三時間ほどして、ようやくサリナから電話が入った。
「話はしたわ、、、」
「で、、、どう、、、」
「彼、、、あなたが浮気していると確信してるみたい、、、」
どうして、、、やはり他に何かあるの?
「そんな、、、どうして、、、」
「それが、、、理由ははっきり言わないの、、、でも彼、、、カレンと別れるつもりよ、、、」
「えっ、、、そんなのイヤ、、、彼がそう言ったの?」
「それらしきことをね、、、カレン、ちゃんと話さないとダメよ、、、それじゃないと大変なことになる、、、」
胸の鼓動が激しくなり、冷や汗が流れる。
「だって、、、ハルとどうやって逢えば、、、」
「あしたの夜一旦戻るって、、、カレンの話を聞くように頼んでおいたから、、、」
ハルに逢える、、、
「ありがとう、、、サリナ、本当にありがとう、、、」
「カレン、、、もうわたしは何も聞かないわ、、、とにかく彼に全部正直話なさい、、、そうしないと取り返しのつかないことなるよ、、、あなただけじゃない、ナツミちゃんだっているのよ、、、分かってるよね、、、」
「うん、、、分かってる、、、」
明日なら都合がいい。
ナツミは朝から三泊四日の卒業旅行に出かける。
二人だけで気兼ね無く話が出来る。
少しだけ怖いけど、、、
証拠はないのだ、、、
ハルをなんとか納得させて、、、
それにしても別れるなんて、、、
いや、、、きっとサリナの早とちりだ、、、
そんなことはあり得ない。
ずっと支え合ってきたんだもの、、、
きっと乗り越えて見せる。
翌朝ナツミを見送った。
「お母さん、理由は知らないけど、お父さんとちゃんと仲直りしてね、、、」
「大丈夫よ、、、余計な心配しないで旅行を楽しんできなさい、、、」
「うん、、、でもお父さん、、、なんだか辛そうだったし、、、」
「えっ、、、あの人に逢ったの?」
「仕事の途中で抜けて来たって、、、旅行のお小遣いをくれた、、、直ぐに行っちゃったけど、、、」
「そう、、、」
「お母さん、、、ちゃんと謝れば、お父さんきっと赦してくれるよ、、、お父さん、お母さんが大好きなんだから、、、」
ナツミももう年頃の娘だ。
何かを気付いているのかも知れない。
「そうね、、、わたしもお父さんが大好きよ、、、だから大丈夫、、、心配しないで行ってらっしゃい、、、」
「うん、、、じゃあ、行ってきます、、、」
笑顔を向けて娘が出かけて行った。
チクリと胸が痛む、、、
わたしは悪い母親だ、、、
夫は夕方やって来た。
久しぶりに見る夫は少しやつれて痩せた感じもした。
全部わたしのせいだ、、、
リビングで向かい合いソファに座った。
「あなた、ごめんなさい、、、でもお互いに相談事をしていただけ、、、絶対に浮気はして無い、、、誤解なの、、、」
すがるように言い訳するカレンをハルは冷たく見つめていた。
「まだそんなことを言ってるのか、、、」
呆れた表情を浮かべハルがスマホを取り出した。
動画を再生させる。
『アアッ、スゴイ!マサキ、イイッ!』
二人がカラダを絡ませ合い激しくセックスしていた。
『くっ、、、カレン、、、ダンナよりイイか?』
『マサキの方がずっとイイッ!』
『フフッ、、、アイツにはもうサセるなよ!』
『サセない、、、もうマサキとしかシナい!』
『このキレイな顔も、スゲェおっパイも全部俺だけのものだ!』
『そうよ、、、わたしはマサキだけのオンナなの!』
「イヤぁ~!」
なんなの、、、この動画、、、
「やめて!これなんなの?!」
ハルは応えてくれない、、、
男が我が物顔にカレンの乳房に武者振りつき、腰を叩きつける。
『カレン、イクぞ!中に出すからな!』
『来て!思いきり中に出してえ!』
『カレン!』
『アアッ、マサキ、、、大好き!💕』
『でるっ!』
『マサキ、イクッ!イッちゃうぅ!』
二人が果てた、、、
どちらからともなく熱い口づけを交わしながらザーメンを注ぎ込まれ、それをキツく抱きしめて受け入れている。
男の精子がカレンの子宮を駆け登っているはずだ、、、
「どうして、、、こんな、、、」
余りのことにカレンの頭の中が混乱する。
「奴が全部盗撮してたんだ、、、お前との情事を全て、、、ミズキがパソコンから見つけた、、、」
何が証拠は無いよ、、、
こんなもの隠し撮りして、、、
あんな男を信用した自分がバカだった。
「違うの、、、こんなの本気じゃない、、、ハルの方がずっとイイ、、、アイツに無理矢理言わされて、、、、」
「そうか、、、本気にしか見えないけど、、、」
覚めきった声だった。
「違う、、、愛しているのはアナタだけ、、、ウソをついていてゴメンなさい、、、アナタに嫌われるのが怖くて本当のことが言えなかったの、、、気の迷いだった、、、赦して、アナタ、、、」
ハルは何も応えてくれない。
沈黙が更にカレンを追い詰める。
「どうしてわたしを問いたださないの?どうしてわたしをもっと責めないの?』
カレンが詰め寄る。
「お前の本心が分かってるからだよ、、、ハメ撮りの中でベラベラ喋ってるじゃないか、、、舐めろだの、全部舐めてあげるだの、、、アナルまでお前から誘って、、、初めてをあげたかったなんて泣きながら抱きついていったじゃないか、、、」
全部、、、見られたの?
「お前は俺よりもアイツを選んだ、、、今更責めても仕方がない、、、」
「こんな男選んでない、、、ハルだけ、、、ずっとハルを選んでた、、、」
「俺とのセックスを拒んで奴とやりまくってたじゃないか、、、しかも俺になんと言って断ったかアイツに楽しそうに話しながら、、、それはアイツを選んだということだ、、、」
「違うの、、、酔っていたの、、、自分を見失っていた、、、アナルとか、、、バカだった、、、すごく後悔してる、、、わたしの心にはハルしかいないの、、、信じてくれないかも知れないけど、、、」
「そうだな、、、信じない、、、もう二度と、、、」
「そんなこと言わないで、、、なんでもする、、、アナルでもなんでも、、、もうハルとしか絶対にしないから、、、一生かけて償うから、、、」
「無理だよ、、、俺達はお終いだ、、、」
そんなのイヤだ、、、どうしたらいいの、、、
「それから、、、結婚前にも浮気してたんだってな、、、」
あっ、、、確か、、、マサキとセックスしながら、、、似てるって口を滑らせて、、、問い詰められて、、、話したことがあった、、、
あれも撮られていたの?
「信じていたのに、、、酷過ぎるんじゃないか、、、」
「あれは、、、ウソなの、、、適当に、、、作り話をしたの、、、」
「そんな作り話をする必要がどこにある?お前はウソばかりでどこを信じたらいいんだ?」
「違う、、、わたしは、、、」
「もういい、、、ナツミのDNA鑑定はもう頼んである、、、」
「えっ?」
「もう少しで結果が分かるはずだ、、、」
「酷い、、、ナツミはアナタの子よ、、、絶対に間違いない、、、ハル以外あり得ない、、、」
「俺だってそう思いたい、、、確信したい、、、それだけだ、、、」
つづく
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