飲みに行かないかとい同僚が、手でグラスを傾ける仕草を見せて誘うのを丁重に断った。恨み言を呟く彼に手を合わせて苦笑いを返し、駅に急ぐ。
帰宅を急ぐ足がマンションの入り口に達した時、買い物袋を手にした麻子とちょうど鉢合わせになった。あら早いじゃない……麻子はそう言うと熟女好きの学生が嫉妬しそうな、魅力的な笑顔を浮かべた。
ヌードモデルを引退し大学の講師と自分の好きなことをしながら暮らす麻子とは、今でも関係が続いていた。いずれそれぞれの道を歩む日が来るその日までという、暗黙の了解の下の関係は未だ別れるその理由がお互いに見つからないのだ。
気が向いたらどちらともなく連絡があり、どちらかの自宅で逢瀬する。月に2〜3回のことだけれど社会人となった今、講師と学生として顔を合わせることもなくなってからは、より新鮮に感じる。
玄関を潜りキッチンに買い物袋を置いた麻子が、料理の準備を始めようとするのを拓也は止めた。不服そうな顔をする麻子を抱き締め、抵抗を見せる彼女の唇を奪うと身体の力が抜けていった。
もう堪え性のない人は嫌いよ、お腹がペコペコなのに…………。
諦めたように水色のスーツの上を脱いで椅子にかけると、下のタイトスカートのホックを慣れた仕草で外してファスナーも下げる。ヌードベージュのセパレートストッキングを吊り下げるシンプルなガーターベルトに男心をくすぐられる。それらも取り去ると白いボータイブラウスを惜しげもなく脱ぎ去り、50歳には見えないプロポーションを拓也に見せつけながら浴室に向かっていった。
シャワーの音が聞こえて10分ほど待ってから、拓也も彼女の元へと向かう。洗濯カゴの中に脱ぎ捨てられた下着の上下が、抜け殻のように放置されている。静かに扉を開けると、やっぱり来たのね……そんな顔で拓也を出迎える麻子。ボディシャンプーで泡立てた手を彼女の身体に這わせ、首筋から両腕、背中から腰とお尻、デコルテから両方の乳房、お腹、両脚、そして………恥毛、恥部……。
麻子も拓也の身体の隅々まで泡立て、2人の身体の泡を交互に洗い流す。待ち切れないとでもいうように拓也の乳首に口を付けた麻子が、優しく吸って舌先を使う。途端に豹変したペニスが屹立を見せ、膝をついた麻子が両手で掴みながら舌を這わし始める。
頬を凹ませた麻子が容赦なく頭を前後に揺らし、拓也が男であると確認するように弄ぶ。こんな所で射精しようものなら興醒めになる、目を閉じて麻子の頭に手を置いて、彼女の気の済むまで耐えなければならない。瞳を潤ませた麻子がようやく立ち上がると、今度は拓也が彼女の乳首に口を付ける。首筋に唇を這わし、デコルテに舌先を遊ばせて乳房に戻る。少し強めに乳首を吸って舌先で弄び、硬くなった乳首を舌先でなぎ倒す。はぁ~……っと吐息を漏らす麻子が拓也の頭を撫で回し、太腿を擦り合わせてその先を促す。
片膝を持ち上げて自分の肩に乗せると、とろとろになったそこに舌を捩じ込んでいく。濡れて貼り付いた恥毛が欲情を誘い、呼吸が荒くなり始めた彼女のクリトリスに吸い付くとスイッチが入ったように、彼女の声が浴室に響き渡る。弾かれたように頭を持ち上げ、生徒たちの前でクンニリングスを受けていたときは、かなり我慢していたのだと今は分かる。膝を震わせ激しく喘ぎ、拓也の舌先に翻弄されてしゃがみ込んでしまった。それでも瞳に宿した炎は消えておらず、拓也の髪の毛を鷲掴みにした麻子は彼を立ち上がらせ、彼の身体に膝を持ち上げで絡ませると、熱い眼差しを向けて待った。
そして、彼の首に両手を回した麻子の身体が激しく揺れ始める…………。
一戦交えた後の麻子の手料理に舌鼓を打った拓也は、食器や鍋、フライパンの後片付けを済ませた。
空腹を満たした2人はベッドへと身体を移し、彼は明日モデルの仕事で身体を酷使するというのに、成熟した麻子の身体を求めた……というよりもむしろ麻子の求めに応じ、お互いの身体を貪るように求め、夜は更けていった……。
セックス依存症なのだろうかと思ったこともないわけではないけれど、普段はまるで興味は沸かない。実際にも通勤電車で綺麗な女性に密着されても何ともないし、毎朝電車内で会う顔見知りの女性なんて、拓也が安全パイだと知って痴漢から逃れるためにわざと身体を寄せてくる。その女性も綺麗な人だけれど拓也にとってはある意味どうでもよく、そういう対称ではない以上、興味は沸かなかった。
モデルの仕事で激しいセックスを日々こなしているだけに、その相手でもなければ余計な体力を使いたくはないのだ。自分と繋がりが出来れば話はまた別だけれど、今は間に合っているのだから。
拓也は麻子と交わった次の日に元生徒だった女性モデルと交わり、彼女の相変わらず励ましい腰使いを受け止めた。次の日も二人目の元生徒だったモデルの欲情を受け止め、2人の年増の業を美紀の芸術に昇華させ、美紀を納得させると共に生徒たちの肥えた目を満足させた。
特にこの2人は生徒の時に拓也のセックスを見続けてきただけに性欲が強く、満足させるには1度や2度のオーガズムでは納得してくれない。何より美紀が女性のオーガズムに身を躍らせるその姿に芸術性を感じ、彼女を納得させるまで3度4度と立て続けにオーガズムを味合わせないとならないのだ。
別日に若い唯と交わるとまるでデザートのように感じられ、成熟度を重ねていく彼女を何度か絶頂に導いてその週を締め括る。
心地良い疲労を感じながら帰宅しようとする拓也を呼び止めた美紀が、一週間ほど夏季休暇をとるという。個人的に彼女に休む理由があるのだろうと察して、そこは素直に了承する。
来週の最初は麻里と会えるはずだったのに、少しだけ会える日が先延ばしになるのが残念だけれど、仕方がない。
その夜、その麻里から連絡があり、温泉に誘われたのだ。家庭がある彼女は普段は自分の趣味で休日も家を空ける夫に、たまには子供の相手をしろとキャンプに連れて行かせるらしい。自分は女友達と温泉に行くと、夫には伝えたのだと……。
拓也は有給が取れるだろうかと、今から上司にどう胡麻をすろうかと考えていた。
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