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数週間後の事。
リビングで俺と貴子と早苗ちゃん
「暑い、暑いよーーー早苗、アイス買ってきて」
「ボクだって暑いよ、外出るなんて絶対やだ!!」
「じゃあ貴方買ってきて、今すぐ」
俺だって暑いと思いながらも
「ハイハイ買ってきます」
「えぇぇーー冬馬兄いが行くならボクも行くーーー」
「あの子たちの分もお願いね」
「ハーイ!!」ニコニコ顔の早苗。
アラアラあの子ったら、半分困った笑顔の貴子。
徒歩五分のコンビニでも、早苗ちゃんにはデート。
「冬馬兄いと二人だけでお出かけ、えへへ」
不意に
「冬馬兄さん、それに早苗」
振り返ると雄二君と千晶ちゃん。
「こんにちは、雄二君千晶ちゃん、なんか予定より早くない?」
「なんか、居ても立っても居られなくて・・・」
貴子への相談はややこしい話みたいだな
雄二君達は先に家へ、俺は早苗ちゃんとコンビニへ
「冬馬兄、なんか千晶ちゃん様子が変じゃなかった?」
「顔色悪かったね」
ただ、瞳の奥に怪しい光があった事は早苗ちゃんには言わなかった。
「条件が難しいのよねぇ・・・こんな条件満たす人なんて・・・」ハァとため息をつく貴子。
「うん、俺もそう思う」雄二君。
「ちめたくて美味しい」無心にアイスを食べる早苗ちゃん。
「・・・」話が良くわからない俺。
「汚らしくなくて、ハゲメタボでも無くて、でもスケベで変態オーラをまとったオヤジ」
「ここまでは簡単なのよ、問題は絶対安全でトラブルは絶対起こさない
誰にも話さない、もしバレても絶対にトラブルにならない・・・」
「大体、スケベな変態オヤジって”安全”とは真逆の存在よ
それもただの変態じゃ無くて、ハイレベルのスケベな変態オヤジじゃないと役に立たないんでしょ」
「難しいすぎるわよ」ハァ・・・また貴子のため息。
二つ目のアイスを食べながら早苗ちゃんが、ポツリと
「いるじゃん」
「どこによ!どこにいるの!!そんな人!!」
「貴姉のとなり」
一斉に全員の視線が俺に刺さる。
「いたーーーーーーーー!!」早苗ちゃん以外全員叫ぶ。
「でしょ、冬馬兄なら全部の条件満たしてるよ」勝ち誇る早苗ちゃん。
「冬馬なら私の旦那だから絶対安全、変になりそうになっても私が止めれる
それに冬馬ほどのハイレベルのスケベな変態オヤジなんて滅多にいない」
「アーーーーー灯台下暗しだったわ、早苗お手柄よ!!」
テヘヘと笑いながら三つ目のアイスに伸びる手を、ぴしゃりと叩く貴子。
誰にも俺の意見を聞かれる事も無く・・・決まってしまった。
「千晶ちゃん雄二、旦那に全部話すけど・・いいわね」
「は・・・い」青ざめ震えながら、か細く返事をする千晶ちゃん。
「説明するわね貴方。千晶ちゃんにはもう一つ人格が存在するの」
「二重人格ってこと??」
「そう、ある事情で悩み苦しんだ末、人格が分裂したらしいの」
「ずっと,もう一人の千晶は、千晶ちゃんの中で深く眠っていたのに
最近目を覚ましたらしいの・・・」
「問題はもう一人の千晶の性格・・・・・・”純粋な淫乱”・・・
自分の乱れる姿をスケベな変態オヤジに見られたくて疼いてる」
青ざめ大粒の涙を流しながら、震える唇で千晶ちゃんが
「お願いです・・助けて・・今も・・今も・・もう一人の私が・・疼いて・・
私を苦しめてるの・・雄二じゃダメなんです・・雄二じゃ”純情すぎて純粋すぎて・・・”
もう一人の私が満足しないんです」
「この話を打ち明けられて、俺がやってみたんだけど・・
まったく相手にされなかった・・・無視された・・子ども扱いだった・・・・」
こぶしを握り締め雄二君が泣いている。
「貴方、貴方しかいないの、もう一人の千晶と対峙出来る
ハイパースケベな変態オヤジは貴方だけ」
俺、なんかすんごく複雑な心境だけど本当に苦しんでる二人を見て
「解った、協力する俺は何をしたらいい?」
「何もしなくていいわ、ただ黙って見てるだけでいいの」
「それだけ?」
「そう、それだけ後は私と早苗がする、早苗!!私のサポートをしなさい」
「はい、承知しました姉様」
「ごめんね雄二、あなたはその場に居させること出来ない、多分あなたには耐えられない
でも最後に大きな役目が有るから覚えておいて」
「解った、初めて会った時から貴姉の事”信用し信頼してる”貴姉の言葉に従うよ」
「さあ、これから淫魔との戦いがはじまるよ!!」
貴子の瞳が輝いていた。
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