それからユウカは一途にリョウタに尽くす女へと変わっていった。
クールな美女のイメージは封印され穏やかな笑みを浮かべ人と接するようになった。
自分の過去を心から悔い、生まれ変わってリョウタとの関係を大切にしようとしているように見えた。
そんなユウカに陰でとやかく言う声も次第になくなっていった。
離れていった友人達も少しずつ戻ってくるようになった。
リョウタももちろん、そんなユウカの気持ちをしっかりと受け止めるつもりだった。
しかし時が経つにつれユウカへの情念が以前ほどではない自分に気づいていた。
甘えるユウカ、、、
性に貪欲で激しく乱れるユウカ、、、
それは俺にだけではない。
過去の事を割り切ると決めても、その相手が誰だったがハッキリと分かった今、どうしても割り切れない気持ちが残ってしまう。
知らなければ良かった、、、
相手を知らないままでいれば、そのイメージはぼやけたまま記憶の片隅にでも追いやることも出来たのかも知れない、、、
ユウカと逢えば逢うほど、抱けば抱くほど、その思いが膨らんでいった。
少し距離を置いたほうが良いのかも知れない、、、
リョウタは逢う機会をへらしていった。
夏休みも講習を申し込み、勉強に集中した。
逢うのは10日に一度ほど。
毎日逢うつもりでいたユウカは不満そうだったが、渋々受け入れてくれた。
なにしろ来年は受験なのだ。
リョウタは国立を目指していたが、ユウカはそばにあるそれなりの大学でいいつもりらしく、受験にそんなには熱心ではなかった。
夏休みは2回ほどのデートしかせずにあと2日を残すだけになった。
夏期講習も終わり新学期の準備をしていると義母が郵便を持ってきてくれた。
渡されたのは大きめの封筒だった。
住所も宛名も機械で打ち込まれたものだ。
差出人の名前は無い。
なんだろう、、、
リョウタは封を切った。
つづく
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