冷え切った表情でヤマトが見てる。
こんなヤマトを今まで一度も見たことがない。
「そうか、、、お前がミナミの恋人か、、、もう、諦めろ、、、ミナミは俺のオンナだ、、、俺の方がずっといいと言ってる、、、今日だってミナミからオマ○コしたいって誘ってきたんだからな、、、」
「ウソよ、そんなのウソ!」
「ウソじゃないだろうが!間違いなくお前はそう言
った!」
「黙れ、このクソが、、、」
「なんだと、このヤロー!」
胸ぐらをつかんできた真田の腕を簡単に捻り上げる。
「あぐ、ぐおっ、、、ぐっ、痛い、、ぐぁ、痛え!やめろ!」
「折ってやろうか?二度と箸が持てなくなるぞ、、、」
骨が軋む。
「やめてくれ、、、痛い!俺が悪かった、、、頼む、、、赦してくれ、、、ああっ、、、」
ヤマトは離してやった。
真田はうずくまり腕を押さえている。
痛い痛いと言いながら涙すら流してる。
なんだこのクズは、、、
見かけと口先だけのチンピラか、、、
こんな男とミナミはセックスしてたのか、、、
やりきれない気持ちになってしまう。
「しばらく休めば痛みも治まる、、、」
ヤマトはその場を去った。
「ヤマト、待って!」
ミナミが追ってきた。
「誤解なの、、、本当にいきなりキスされて、、、」
「ウソをつくな、、、全部聞いてた、、、3Pのことも、、、」
「あっ、、、あああっ、、、」
そんな前から、、、
「あんなの本気じゃない、、、話を合わせてただけ、、、」
「お前はどれだけウソがつけるんだ、、、ミナミは前からそんなウソばかりのオンナだったのか?」
「違う、、、、、でも、、どうしてすぐに声をかけてくれなかったの?」
今度は逆ギレか?
人のせいにするつもりでいるのか?
ミナミも所詮他のオンナとかわらなかったんだ、、、
「ミナミの様子がヘンだったからだ、、まさかと思った、、、ミナミのことを最後まで信じたかったからだ、、、」
「ゴメンなさい、気の迷いだった、、、わたしが離婚してヤマトが出張で逢えなくて、、、ヤマトがまだ結婚してると思ってたから、、、すごく不安になって、、、そんなときに誘われて、、、つい、、、魔が差したの!」
「そうか、、、それからもずっと続けていたんだな、、、もういいよ、、、俺たちはおしまいだ、、、」
「そんなこと言わないで、、、セックスだけだったの、、、愛しているのはヤマトだけ!」
ヤマトはミナミの両肩を掴んだ。
「愛している人がいれば、他の男とセックスだけならしてもいいのか、、、頭がどうかしたのか?俺が愛したミナミはこんなことはしない、、、もう二度とミナミを好きになれない、、、分かってくれ、、、」
ミナミの瞳から大粒の涙が溢れ出す。
「もう二度としないから、、、もうヤマトを裏切ったりしない、、、いいお嫁さんになる、、、だから別れるなんて言わないで、、、」
「ムリだよ、、、俺は一生ミナミを赦せない、、、」
通りかかったタクシーを止め、ミナミを乗せて自分も乗り込む。
「最後に送って行くよ、、、」
あんなところで一人にしたら今のミナミはどうなるか分からない。
ミナミはずっと泣きじゃくり、ごめんなさいと呟き続けている。
運転手が心配そうにしていた。
ミナミのアパートの前で車を降りる。
「ミナミはレナちゃんを放っておいて何をしてるんだ?」
「ごめんなさい、、、わたし本当に愚かだった、、、」
「あの男、結婚してるんだろう?」
ミナミは頷く。
「ミナミの人生だ、好きに生きればいい、、、でも二度とこんなことはするな、、、レナちゃんを不幸にするな、絶対に、、、」
「分かった、、、」
ミナミは何度も頷く、、、
「わたしたち、、、本当に終わりなの?」
「ミナミはバレなければ浮気を続けるつもりだったのか?」
「違うよ、結婚したら別れようと決めてた、、、絶対に、、、」
「それまでは続けるつもりだったと言うことだよな、、、俺を裏切り続ける気持ちでいた、、、」
「違う、、、あっ、ああっ、、、」
そういうことになる、、、
どうしてそんなふうに考えなかったんだろう?
呆れるほどわたしは愚かだ、、、
「本当に終わりだ、、、もう二度と逢わない、、、さようなら、ミナミ、、、」
ヤマトが去っていく。
一度も振り返ることもなく。
わたしには泣いてすがる権利すら無い。
ミナミはヤマトの後ろ姿が見えなくなってもその場に立ちつくしていた。
一番大切な人を失ってしまった。
迷惑ばかりをかけ甘えるだけ甘えて、なんのお返しもせずに裏切ってしまった。
わたしがヤマトにしてあげたのはセックスだけ、、、
そしてそのセックスでヤマトを裏切った。
想ってくれている人にどうしてそんなことが出来るのだろう?
わたしはいつの間にか最低の人間になっていた。
わたし自身が大嫌いなクズオンナ、、、
泣く資格もないくせに涙が止めどなく流れる。
ヤマトに二度と逢えない。
苦しい、、、こんなに辛い、、、
分かっているつもりで、まるで分かっていなかった。
レナが心配そうに近づいてくる。
ミナミを窓から覗いたのだろう。
「どうしたの?お母さん、泣いてるの?」
「レナ、ごめんなさい、、、わたし、、、」
ミナミはレナを抱き締めた、、、
そして泣き続けた。
つづく
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