二人が会場に戻ると、とある一団が新たな盛り上がりを見せていた。
「主役がやっと来たぞ、、、」
「もう、どこに行ってたのよ?」
「誰のこと言ってるんだよ?」
「ヤマトくん、、、お前に決まってるだろうが、、、」
佐々木タクヤがニヤニヤしながら指差してくる。
こいつ、、、かなり酔ってるな、、、
タクヤは親友で今でも会う仲だ。
気のいい裏のない良い奴だ。
恐妻家で四人の子を持つ夫でもある。
「ヤマトくん、結婚したんだって?」
「ヤマトがね、、、年貢の納め時かよ、、、」
「まだアツアツなんだろう?」
みんなが茶化してくる。
「いやいや、、、もう三年も立つし、、、」
人の気も知らないで、、、
まあ知らないのは当然か、、、
いずれにせよ余り口にしたくない話題だ、、、
タクヤのヤツ、、、
「ねえ、どんな人なの?」
ハルミと仲のよかったアミが興味津々に聞いてくる。
「スゲェ美人、、、背も高くてモデルみたいな女性だよ、、、」
「へえー、、、そうなんだ、、、残念だな、わたしヤマトくん狙ってたのに、、、」
「アミ、あなた結婚してるでしょうが!」
すかさずハルミが突っ込む。
「テヘペロ、、、」
「バーカ、、、」
そして冷ややかな目でヤマトを睨んでくる、、、
怖えぇ、、、どうしてだよ、、、
「ヤマト、写真見せなさい、、、」
有無を言わせぬ口調、、、
「ないよ、そんなの、、、」
「俺、あるぜ、、、」
すかさずタクヤ、、、
コイツ、、、
スマホを見せる。
結婚式の写真。
白いウェディングドレスのミオと黒のタキシードの俺、、、
タクヤが結婚式で撮ったものだ。
幸せそうにしか見えない二人が微笑みながらスマホに写し出される、、、
「ちょっと見せなさいよ、、、」
ハルミが奪い取るようにスマホを手にすると周りのみんなが覗き込む。
「本当だ、、、スゲェ美人、、、」
「スタイル抜群じゃん、、、」
「若いな、、、何才だよ?」
「五つ下だよ、、、へへへッ、、、」
タクヤ、、、どうしてお前が得意げに言う、、、
「やったなヤマト、、、羨ましい、、、」
「どうしてヤマトばっかりいい目に合うんだ、、、」
「ヤマトくんカッコいい、、、美男美女のお似合いのカップルだね、、、」
半分茶化してるんだろうが、みんなが祝福してくれる。
ヤマトは益々複雑な思いになってしまう。
「ふ〜ん、、、」
そんな中、ハルミは一人眉間にシワを寄せていた。
「まあ、、、キレイだけどさ、、、それ程しゃなくね、、、」
「まあまあ、、、ハルミ殿、、、ここは、、、」
「そうそう、、、ねっ、ここは祝福してあげよ、、、」
二人が付き合っていたことは皆が知っている。
周りがハルミをなだめにかかる。
そんな中、ミナミもスマホを覗き込んだ。
「本当にキレイな人だね、、、川島くん、おめでとう、、、」
ミナミが微笑みながら言葉をかけてくる。
その言葉でようやく一段落がつき違う話題へと話が移っていく。
こういうところがミナミなんだよな、、、
和泉をはじめ誰かが暴走しそうになると、さりげなく皆を抑えてくれる。
和泉、、、ミナミはお前にはもったいないぐらいの女性なんだぞ、、、分かってるのか?
つづく
そして
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