夫の顔色が悪い。
元気もない。
会社で何かあったのだろうか?
娘のレナがお風呂をすませ部屋に入ると、リビングから夫が声をかけてきた。
「ミナミ、、、話があるんだ、、、」
「ちょっと待ってて、、、」
洗い物をすませソファに座る。
「話ってなに?」
「すまない、、、俺はミナミを裏切っていた、、、」
いきなり、、、夫から切り出すなんて、、、
どういうつもり?
「それで?」
「、、、驚かないのか?」
「知ってたから、、、」
「まさか、、、どうして?」
「アナタのパソコンを見たから、、、」
「あっ、、、どうして黙ってた?」
「そうね、、、絶対に赦せないと思ったけど、、、ハッキリとは分からないわ、、、きっとわたし達の関係には長い歴史があって、、、躊躇いがあった、、、でも言うつもりではいたわ、、、ショックだった、、、まさか高校の時からだなんて、、、ハルミのことは酷すぎるよ、、、」
「彼女から誘ってきたんだ、、、でも本当に悪かったと思ってる、、、」
沈黙が流れる。
「実は、、、会社の子が妊娠したんだ、、、」
「えっ?」
「俺の子だ、、、」
この人は避妊もしないで浮気してたの?
「別れて欲しい、、、彼女と暮らそうと思う、、、」
勝手な言い分に呆れかえってしまう。
先日リクヤはミドリに妊娠を告げられ結婚を迫られた。
既婚者の自分が部下の女子社員に手をつけ孕ませたことが会社に知られたら、何もかもが終わってしまう。
「ミナミやレナのことは愛してる。でも彼女のことも愛してるんだ、、、出来る限りのことはする、、、別れてくれ、、、」
ハッキリと分かった、、、
こんな男を赦すことは出来ない。
もう一緒にいたくない。
「わかったわ、、、別れましょう、、、」
ハッキリと告げた。
娘のレナにも事実を告げた。
13になったレナは思春期の真っ只中で、あからさまに父親への嫌悪感を露わにした。
仕事にかまけ家のことは母に任せっきり。
そのくせたまに顔を合わせると細かいことを注意してくる。
普段から偉そうに煙たい存在だった父親は裏では浮気をして、若い女を妊娠させた。
気持ちが悪いと思った、、、
最低の父親だ、、、
当然母のミナミと暮らすと断言した。
ミナミはヤマトにも相談した。
ヤマトは優しくミナミを支えてくれた。
慰謝料や養育費、全て相談に乗ってくれた。
その上、仕事を探さなければならないミナミの勤め先まで紹介してくれた。
それなりの会社の事務職。
女性が多い職場で待遇もかなり良い。
勤めて分かったが優しい人ばかりで居心地もかなり良い。
一ヶ月が過ぎた頃には仕事もこなせ、職場にもしっかりと馴染むようになったいた。
ミナミも生活に落ち着きを取り戻すことが出来た。
一方、リクヤは早くも後悔を覚える日々を過ごすようになっていた。
ミドリと再婚し会社へも届けを出すことで難は逃れた。
若く美しい妻との新婚生活。
しかも妻は資産家の娘。
初めは既婚者だったリクヤに難色を示していた妻の両親もリクヤの優秀なキャリアと可愛くてしょうがない娘の妊娠を知り二人の結婚を認めてくれた。
ところが夢見た新婚生活もそれは幻に過ぎないという現実を知らされた。
料理もまともに出来ない、、、
掃除に洗濯も適当、、、
箱入り娘のお嬢様は何も満足に出来ない女だった。
出来ることはセックスだけ、、、
そのセックスすら妊娠でままならない。
つづく
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