薄いグレーの上下、ホワイトのボータイブラウスという、ビジネスシーンにおいては極めて普通の姿の女性が電車に揺られていた。彼女が一流大学を卒業している事実は世の中では、あまり知られていない。なぜそんなキャリアのある人物が今の職業に就いているのか、時おり首を傾げたくなることがあるけれど、彼女もそのひとりなのだろう。
大学在学中の20代で業界にスカウトをされて、モデルを始めた麻子はよく雑誌の中で輝いていたのだ。ファッション雑誌はもちろんのこと言うまでもなく、グラビアで披露をする水着姿は世の中の男性の注目を集めていたのだ。それも入れ替わりの激さと時の流れにより30代となって、雑誌もミセス世代へと移り、新たな領域を目指してついにヌードモデルの世界に足を踏み入れていた。
ひと回り以上歳下の世代となる学生たちには麻子の輝かしい時代を知る者はいない。その身体は未だプロポーションを保ち、衰えるどころかどこか成熟度を増していくような、言うなれば色気を漂わせるようになっていくのだった。当初はありきたりなヌードを見せるだけの普通のモデルだったけれど、ある人物に出会ったことから人生が変わったのだ。
それは藤木美紀、その人である。
麻子と同世代の彼女にその才能を感じ、専属契約を交わして今に至る。過激さを増すようになったのはここ数年のことで、もちろん麻子にも相談があってそれを受け入れたのだ。初めは若い男性の彼らはすぐに勃起をしてしまうので、正直にいって困ってどう対処していいのか分からなかった。後から抱き締められるボーズでは否が応なく硬くなったアレを押し付けられ、あらゆるボーズでも必ず身体のどこかに接触するのだった。
それを美紀はもったいないとして、男性モデルに隠すことを禁じた。逞しく屹立したペニスも立派なデッサンの対象となり、いつしか麻子に対しても過激なポーズを要求するようになった。下の毛が見えるのは当然のことだからいいとして、今までは秘部が露骨に見えるポーズはあり得なかったといいのに、いつしか脚を開く格好を要求されるようになっていった。古代ギリシャ彫刻においても男性器は表現されていたけれど、女性器は隠されてきたはずだ。それは卑猥だとかの次元ではなくその見た目から敬遠されてきたことは、想像できる範囲で理解出来るはずである。美紀はそれを打ち破りたくて、いや……女性器の美しさこそ芸術にしたいとの想いが強かったのだろう。
幸いかどうかは別として麻子の秘部は崩れてはおらず、小陰唇もほぼ左右対称を保った形を維持していたから下の毛を処理するだけで披露された。
麻子も女である、女性特有のサイクルからある種の欲求が高まる時期は必ずやってくる。その時期にヌードモデルの仕事が重なった時、身体の反応を自分でコントロールすることは困難なのだ。
わざとか偶然だったのかは分からないけれど、2人とも膝立ちになって、後から彼に抱き締められるポーズをとらされることがあった。その際に彼のペニスはお尻に押し付けられるのが自然だというのに、股の間に滑り込んだままデッサンは進められたのだ。普通サイズの彼のペニスは生徒たちに見えるほど股の間から飛び出すことはなかったけれど、興奮した彼にはペニスへの血流を制御なんて出来るはずはない。硬さを保ちながらドクンッドクンッと脈動が露骨に伝わってくるではないか………。
それも彼の若さゆえ美紀や生徒たちに分からないように微妙に動かすので、麻子は非常に困惑しなければならなかった。彼が容易に動かせてしまえるほど麻子のそこは潤いに満ちて、つまり反応してしまったのだ。乳首はその形を誇示するようになり、美紀は目ざとく麻子の変化に気付いた。
それまでは声を出して指示を出してくる彼女がその時はわざわざ2人の所まで出向き、こう言ったのだ。
椅子を用意するから座面を自分に向けて、背もたれを掴んで背中を少し反らせるの………。
そうね、少し胸を張ってくれる……?
貴方は………彼女に後から寄り添ってね………。
この格好で寄り添うなんて曖昧な言い方だけれど、ある程度の性経験のある者ならばそれがどんなスタイルであるかは想像がつくというもの。
彼女は何を考えているの………?
