飽きもせず繰り返される通勤ラッシュの朝、その最も混み合う時間の電車内に松本ゆき子はいた。
依頼者に付き纏い続ける、そんな不届き者を捕まえるために……。
痴漢の中には鼻の効く者が一定数が存在し、その鋭い勘を働かせて危険な網を掻い潜る。野生動物並みのその勘で不穏な空気を感じ取り、一歩前に踏み出そうとしていた足を、踏み止める。いくら取り締まる側が距離を取ろうが相手は尻尾を出さず、目を光らせながら様子を窺うのだ。
危険が去ったことを察知すれば影のように忍び寄り、依頼者をその毒牙にかけていく……。
忍者のように身を隠して巧みに自らの欲望を成し遂げ、依頼者を悩ませ続ける……許せなかった。
今日こそは女の敵をまた1人、奈落に突き落としてやる。ゆき子は依頼者の後ろにぴたりと張り付いて、自分を盾にガードする。一流企業の管理職の立場に就く彼女にスキャンダルは命取りであり、隠密に処理しなければならない。彼女と同じような濃紺のピンストライプのスーツで身を包み、膝上10センチのミニタイトスカートを餌にする。
痴漢は既に依頼をその目に捉え、ゆき子にガードされて忸怩たる気持を抱いていることだろう。
けれど散々お預けをされ続け獲物を前に手を出せないストレスを、依頼者と同等の美味しそうな女を目の前にしたまま黙っていられるだろうか……?
きたっ………!
罠にはまった相手の手がゆき子のお尻に触れ、そのスカートを上へと持ち上げ、手を中へと………。
痴漢の末路は哀れなもので、ゆき子の迅速な拘束により公衆の注目を浴びることを恐れた男は、意外にも素直に連行されて収束してしまった。
ゆき子は依頼者にこれ以上はないだろうというほどの感謝の言葉を受け、満面の笑顔で会社に向かう彼女の背中を見送った。
また1人女の敵を葬った満足は感に1つ溜息をつき、ホームに滑り込んできた電車に乗ろうとして、ゆき子は踵を返したところだった。
首筋にチクリッと痛みを感じた直後、視界が歪み身体の力が抜けて立っていられなくなっていた。
どうしました……?
大丈夫ですか………?
もしもし、大丈夫ですか………?
数人の男性に声を掛けられ、身体を支えられたところまでは覚えている。そうだ、車に乗せられたのか、後部座席で揺られながら車の窓から外をぼんやりと眺めていたかもしれない。何か薬品のようなものを嗅がされ意識を取り戻したゆき子は、真っ暗な空間の中で頭の上には照明の灯りが降り注いでいた。
身体を動かそうとして、手足が縛られていることに気付く。大の字に近い柱に両腕を伸ばした状態で、両脚もまた同様に広げられ拘束されている。
不意に視界の横から現れたのは、以前ゆき子がその手で捕まえた痴漢だと女の勘が告げていた。
身の破滅を経験した彼が何を考えているのか、それはゆき子には容易に想像がつき、自分の迂闊さを呪いたくなった。
下卑た笑みを顔に張り付かせ、白いシャツブラウスのボタンを恭しく外していく。必死に身を捩り渾身の睨みを効かせるゆき子を嘲笑う彼は、大きく胸の前を開きブラジャーのホックを外し両肩のストラップをハサミで切断してしまう。元の職場には想いを寄せてくれた同僚は少なくなく、その誰にも見せたことのないCカップが露わになる。
乳輪は普通、ぷっくりとやや大き目の乳首は色褪せたピンク色……いや、薄い茶色に変化しつつあって大人の女の魅力を漂わせていた。覆面を被った男がゆき子に近寄り、怒りの炎を灯した刺すような目を向けてくる彼女の乳首を口に含む。空いて手も片方の乳房に添えて、執拗に舌を動かす。
その勇ましさとは裏腹に敏感体質らしいゆき子はその身体をぴくぴくと反応させ、唇を引き結んだままただ鼻息を荒くさせるに留めようとしている。吸われて根元から伸びた乳首が男の唇から抜け落ち、硬く勃起した突起がぷるんっと弾む。
