がる。上下左右に顔を向けて切なげな表情を見せながら、食いしばった白い前歯を唇から見せつける。眉間に深い皺を刻んだ麻子が背中を反らせ、アップにされていた髪の毛が解けて表情を覆い隠す。背中を反らせるたびに突き出された白い乳房が揺れ動き、震わせながら吐き出される吐息が、垂れ下がる髪の毛を浮かせ快感の深さを見せつける。不意に麻子が身体を大きく仰け反らせて静かになった。
息が整わないまま立ち上がった彼が仁王立ちになると、麻子が膝を突いてペニスを掴みやや下に向きを変える。生徒たちに見えるように身体を横に向けた2人は、麻子の口の中に消えては現れるを繰り返す亀頭を一心不乱にキャンパスに描き写していく。時に歯を食いしばり、時に呆けた表情を見せ、固く目を閉じてこめかみに血管を浮かせて堪える彼を見ていたら唯は堪らなくなった。
満を持したように両手で麻子の頭を優しく持って遠ざけると、立ち上がった麻子の片脚を持ち上げて彼が抱え込み、恥部にあてがったペニスの先端をゆっくり沈めていった。生徒たちは慣れたもので当たり前のようにそれを見詰め、近くまで寄ってキャンパスに手を走らせる。まるで巨大な蛙の口が飲み込んだ蛇を吐き出すように、根元まで埋まった陰茎が半分ほど姿を表し、艶々した卑猥な姿が見え隠れする。
彼が椅子に座るとその上に麻子が身体を正面を向けて腰を下ろし、彼の脚に自分の脚を外側に垂らして生徒たちに結合部を曝け出す。巨大な芋虫が蠢くように膣口から姿を見せる陰茎が、後から乳房を鷲掴みにされた麻子が腰を動かすことで、ウネウネとする様がいやらしい。年齢差があるだけでも卑猥なのにお互いが相手を必要とするのが唯にも伝わり、なぜだか麻子に嫉妬心が沸き起こる。
向きを変えて対面座位となった2人、波打つように前後に腰を躍動させる麻子のお尻の下で、苦しげに見え隠れする陰茎が麻子を狂わせる。ゴリゴリと子宮口を擦る亀頭は何度味わっても至福を感じさせ、上へ上へと押し上げてくる。身体を持ち上げて腰を打ち付ければ熱を持った硬い杭がさらなる濃厚な味をもたらし、彼の首に捕まっていなければ意識が飛んでしまいそうになる。
よく見れば生徒たちの中には欲情を隠しきれなくなった者が男女問わず認められ、唯と同様に堪らなそうな眼差しを向けているではないか……。
そのエネルギーを必死にキャンパスに落とし、彼ら彼女らは躍動感に溢れた2人の姿を見事に描きき、2人の混ざった粘液が結合部から漏れ出して彼の陰嚢が白濁する様子まで、克明に描き出していた。
麻子は大学の講師としての立場を忘れ、世の中の全てを置き去りにしてひとりの女として狂う。
教え子の拓也の味はそれほどまでに毎回麻子を狂わせ、拓也もまた懐の深さを見せる麻子の中に酔いしれさせられる。抱きつかれて離そうとしない膣壁はピタリと纏わりつき、まるで生気を吸い取るようにして虜にさせられる。麻子の人柄も女としての魅力も同年代の女の子に比べようはなく、彼女の中に可能な限り射精したくなる。我慢できずに美紀を見ると、仕方がないわねと言うように小さく頷いて見せてきた。つまりはお許しが出たことを意味しており、そのかわりに美紀を満足させる芸術性を見せなければならない。
つまりは麻子をイキ狂わせなければ、二度と勝手は許されないだろう………。
拓也は麻子を抱えて下に寝かせ、容赦のない攻めに転じた。両脚を抱えて休みなくリズミカルに腰を動かし続け、上り詰めていく麻子をさらに追い立てていく。激しく揺れ動く2つの丘が物語るように麻子には逃げ場がなく、喘ぎ声を抑える変わりに息遣いが危機迫る様子を如実に証明させる。普段なら頃合いを見てイカせてくれるのにその隙を与えられず、許容を越えた快感に翻弄されていく麻子がついに悩ましい声を上げてしまう……。
嫌っ……おかしくなる…………。
頭の片隅でそんな感情が悲鳴を上げさせて、力の抜けた顎が口をパクパクと動かせて麻子が時おり戻ってきたように声を上げ、またトランス状態に落ちいていく。そして拓也の唸り声と共に射精が始まると、麻子も身体を弾ませて痙攣を見せる。静寂が訪れると生徒たちの誰もが手を止め、乳首を舌で弄ぶ拓也を黙って見詰めていた。
数分後に我を取り戻した麻子と口を重ねた拓也は再び彼女の身体を揺らし始め、いやらしい水音を奏でて彼女の甘く切ない鳴き声を出させていく。
床にへたり込んた唯は知らず知らずのうちに利き手を自分の股間に伸ばしていることすら意識になく、オーガズムを迎えてしまった。
次の講義で麻子の顔をまともに見られないことは、もう分かっていた。
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