麻子は彼女が自分の芸術を追求するあまり、理解が追いつかなかった。まさか、一線を越えることを彼に指示していたなんてこの時の麻子には知る由もないのだこら、どうしていいのか分からなかった。そう、美紀は2人から去り際に彼にだけ見えるように左手の親指と人差し指で輪を作り、そこに右手の人差し指を差し込んで抜き差しをして見せる、そういう仕草を意味ありげにしたのだ。
最後に小さく頷いて、生徒たちの所へゆっくり戻っていく彼女………。
お尻に下半身を密着してきた彼は麻子の予想通りにペニスをお尻に押し付けることはなく、その下に滑り込ませてきた。背中を反らせて椅子の背もたれを掴んで胸を張り、脚を開いた膝立ちの格好をとるということは、必然的にお尻を突き出す格好になる。潤った秘唇をなぞるように滑り込ませてきた彼のペニスは、上を向こうとピタリと密着してくる。1度腰を引いた彼は腰を再び前に押し進め、亀頭が氷砕船のように秘唇を左右に切り裂いた。ヌルリっと進んだ亀頭がその先の敏感な所に触れて、麻子は奥歯を噛んだ。それからも微妙に腰を動かしながら刺激してくる彼に、思わず右手を椅子から離して彼の脇腹を押し退ける仕草をとる。その麻子の抗議が伝わったのか彼の悪戯は止まったのだけれど………。
不意に密着していた彼の下半身がお尻から離れたと思ったら、圧迫感を覚えた入り口から侵入してきたのだ。その衝撃を麻子は固く目を閉じてどうにか堪え、確信犯であろう美紀は別として生徒たちには何としても気づかれないように、平静を装わなければならない。両手を麻子の腰に添えて動かずにいる彼、それだけが救いだった。
時間が過ぎ去るにつれて、身体に変化が訪れる。
子宮口に接触する亀頭、膣壁に収まる陰茎に体温が上昇するのを感じて頭がぼぉ〜っとしてきたのだ。意図的にせよ生理的な反応による現象にせよ中で時おりピクビクと動くペニスが、静かな水面に波紋を作る。何かを呼び起こすようなむず痒さというのか、甘さを含んだ波が押し寄せる。
やっぱり………麻子はそう思った。
我慢しきれなくなった彼が、微妙に腰を動かし始めたのだ。おそらく数センチの動き、それが子宮口を優しく圧迫し、焦れったいだけでそれ以上でもそれ以下でもなかった感覚に戸惑いを覚える色が加わってきた。心地が良いのだ………。
その感覚はやがて気持ち良さへと形を変え、つまり快感を覚えるまでになったのだ。麻子は暗い絶望に包まれて、身体の奥を軽く突かれる甘さを覚えながら、気丈に無表情を維持していく。
グンッ…グンッ…グンッ……と、奥を圧迫される甘さに神経が集中すると、膣壁の全体に快感が伝播していくのが如実に分かる。こころなしか無表情が緩み、呼吸が大きくなったのか乳房が少し上下するようになっていた。無意識にペニスを締め上げてしまう麻子は、彼の背中を押してしまう……。
無表情でいた彼も表情が崩れて呆けたようになり、麻子も時おり目を閉じるタイミングが増えてきた。眠そうに見えなくもないけれど眉毛が僅かに下がり、早くなってきた呼吸が乳房の位置を上に下にと静かに移動させる。その頃には2人の異変に生徒たちも気付き、麻子の身体が少し前後に揺れ動いていることは、乳房の不自然な揺れ方からも気付いていた。
潤みを増していく麻子の瞳、苦悩を物語るように時おり開く唇、そしてついに顔を俯かせてやや横に向けたり、再び上げた顔はどこか切なげに変化して見えている………。
麻子は生徒の誰とも視線が合わないように遠くを見詰め、いつ終わるともわからないこの快楽にひたすら耐え続けていく。醜態を晒すことで芸術を汚したくない、いや……若い彼らの前でオーガズムを迎えるなんて、そんな恥ずかしいことは何があっても受け入れられない……。
そんな麻子の願いは自由に動けない分、長持ちしてしまった彼に身体が高まっていくのを自覚もしていた。
吸い付くようにして纏わりつく麻子の膣壁と優しくぶつかる子宮口、幾度も繰り返される硬く熱い杭による往復輸送………。
