心のどこかでブレーキをかけて、包皮の上をただ移動させるだけの拓也の舌先。唇で軽く吸うようにしては舌先を左右上下にゆっくりと動き回していく。キャンパスと卑猥な格好で不自然に一部分が繋がる2人を見る生徒たちは、各々が想像を膨らませ官能と芸術性を融合した感性を原動力にしてキャンパスに手を走らせる。遠くの一点を見詰めて瞳を潤ませる麻子の下で、男性モデルの拓也の口は左右に道を広げた秘部に埋もれ、恥毛が邪魔をしてその口元の動きは生徒たちにも確認は難しかった。それでも片脚立ちになった麻子のお尻が時おりキュッと閉まる動きを見せ、何が繰り広げられているかは見当がつくというもの………。
生徒のひとりは無表情の中に麻子の目が真実を語っているように見え、麻子が呼吸を乱す際に弾んで揺れる乳房に吸い寄せられて仕方がなかった。
またある女生徒は麻子が薄く唇を開き、お腹に力を入れて短く強い吐息を漏らす彼女に気付いていた。美しく妖艶な姿を見せる麻子に密かな羨望の眼差しを向け、彼の肩に食い込む指が白くなっているのを見てエロスの中に芸術を見出していた。
口の中に流れ込む麻子の粘液が喉に纏わりつき、どうにか飲み下す。肩に食い込ませる麻子の指先の痛みで我を失わないで済んでいる。
舌先は張りのある塊を包み込む大福の餅を撫でる感触に似て、はっきりと包皮の下の存在を感じていた。反射的に動こうとする腰を意識しながら自ら固定させ、辛うじて姿勢と無表情を保ち続ける麻子が不意に身体を一瞬、震わせる………。
拓也は上唇で包皮を押し上げ、つるんとした敏感な塊を捉えたのだ。舌先を不用意に動かすことはせず、まるで足踏みでもするようにクリトリスに触れたり離れたりを繰り返していく………。
肩を掴む麻子の指先に強い力が加わり、逃げようとする腰を下から支え持つ両手が逃さない……。
過剰でもなく足りなくもない、女をその気にさせるには十分な拓也の愛撫は執拗だった。
いよいよ身体を動かさずにいられなくなった麻子の裸体が揺れ動き、身体全体を上下させるように呼吸をして見せるするようになった彼女は明らかに口で酸素を求めて開く。このままでは醜態を晒してしまう、このままでは…………。
美紀は若い彼に翻弄されるだけの麻子に痺れを切らし、次なる指示を出した。
じゃあ、そこまででいいわ………。
貴女は身体を寝かせてくれるかしら………。
そうね、貴方は彼女の片脚を持ち上げて抱き締めてくれる……?……出来るわよね………?
身体に隙間は開けないで、しっかり彼女の脚を抱え込んでね…………?
美紀の言うところの意味は、ある意味で絶望的に理解できた。芸術を盾にして男女の営みを神秘な世界に昇華させ、彼ら彼女らにキャンパスに作品として写し出させる気なのだ。何をもって芸術なのかは受け手の問題で、感受性の問題なのだ。
だから彼女の個展は入場規制があると、風の噂に聞いたことがある。麻子は足を向けたことは一度もなかった。
もう潮時かもしれない。
この仕事を最後に藤木美紀とは手を切ることになるかもしれないと、麻子は考えていた。
その時、下半身に強烈な圧迫感を覚えて麻子の首が仰け反った。
強かな苦痛を感じ、太く熱を持った杭が身体の中に入ったのを嫌でも自覚させられたら。
片脚が持ち上げられて彼の体の前で抱き締められて、深くまで突き刺さったペニスの先が子宮口に押し付けられる苦しみに息が詰まる。
息を呑んで2人を見詰める生徒たちが、我に返ったように新たなキャンパスに手を走らせ始めた。
薄く瞼を開けると涙で視界が滲む天井が、歪んで見える麻子に美紀の声が届く……。
いいかしら、ここからは個人の力量が問われることになります………。
躍動感をそのままキャンパスに描いて欲しいの、いいわね…………?
