「おかえりなさい、あなた、、、」
出迎えたカレンに見向きもせず、横をすり抜けるようにしてリビングへと向う。
プーンとアルコールの匂いが漂う。
あまり飲まないハルにしては珍しいことだ。
それにまるでカレンを避けるような態度、、、
不安が込み上げる。
「どうしたの、、、何かあったの?」
ハルは返事もせずにソファに腰を降ろし、ジッと考
え込んでいる。
「こんな時間までミズキといたの?」
ハルはやはり応えてくれない、、、
「応えて、、、ミズキと何をしていたの?わたしに言えないようなことなの?」
まさか、、、
ハルがわたし以外の女と、、、
そんなの絶対にイヤ、、、
ハルがようやくカレンを見た。
冷たい目、、、そんな目で見られたことなど一度もない、、、
「何を勘違いしてる、、、俺はお前とは違う、、、」
えっ、、、まさか、、、本当に知られたの?
いや、そんなはずはない、、、でも、、、
頭が混乱する、、、
ハルが立ち上がった。
「あなた、、、どこへ行くの?」
「今日から一人で寝る、、、もう俺に構うな、、、」
取り付く島もない、、、
ハルは書斎に入って行ってしまった。
声を荒げることはないがハルは相当に怒っているの
は明らかだ、、、
普段は穏やかで怒ることなどほとんどないハルが、、、
ミズキに何かを吹き込まれたのは間違いない、、、
でもあの事をミズキが知るはずはない、、、
二人だけの秘密だとあれだけ約束したのだから、、、
お互いに絶対に知られないように細心の注意を払ってきたのだから、、、
だからバレることなどあり得ない、、、
大丈夫だ、、、
今日はもう時間も遅いし、ハルもウソを吹き込まれて気がたっている。
明日の朝でも少し落ち着いてから話をすればきっと分かってくれる。
ある程度のことだったらいくらでも言い訳出来る、、、
彼への電話も考えたが、こんな時間だし、今はヘンに動かない方がいい、、、
ハルに何か気づかれでもしたら余計にまずい事態になりかねない、、、
その方が間違いない、、、
とりあえずハルに声をかけておこう、、、
書斎のドアをノックする。
返事は無い、、、
ノブを回したが施錠されている。
これは、、、本当にまずいかも、、、
「ハル、、、何を言われたか知らないけど、ミズキの言うことなんて信じたらダメだからね、、、明日、ちゃんと話そう、、、何か知らないけど、、、ハルは誤解してる、、、わたしを信じて、、、」
相変わらず返事は無い、、、
「ハル、、、愛してるよ、、、本当だよ、、、おやすみなさい、、、」
最後まで返事は無かった、、、
つづく
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