いくつもの生徒の目が息を飲んで2人を見詰め、温かい中から麻子の粘液を纏わりつかせた艶々の陰茎の根元が、姿を見せては花園の中へとまた消えていく……。
もう、許して…………。
そんな麻子の内なる叫びが肩で息をする姿から感じ取れ、少し頭を跳ね上げるような仕草からその時が近いことを予感させた。30分以上も続けられた甘く切ない苦行は、彼の暴走によって終りを迎えることにはなる。
麻子の腰を掴んでいた彼の両手が脇腹からその上へと伝い、豊かな乳房を包みこんだのだ。
恍惚とする麻子の顔、美しい裸に絡みつく逞しい男の腕と手は、さながら蔦のように見えなくもない。美紀には苔生した森の中で蔦に絡みつかれながら生気を注がれる美女、そんなふうに見えていた。
そして、ついに…………。
美紀の指示もないのに暴走した彼は、クビになったのか姿を見せることはなくなった。
座面に突っ伏したあの日のことは、今でも忘れことができない。
それほど恥ずかしくて屈辱的で、苦しくて戸惑いの中で堪らなく良かったから…………。
38歳を迎える半年前の、秋だった。
それからも何人もの若い男性モデルがやってきたけれど、麻子が気に入ったのは2人だけ。
ひとりは昨年に半年ほどのモデルをしてくれた人で、彼は就職のために社会へと旅立っていった。
そしてもう一人は、言うまでもなく拓也である。
彼の人柄と相性の良さ、中毒性のある立派なあのペニス…………。何人もの男性と身体を重ねてきた麻子でも、彼は別格だった。
そんな麻子はある大学に経済学の客員講師として教鞭をとり、沢山の学生の前に立ったのは新鮮だった。誰も自分を知る者はいない、ただの客員で迎えられた講師の顔を知る者などいないと高を括ってのだけれど………。
ひとりの熱い視線を受けていたことに、麻子は気付けなかった。
夕方の帰宅ラッシュに混み合う電車に揺られて、麻子はヌードモデルの仕事をぼんやりと思い返していた。いつまでも続けられる仕事ではなく、この大学講師も先を見越しての行動でもある。
緊張感と羞恥心に身を焦がし、若い男性に貫かれて身を捩りたいほどの快感を注がれても、ひたすら我慢しなければならない。最も拓也が来てからここ半年ほどは、彼も麻子も性器を露わにすることを求められ、間近でデッサンされることが当たり前になってきた。何よりも挿入されることを隠すどころか公然と指示をされ、今では躍動感を写すためとして芸術の元にセックスを公開しているのだ。
曲線美のある女体に揺れる美しい乳房、可能な限りの角度で麻子はデッサンをされ、逞しい身体を駆使して麻子の中に出し入れさせる拓哉を躍動感あるデッサンが描き出す。
反り返ったペニスが出入りする様を克明に描き出し、正常位、背後位、対面立位、対面座位、背面座位…………その日によっても違うけれど、美紀の求める体位をこなさなければならない。
麻子が何とか自分を抑制出来るのは最初の一回だけで、2回目のオーガズムへと向う彼のピストンにもはや自我を失わなければ、とてもいられないものになっていた。
拓也は美紀の要求に応じて抜き取ったペニスから射精する瞬間を彼女に見せて、顔に飛び散った彼の精液を美紀は舐めて見せた。驚愕していた学生たちも藤木美紀という講師ならやりかねない人だと理解しているらしく、あらゆる場面においても興奮を覚えはしても、もう驚かなくなってきた。
そう……生徒たちに向かって椅子に座った拓哉の上に麻子も腰を下ろし、股を開いてペニスを飲み込む結合部を露わにしても間近で卑猥な音を聞きながらデッサンが出来る。
拓哉をフェラチオする際も間近で女生徒が見詰め続け、麻子をクンニリングスする際には彼の舌先にクリトリスが弄ばれるのを、男子生徒が釘付けになって見詰めた。慣れとは恐ろしく、あの空間なら生徒とモデルを問わず罪悪感は無くなっているのかもしれない………芸術だとの建前で。
麻子は不意に、下半身に異変を覚えた。
自分の背後にピタリと貼り付いた何者かによってお尻を弄られ、前に回った手がスカートの裾を持ち上げられていく。若い女ならいざ知らず、自分のような中年女に痴漢するのは変態に違いない。