男の唇がゆき子の乳首を交互に含み、弄ぶ間に下げられた利き手がスカートを捲し上げていく。
どこといって特徴のないシンプルな白いショーツが現れ、両サイドの部分が細くお尻を包む部分の面積は半分くらいしかない。機能面よりも身に着ける者のプライドを優先させる、そういった類のランジェリーであることが分かる。男はそれをも容赦なくハサミで横を切断し、ゆき子にクロッチの裏側を見せてそのおりもの汚れを見せつける。
割れ目の形に黄色く乾いた汚れに鼻を近づけて臭いを嗅いで見せ、舌で汚れを舐め取る男を殺意を込めた鋭い目で睨むゆき子。屈辱を味合わさせたことを返す男はその目を受け止め、覆面を被っていても分かる下卑た笑みをゆき子に向ける。視線を逸らさずにしゃがんで見せるとゆき子の顔を見ながら、目の前の恥毛を指で左右に開いた。
怒りに手足の拘束を解こうと身悶えさせ、噛みつきそうな形相の彼女を見ながら舌を這わせる。唸り声を発するゆき子を尻目に汗と尿、おりものが発するチーズ臭と酸臭を鼻の奥に吸い込みながら舌を忙しなく執拗に動かしていく。やがて声すら出さなくなったゆき子は太腿の筋肉をぴくぴくさせながら、声を出しまいと不自然に口を閉じる。
両手で開かれた花園に唇を押し付ける男が、敏感な所を舌で弄びながらゆき子の顔を凝視する。もはや誤魔化しようのない反応を見せるゆき子が、意地でも喘ぎまいと堪える。男の包皮から剥き出しにした陰核を、これでもかと舌先を上下に動かし容赦なく弄ぶ………。
ふんっ……むっ!……ふふんっ!…んんっ!…んんっ…!
涙目になったゆき子がそれでも屈しまいと、くぐもった声を喉で押し留める。頑固な自分に本来なら魅力的に見えるはずのバイブを手に取る男を見て、ゆき子は息を飲んだ。レスビアンの噂を流されるほど浮いた噂のないゆき子だったけれど、女の欲求を慰めることだって当然ある。人に見せることではないその方法は、クローゼットの隅にある箱の中に収められた、数種類の大人の玩具を使用することである。その中でもその時の気分で選ぶ疑似男根はサイズも様々あり、使用頻度が一番多いのはエラの張った亀頭をもつ肌色のバイブである。
色こそ違うけれど男の手にする黒いバイブもエラの張りが見事で、その材質感からあの嫌な硬さの無いシリコン製品であることがすぐに分かった。
それを容赦なく挿入されると動かされ、ゆき子の反応の良い所を執拗に攻めてくる。あんなに険しい形相をしていたゆき子の顔が呆けたように弛緩して、男が手首のスナップを使うとその美貌をうっとりとさせて今にも声を漏らしそうになる。
どうした、そんなに感じた顔をして………。
そんなに気持ちいいのかな………?
ハッとしたようにゆき子が我を取り戻し、男を睨みを強がりを言う。
気持ちよくなんか無いっ………!
アンタのなんて、感じないわっ………!
そんなふうに虚勢を見せるゆき子の片足を、男はは拘束を解く。蹴り上げようとしてくるその脚を抱えて持ち上げると、男はスボンのチャックを下ろしペニスを取り出して彼女に見せつける。危機感を抱いたゆき子はこれ以上なく身体を暴れさせて見たけれど、自由になったはずの片脚すらも抱えられて満足に動かすことも出来ない。悔しくて涙を滲ませた目で男を睨みつけ、唸り声を上げるゆき子に衝撃が走る。
もう何年も忘れていた温もりの感触は、時の流れを経ても身体が覚えている。
間違いなく、生身の男のペニスだった……。
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