ここでも進んでみんなの注文をまとめて店員に告げる。
以前のようなオドオドした態度は陰を潜めてる。
ミズキはハルと恋人になって変わったんだね、、、
寂しさと同時にやるせない気持ちが湧いてくる。
わたしがそういうふうになりたかった、、、
確かにキレイになった、、、
それに以前に比べると、ずっと積極的で自信に溢れてる、、、
でも、、、なぜだか違和感を覚える、、、
何気ない仕草に今までには無かったオンナの色気を感じる、、、
これって、、、
もしかして、、、二人は、、、結ばれた?
そうなることは予測しなかったわけではないけれど、、、
やはりショックを受ける、、、
しかしそれにしてはハルの態度に腑に落ちないものを感じる。
ベタベタとまとわりつくミズキに戸惑いを覚えるような、、、
もしカラダを許し合った二人だったらハルがミズキに対してこんな反応をするものなのだろうか?
処女であるカレンには分らない、、、
カレンの単なる気のせいなのかも知れない、、、
それともハルはただ照れているだけなのか?
カレンはモヤモヤする気持ちを抑えることが出来ずにいた、、、
その三日後のことだった。
夏期講習の最終日を昼に終えたカレンは地下鉄に向かう道を一人歩いていた。
夏休みも残り一週間をきった。
明日からハルと一緒に図書館で勉強しようかな、、、
それぐらいだったら、、、いいよね、、、
そんなことを考えていると、道路を挟んだ歩道の人通りの中にミズキを見かけた。
ミズキは反対方向に歩いて行く。
そしてその隣りには男がいた、、、
見覚えのある男、、、
磯部公平だった、、、
隣りのクラスの男子生徒だ。
175の身長でバスケ部の主力選手。
男っぽくワイルド系のかなりのイケメン、、、
女子生徒にはかなりの人気だが、悪い噂もある。
女癖が悪く、ヤリ捨てにされた女子もいる、、、
そのうえ、大学生や人妻とも関係があるらしい、、、
頭はからっきしで、いつもイヤらしい目つきをしている磯部のことをカレンは心の底から毛嫌いしていた。
どうしてミズキがあんな男と二人きりで、、、
立ち止まり二人を視線で追う。
当然のことながら二人はカレンに気づきもせずに愉しそうに話ながら歩いて行く。
しかも、、、二人は手を繋いでいた、、、
まさか、、、ウソでしょう、、、
慌てて二人を追いかけようとしたが人通りに紛れてしまい見失ってしまった。
絶対に見間違いではなかった、、、
何か理由があるのだろうか?
けれどどんな理由があったとしても他の男と手を繋ぐなんて赦されないことだ、、、
不快な思いが湧いてくる、、、
色々調べてみよう、、、
これだけでハルに話をもっていくには早すぎる、、、
もっとハッキリとした証拠なりを掴んでからハルに告げた方がいい、、、
カレンはそう決断した。
夏休みが終わり始業式で登校した。
今日は授業が無い。
カレン達三人が帰りの準備をしていると同じクラスの日詰サリナが声をかけてきた。
サリナは女子バスケ部だった。
160ほどの身長で髪はショート。
クッキリとした目鼻立ちのちょっとボーイッシュな美形、さっぱりとした性格だが大人びたセクシーさを感じさせる。
胸もFはあるのではという豊かさで形も抜群に見える。
彼氏はいないがアレは経験済みだというもっぱらの噂だ。
当然のように男子からは人気がある。
「ハル、久しぶり」
「おう、サリナ」
「あら、、、ミズキちゃん、弾けちゃったんだ、、、」
「いいでしょう、、、別に、、、」
ムッとしたようにミズキが言い返す。
「ゴメン、、、悪気は無いんだ、、、ただハルがそういう趣味だとは思ってなかったから、、、」
意外そうに見つめてくるサリナをハルはスルーした。
なんとなく気不味い雰囲気を察したサリナが話題を変える。
「ところでカレン、気をつけた方がいいよ、、、」
「何?」
「磯部のヤツがカレンのこと色々聞いてきてさ、、、」
「ふーん、、、どんなことを?」
「男はいるのかとか、オッパイは大きいのかとか、、、それに経験はあるのかって、、、」
カレンはミズキの表情をさり気なく盗み見た。
少し青ざめて息を呑むようにして黙り込んでる、、、
「キモい、、、大丈夫、わたし、あんな男、大嫌いだから、、、今度何か聞いてきたら、そう言ってたと言っていいから、、、」
「分かったよん、、、そうだよね、カレンはハル派だもんね?」
「当たり前でしょう、友達なんだから、、、」
「おい、ハル派ってなんだよ?」
ハルが尋ねるとサリナがすかさず応える。
「あのね、巷にはハル派と磯部派があるの、、、それとその他派、、、ちなみにわたしも断然ハル派だし、、、」
そう言うと両手を腰にやり制服の上からも目立つ胸を張るようにして強調してくる。
そうサリナは以前からハルにアプローチをかけていた。
「サリナ、だめだよ、、、」
さり気なくカレンが諭す、、、
「そうだよね、、、今は、、、」
意味有りげにカレンを見つめてくる、、、
サリナはサリナで何かを知ってるのだろうか?
「じゃあハル、またね、、、わたし待ってるから、、、なんてね、、、」
茶化すように言ってサリナは行ってしまった。
「やれやれ、、、」
カレンは呟くように言った。
そしてミズキは唇を噛み締めるようにして俯いていた。
つづく
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