生徒たちにそう声をかけると、美紀は首を回らせて顔を麻子に向けたその顔は。
プロだから、出来るわよね………。
そう、語っていた。
その美紀の顔が拓也に向けられると、それが合図だったように彼の腰が後ろに引いた。
今日はテストのつもりでいてね……。
最後に彼女を感じさせて欲しいの、貴方ならできるでしょ………?
そう言って美紀は、ガウンを着た拓也の下半身に視線を投げかける。
いいかしら、私の教える芸術には男女のほとばしるエネルギーが必要なの……。
その躍動感のある被写体があればこそなのよ……。
いいかしら、貴方には理解できないかもしれないけれど、これは芸術の一貫なの…………。
ここでのセックスは、芸術なのよ……。
今日の最後に男を見せてみなさい…………。
控室に着くなり現れた藤木美紀は、拓也にそんなふうにプレッシャーをかけてきたのだ。
テストのつもりだと言われたら、もし彼女を失望させようものなら次はないということか。
拓也には選択肢はなかった………。
膣口から仮首が抜けそうになるまで引かれた腰が、ゆっくりと中程まで沈み込む。強弱を付けた抜き差しが、エラの張った亀頭が麻子の感じる辺りを確実に行き来を繰り返す。鼻で呼吸をしていた麻子の口が開き、己を何とか保とうと壁の一点を見詰めるけれど、大した気休めにもならない。
何かに縋りつきたくて彷徨わせた手が、拓也の膝の辺りに辿り着く。深く甘く、濃厚な快感が押し寄せるたび、プライドなど何の役にも立たないと思い知らされる。軽くお尻を持ち上げて前後に動く拓也の腰が、まるで極太の鰻のように動く。
生徒たちにはペニスの半分ほどが姿を見せては、また沈み込む様子が如実に見えている。麻子の膣液でコーティングされて輝く硬い杭が卑猥な水音を奏で、やがては中にほぼ埋まったままの躍動へとシフトする。
麻子はプロらしくいたずらに声を上げず、息を吸う時と吐く瞬間に堪えきれないとでも言うように、僅かばかりの女の声を漏らす。
無表情の仮面は今や見る影もなく、表情を歪めて右に左にと顔を倒してふとした瞬間に、あまりに卑猥な表情を見せつける………。破顔しては官能的な女の顔を見せ、喘ぎ声の代わりに激しい息使いが快感の深さを代弁しているようだった。
麻子はキャリアもプライドも両手から離し、たかが外れたように背中を仰け反らせる。堪らない奥を突かれ続けてはもう、堪えきれるわけがなかった。床から麻子の背中が浮き始めて動かなくなった時、彼女の腰が跳ね上がった。2〜3回弾かれたような動きを見せ、胸を激しく上下させたまま静かになってしまった。拓也は麻子の両膝を抱え込むと、再び奥深くを目掛けて突き入れる。
沸騰した熱湯がいくらも冷めないうちに温められるように、敏感になった中を掻き回されて甘〜い声をついに上げる麻子……。
拓也の腰に両手を纏わりつかせ、その手を下げて彼のお尻を抱え込む……。
速くもなく遅すぎることもないペニスの出し入れが、年増の女を酔わせ恍惚に染めていく。
顎を上げてその時が近づく麻子が膣を収縮させて、彼を締め上げる。
そして再び床から背中を浮かせると、意識が飛んだ。
必死に歯を食いしばったけれど、麻子の中でおびただしい量の拓也の精液が放たれた。
彼女の上に突っ伏した拓也の背中は、汗で光っていた………。
翌週、大きくて硬いペニスを咥えて頭を前後させる2人を、至近距離でキャンパスに写す生徒たちがいた。
舌の裏まで使って亀頭の周りを時計回りに360°回転させ、また口の中へと見え隠れする。
射精の兆しが見えたところで攻守が交代し、仰向けになった女の股の間に顔を埋め、両手で彼女のそこを開いて唇を沈める。
