リョウタは学校と道場以外は外出をしなくなった。
ユウカが横川の子供を堕ろしていたなんて、、、
ユウカの言っていた別れの理由は都合の良い言い訳だった。
横川のことが心から好きだったに、妊娠したことで捨てられた。
その傷を癒すために俺と付き合うことにしたんだろう。
相手は誰でもよかった、、、
だから俺が距離を置こうとしたときに、その後釜として処女を捧げた男と関係を復活させた。
ユウカにとって俺は単なる都合の良い男に過ぎなかった、、、
俺の前だけで見せてくれた無邪気な笑顔、、、
こんなの初めてと俺の腕の中で何度も昇り詰めたユウカ、、、
すべてが偽りだった。
何もかもが信じられない。
何もかも忘れたかった。
リョウタはまるで自分を追い込むかのように勉強に集中した。
その日リョウタは部屋へ戻るとベッドに大の字に横になった。
義母と二人きりの夕食。
父はちょうど二週間ほどの出張で不在だった。
美子は稽古以外は外出もせず勉強に没頭するリョウタを気遣ってくれていた。
いくら受験といっても根を詰めすぎてはダメよと心配そうに言っていた。
ユウカとの別れがやはり尾を引いて、更に自分を追い込んでしまうことが分かっていてもリョウタはそれをやめることが出来なかった。
美子もそれが分かっている。
「息抜きは必要よ、、、それに忘れないで、、、わたしはいつでもリョウタの味方だから、、、リョウタのためだったら、何でも出来るからね、、、」
リョウタの手を握り、熱の籠もった瞳で見つめてくれた。
息子を思う母の気持ちがありがたかった。
しかし、その瞳の奥に籠められたモノにリョウタはまだ気づいていなかった。
つづく
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