麻子は必死に静かな抵抗を見せたけれど、その手は難なくスカートの中へと侵入を果たし、パンストのそこを破って敏感な所を弄りだした。
そして気付く、この手触りと仕草、背後から漂う体臭は拓也だと…………。
ショーツの中へと侵入した指に慣れ親しんだ愛撫が開始され、麻子も彼のズボンの前を後ろに回した手で擦る。堪えきれなくなった拓也は分身を取り出して、フレアスカートなのをいいことに破けて広がったパンストの中のショーツを寄せた。
いくらなんでもここでは嫌、それなりの抵抗をしてみせたけれど彼は許してはくれなかった。
麻子は息を止め、奥まで到達してからゆっくりと吐息を出して目を閉じた。電車の揺れが手伝ってあのエラの張った亀頭が中で揺れ動き、彼の意図的な腰の動きも加わる。麻子の弱い所を熟知した拓也は決して早く動かすことはせず、一昨日に味わったばかりの快楽を彼女に求めた。現実の中で非現実を味合わされて、感じないはずはない。だからプライベートで拓也と会うのは、これまで避け続けてきたのだ。悪くない、私が悪いんじゃないわ…………。自分に言い訳をしながら麻子は早くもそのとろけそうな感覚に、膝の力が抜けそうになっていた。
我慢なんて、出来るはずがなかった。
満員電車とはいえいつまでも繋がっていることはできず、下半身が露わになった麻子のスカートを拓也は直すと、彼女に手を引かれて駅の外へと彷徨い出た。駅前から離れてしばらく歩き続けると幹線道路が現れ、衣料品店や和食レストラン、ファミリーレストランが並ぶ対面にドラッグストアが見えてきた。駐車場もそれなりの広さがあり、その一角にトイレがあるのを見つけると、迷わず麻子は多目的トイレに拓也を引き入れる。彼をペンキに座らせると下着を脱ぐ時間も惜しくて、先ほど彼に貫かれたようにショーツを寄せて拓也のそれを飲み込むように腰を下ろしていった。
彼の肩に置いていた片方の手で自分の口を塞ぎ、下半身を前後に揺する麻子が堪らないといったように首を振る……。
上下に腰を振り下ろし、波打つような動きで前後に腰を揺らして大人の女の強欲さを見せつける。
拓也も麻子の身に着けるボータイブラウスをスカートから引き抜き、ベージュのブラジャーをずらして乳房にしゃぶりつく。障害者用に設えられた両サイドのバーを背中より後ろ側で両手で掴み、下半身だけを躍動させる麻子の頭が跳ね上がる。
ペニスのエラが気持の良いところを擦り、子宮口に繰り返し当たっていく……。何度も何度も当たって、もうこれ以上は……………。
そんな心境の麻子にくぐもった声を上げた拓也に身体を突き上げられ、中に射精されていくのが伝わってくる。1度離れて簡単に処理を終え、今度は壁に手をついた麻子を拓也が後から貫く。
加減をしつつ容赦のないピストンが繰り返し麻子の中を掻き乱し、後から両手で麻子のに乳房を鷲掴みにする。半分ほどが外にでたペニスが忙しく膣の中へと沈み込み、麻子は力強く逞しい彼のその分身の突き上げにオーガズムを迎え、彼に支えられなければ倒れていたかもしれない。
もう一度後からの執拗なピストンを受けて立っていられなくなると、便器に座らされた麻子は中腰になった拓也に正面からの攻めを堪能することになった。講師としての麻子は凛々しくて、いつもの彼女とは別の顔を見せていた。講師として大学に現れた彼女を見てびっくりしたけれど、彼女が身につけているスーツの下を思い出して、講義どころではなくなっていたのだ。その彼女の中の吸い付くような感触を堪能し、数時間前に見た顔とはまるで違う淫らな麻子を容赦なく攻めていく。
オーガズムを迎えては身体を弾ませ、また激しく突いて3度目、4度目と麻子を狂わせて限界を迎えてしまった。
もう離れられない…………。
脈動を繰り返して中に注ぐ拓也に対し、40の女が腰を震わせていた。
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