夏休みに入ったある日。
夏期講習の帰り道、カレンは久しぶりに見かけ声をかけた。
いつものように優しくて温かい瞳で見つめてくれる、、、
思った以上に嬉しい気持ちが込み上げてきて声が弾
む。
「ハルも講習受ければいいのに、、、」
ハルは図書館で勉強をしていた。
「いや、、、俺は自分のペースでやりたいから、、、」
そう応えるハルには幾分元気がなかった。
本当のところはミズキがハルとカレンが二人で講習に通うのを嫌がったのは分かっている。
「ミズキは一緒じゃないの?」
「ああ、、、アイツ、、、勉強好きじゃないし、、、」
「相変わらずね、、、大学だってあるのに、、、」
それにしても、、、
ヤキモチは焼くくせに、、、
恋人と一緒にいたいとは思わないのだろうか?
わたしだったら、、、
「ちゃんとデートしてる?」
「うん、、まあ、、、でもミズキ、忙しいみたいで、、、」
たいして友人もいないはずなのに、、、忙しいって、、、家の用事なんだろうか?
「ふーん、、、ねえ今度、三人で遊びに行こうよ、、、」
「おっ、いいね。」
ハルは嬉しそうに乗ってきた。
「それとも、、、わたしはジャマかな?」
少しだけ寂しさが声に滲んでしまう、、、
「なんで、、、そんなこと、、、」
「えっ?」
「そんなこと言うな、、、」
ハルが怒った顔をして見つめていた。
「ゴメン、、、」
胸が苦しい、、、
そんな瞳で見られたら、わたし、、、
ハルの胸に飛び込んで泣いてしまいそうになっちゃうよ、、、
「じゃあ今度、連絡するね、、、」
だから視線をそらしてそう応えた。
久しぶりに見るミズキは雰囲気が変わっていた。
その見た目も、、、
「どうしたの、、、その髪、、、」
長く伸ばして三つ編みにしていた黒髪をバッサリと切り、外ハネボブにした髪型をライトブラウンに染めていた。
「似合うでしょう?みんないいって言ってくれるんだ、、、」
一人先を歩くミズキが振り返りもせずに弾んだ声で応えてくる。
思わず横を歩くハルに視線をやる。
「いきなり、、、ああなってた、、、」
それって、、、ハルに何も告げずにヘアスタイルを変えたということ?
「似合ってるけど、、、わたしは前の方が、、、好きかな、、、」
ハルにだけ聞こえる声で本心を言う。
「俺も、、そうだ、、、」
消えてしまいそうな声だった、、、
「何してるの、早く行こうよ、、、」
まるでみんなをリードするように明るく振る舞うミズキ、、、
三人はファミレスで食事をした。
つづく
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