その周りをやはり至近距離で囲む生徒たちが固唾を飲んで見守り、小陰唇の内側に走らせた舌先がクリトリスを捉えて弄ぶ様子に釘付けとなっている。
彼ら彼女らのキャンパスには見事なペニスが描かれ、女の口に咥えられて半分しか姿がないペニスや、艶のある陰茎をそのままに全体像を描く女子生徒がいた。また男子学生は女の複雑な様相を見せるそこを詳細に描き、やはり艷やかな感じを表現し、男の舌先が露出させられたらクリトリスを舐める様子を如実にキャンパスにと写している。
そして男女の交わりが始まると、生徒たちの手が忙しくなる。各々が印象的と捉えた瞬間を紙の上に落とし、後は2人の交わりを見ながら肉付けをしていくように仕上げていく……。
1度目の射精が済み、抜かずに体位を変えて行われる2人の結合部からは精液が溢れ出て纏わりついていた……。
麻子はその味を忘れることができず、結局は美紀との付き合いを続けることにしていたのだ。
拓也とのセックスは、仕事としてじゃなければならない。プライベートで会えば、際限なく求めてしまいそうだから………。
拓也が2回の射精を終える間に麻子は、5〜6回のオーガズムを迎えるのが常だった。
朝まで彼を独占したい気持ちを抑え、今日も麻子は着替えを済ませて控室から帰路へと向かった。
自分もそろそろ着替えようと椅子から立ち上がったとき、藤木美紀が入ってきた。笑顔を浮かべた拓也だったけれど、内心では何を言われるのかとヒヤヒヤしていた。
ちょっといいかしら…………。
麻子ほどの美人ではないけれど、決してブサイクではない暴君の美紀は好きになれない。今も浮かべるこの不敵な笑みが、何よりも嫌いなのだ。
座るように命じられた拓也は椅子に座り直し、次の瞬間に起こったことが理解できなかった。
ガウンを開いて、フェラチオを始めたのだから。
ずっと気になってたのよ、貴方のこれ………。
そんなことを言われても困るのだけれど、彼女の口は麻子よりも数段上だった。美紀を制止することもできず、その口の素晴らしさに委ねるしかない拓也は麻子に罪悪感を抱かねばならなかった。
麻子とは心が通じ合い、だから毎回彼女と身体を重ねるのが好きだったのだ。なのに…………。
美紀はもう我慢ができないとでも言うように身体を起こすと、拓也の目の前で両手をスカートの中に入れてショーツを引きずり下ろした。
そのまま椅子に座る拓也を跨ぎ、苦しそうな声を出して何度か腰を浮かせながらやっと最後まで腰を沈めた。
やっぱり貴方、大きいわね…………。
麻子よりも狭い中は窮屈で、お世辞にも心地良さは感じられない。それも数分後には、180°ひっくり返ってしまう………。
美紀の滑らかな腰使いは間違いなく良かったし、麻子の中は吸着するように締め付けるのに対し、美紀の中は最初から狭くてザラついた範囲が広いのだ。さらに彼女は感度が高く、積極的に動かすのだから堪らない…………。
ピルを飲んでるから、中に出して…………。
快感に酔いしれる彼女は達する前に、拓也にそう告げてきた。なんて自分勝手な人なんだと思ったけれど、意図せず美紀は拓也のペニスの虜になってしまった。
こうして拓也は同日に2人の女性と交わる日が、続くことになった。
麻子では得られない部分を美紀から注がれ、美紀にない部分を麻子から受け取っていく……。
もう歳下から同年代の女性には、興味が湧かなくなってしまった………。
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