翌日もカレンはハルと一緒に登校した。
いつものハルに戻るまでは、、、いや、それからだってずっとそばに寄り添いたい、、、
当然ながら昨日の公平との一悶着は噂になっていた。
みんなが大丈夫かと声をかけてくる。
それでいてミズキの事は聞いてこない、、、
おそらくは薄々気付いていた事と、そのあまりの内容に尋ねることを躊躇っているのだろう、、、
そんななか、ミズキが教室に入って来た。
黙って席に着く。
一瞬静まり返った教室が何処からともなくヒソヒソ話で充満されていく。
中には童顔ビッチとか処女捨て浮気女と聞こえよがしに口にする者もいる。
ハルはカレンを見つめた。
しょうが無いことだ、、、
ミズキだってそれを覚悟して学校へ来たはずだ。
けれど、、、あまり酷いようだったら何とかしないとな、、、目で会話を交わす、、、
カレンは頷いた。
しかしミズキは気にすることなく教科書を開き勉強を始めた。
オドオドと周りを気にする素振りはない、、、
ようやくちゃんと反省して吹っ切ったのかも知れないな、、、
ハルはそんな気がした。
昼休みカレンと二人で食事をしながらそう告げると、カレンもそう思うと言っていた。
そうあって欲しい、、、
それが二人の願いだった、、、
そして、、、教室へ戻ると今度は大変な情報が飛び交っていた。
公平がゴリラに殴られて大ケガをしたらしい、、、
あっという間に話が広まっていく。
どこまでが本当なのかは分からないが、この春に学校を辞めたゴリラの奥さんであるマヤ先生と公平が浮気をしていたらしい、、、
その最中にゴリラが帰って来て公平を殴りつけた。
そして警察沙汰になった。
まさか、、、公平はあのマヤ先生とまで関係を持っていた、、、
ハルとカレンは信じることが出来なかった。
さすがにミズキも動揺しているようだった。
顔色は青ざめ両拳を強く握り、唇を噛み締めてい
た。
そしてその日の午後は臨時の職員会議のために休校になった。
その帰り道、カレンと話をした。
ミズキは次々とあきらかになっていく公平の悪行と、そんな相手とおかしてしまった自分の過ちをより一層悔やんでいるんだろうと意見が一致した。
周りの言葉を信じることなく、独り善がりにあの男になびいてしまった自分を嫌悪しやりきれない気持ちでいるはずだ。
でもそれは自分で乗り越えなければいけない。
いたずらに力を貸すことはこれからのミズキのためにも良くならない。
ただ距離を置いて見守っていよう、、、
二人はそう決めた。
翌日ミズキは髪を切ってきた。
随分とボーイッシュな髪型だったが目は真っ直ぐに前を見つめていた。
あの男の好みから完全に脱却する、、、
そんな思いからなのだろう、、、
そして脇目も振らず授業に集中するミズキに二人は安堵した。
その数日後、新たな情報が入った。
公平が逮捕された、、、
売春の斡旋の容疑で、、、
マヤ先生が自分のしていたことを警察に名乗り出たらしい、、、ゴリラに付き添われて、、、
そして捜査を進めているうちに芋蔓式に他の女性達も逮捕されることになった。
女子大生や高校生、人妻も売春に関わった人間は全て逮捕された。
公平は即刻退学。
それ以外にも女性に乱暴し関係を結んだと訴えを起こされた。
少年院は確実と言われている。
それに三年生と二年生の女子が一人ずつ退学になった。
理由は明らかだった。
そしていろんな噂が飛び交った。
ミズキを見ながらみんながヒソヒソ話をした。
ミズキもしていたんじゃないのか、、、
耐えきれなくなったハルが口を開こうとしたとき、、、
「みんな、いい加減にしなさいよ!」
サリナだった。
「中川さんはそんなことして無いよ、、、していたら警察に捕まって退学になってるはずでしょう、、、」
教室が静まり返る。
「そうだよな、、、」
「そうだ、、、中川さん、ごめんなさい、、、」
「ゴメン、、、」
みんなが口々に謝罪してくる。
サリナがミズキの横に行って背中を擦る。
ミズキの瞳から涙が溢れた。
「わたしは酷いことをした、、、大切なハルを裏切った、、、あんな男を信じたわたしがバカだった、、、でもそんなことはしていない、、、カラダを売ったりなんて絶対しない、、、わたしは最低だけど、、、ハル、、、カレン、、、みんなも信じて、、、」
ハルは黙って頷いた。
そしてカレンも、、、
みんながゴメンと謝るなか、泣きじゃくるミズキをサリナが教室から連れ出して行った。
つづく
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