始業式が過ぎて三日が過ぎた。
初めは気のせいかと思っていたが周りの雰囲気がおかしい、、、
いつもイブキの周りには多くの友人達がいた。
それが日に日に少なくなっていく。
見た目も可愛い美少女で明るく親しみやすいイブキを悪く思う者はおらず、いつもクラスの中心人物だった。
それなのに今や誰も近づいて来ない。
話しかければ応えてくれるが、すぐに気まずそうに離れて行ってしまう。
そしてもっと気になるのがカイリの態度だった。
声をかけてもつれない返事。
何かと用があると言ってはぐらかされてしまう。
初めは夏休み最後の日のキャンセルでへそを曲げているのかと思って何度も謝ったが「もういい、、、」
と冷たく返されるだけ、、、
スマホで連絡しても出てくれないし何の返事も無い。
明らかに避けられている気がする。
なんとか話がしたくて四日目の朝、カイリの家に迎えに行ったが、すでに学校に行ったあとだった。
一瞬コウヘイのことがと考えたが、すぐに打ち消した。
そんなはずは絶対に無い。
夏休み中のことだし、誰にも見られていない、、、
やっぱりドタキャンしたことが、、、
あの日、、、コウヘイとラブホに行って、、、
二人で思いきり羽目を外して、、、
夜まで7回もして、、、
スゴかったけど、、、
失敗だったかも、、、
今さらながらに後悔してしまう。
とにかくなんとかしなくちゃ、、、
イブキは学校へと向った。
教室へと着くとカイリが親友の須田モリトと話をしていた。
イブキは思いきって声をかけた。
「カイリ、今日、家に迎えに行ったんだよ、、、」
「そんなこと頼んでないだろう、、、そういうの、もうやめてくれないか、、、」
思いもしない冷たい言葉が返ってきた。
「えっ、、、」
そして取り付く島もなく席に着くカイリ。
立ち尽くすイブキを冷ややかな目で見るモリト。
そして周りの皆のヒソヒソ話、、、
イブキは言いしれない不安を覚えていた。
カイリにあんなに冷たくされたのは初めてだった。
思い余ったイブキは放課後スズネに声をかけた。
小野スズネはイブキが高校に入ってからの友人だ。
イブキとは正反対のタイプだった。
160ほどの身長で肩にかかる艷やかな黒髪。
日本人形のように上品に整った顔立ちの超美形だ。
普段から物静かで誰とも話をする社交的な性格では無いので友人は多くはない。
初めは人見知りのしないイブキの方から仕切りに話しかけ、次第に打ち解けるようになった。
今では親友と言えるほど仲も良く、互いに相談出来る間柄だった。
スズネはスタイルもバツグンで一見細身のため目立たないがバストがF以上あることをイブキは羨ましがっていた。
大人びた雰囲気のある学校一の美人と言われ、男子によく告白もされるが全て断っている。
イブキはスズネは男嫌いかと疑っているがカイリとは打ち解け良く話をしている。
イブキは帰り道、スズネをカフェに誘い、人に聞かれないように一番奥まったテーブルに座った。
そして注文した飲み物がきたあと徐ろに話を始めた。
「実は最近、、、カイリの態度が冷たくて、、、」
そして夏休みにあまり逢うことが出来なかったこと、それなのにデートを用事でドタキャンしたこと、、、
二学期になって、話しかけてもつれないし、スマホにも出てくれないと訴えた。
スズネはいつものように黙って話を聞いていた。
「ねえスズネ、、、カイリから何か聞いていない?わたし、、、何かカイリの気に障ること、、、したのかな?」
「思い当たらない?」
「うん、、、全然、、、わたし、カイリに嫌われたくないから、、、気をつけてるし、、、カイリはきっと何か誤解してると思う、、、」
「それ、、、本気で言ってるの?」
「えっ、、、」
スズネの切れ長の目が射竦めるようにイブキを見ていた。
「酷いね、、、」
「何が?」
スズネは何を知ってるの、、、
「ウソつき、、、」
ドキリとする、、、
「ウソなんてついてない、、、わたし、、、酷いことなんて、、、シテない、、、」
スズネは飲み物の代金をテーブルに置き席を立った。
「ウソをつくイブキの相談には乗れない、、、カイリ君は大切な人だから、、、わたし、帰るね、、、」
「ちょっと待って、、、」
スズネは去って行った。
イブキは両手で顔を覆った。
つづく
※元投稿はこちら >>