Aさんは、入口でマイナンバーカードを見せ、拳銃を預けセンサーのある入口を通り、俺達の部屋に来た。
権力者は、防衛上拳銃の携帯を許可されている。しかし、この老人ホームは、角界の長老の住処。つまりここが日本の中枢と言っても可怪しくないのだ。だから一般の権力者もここでは単なる一国民なのだ。
「ご主人様、おはようございます。」
「おー、Aさん悪いね。たまには、君のご飯が食べたくなってな。今の私があるのは、あなたの美味しいご飯のお陰。感謝してるよ。」
と、拳銃の整備をしながら言った。
もちろん俺達夫婦が拳銃を外すなんてあり得ない。外すとしなら、隣国のトップの前くらいだが、飛行機嫌いの彼女が来日する可能性は先ずない。
(この人達は、権力者の権力者。粗相をしたら、射殺される。隣国では日常茶飯事。やっぱり怖い。)
「あなた、拳銃しまいなさい。Aさん怯えてるわ。」
と、妻が言ったら、
「いけないいけない。この中では君は丸腰だったな。っていうか、俺がAさんを殺したら罰が当たるよ。あり得ない。アハハハー。どうだい。君は、人は殺したのかい?土産話があるから来たんだろ。」
俺は、土産話がある時に、ご飯を作りに来て欲しいと言った。他の皆んなにもお願いしていた。例のカメラは、旧自宅と先生の家しかないので、外での行動は分からないからである。
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