二人で並んで歩く。
横にはハルがいる。
ずっとミズキの場所だった、、、
そこにわたしがいる、、、
「どうして、、、ミズキ、あんなになってしまったんだろうな、、、」
そう言うハルの横顔は本当に寂しそうだった。
「わたしも、、、考えてた、、、」
「あんなオンナじゃなかった、、、引っ込み思案で、人前では自分が出せなくて、、、それでも正直でウソだけはつかなかった、、、」
「そうだね、、、わたしもそう思ってた、、、でも、、、きっとミズキはオンナの欲望が強すぎたんだよ、、、セックスへの興味があり過ぎて、、、だから誘いに乗ってしまったんだと思う、、、快楽に溺れて自分を見失ってしまった、、、」
「俺のせい、、、かも知れないな、、、」
「どうして、、、そんなこと言うの?」
「俺はミズキの欲望に応えてやれなかった、、、」
「そんなの、、、お互いに望んでそうなるべきだと思う、、、ハルくんは悪くないよ、、、」
カレンにもそんな相手がいるのだろうか、、、
カレンが望めば相手は間違いなくその気になる、、、
カレンもそのカラダを開いて、、、ミズキのようにセックスに溺れているのだろうか?
「あっ、ヘンなこと考えてるでしょう?わたしは違うから、、、興味だけでなんて絶対にしない、、、本当に心から好きな人じゃないと、、、」
わたし、何言ってるんだろう?
まるでハルが望むならシタいと言ってるみたい、、、
顔が赤くなる、、、
でもハルはわたしの気持ちを知らない、、、
カレンの顔が赤い、、、
そうだよな、、、
ミズキがカレンには好きな人がいるって言ってた、、、
まだ気持ちを伝えていないのだろうか?
「分かってる、、、カレンはそうだって、、、でも、なんだかすごく安心したよ、、、」
そう言いながら微笑むハルはやはりいつもとは違っていた。
ハルは女性を信じられなくなっている。
十年もそばにいて信じていた恋人に、、、あんなにいちゃついてきたミズキが陰では自ら望んで他の男とのセックスにのめり込んでいた、、、
そのうえ、都合の悪い事は全部ウソで誤魔化していた、、、
こんなに酷い裏切りにあったのだ、、、そうなっても仕方がない、、、
でもその気持をわたしが解きほぐしてみせる、、、
いくら時間がかかったとしても、、、
「ハルくん、、、殴られたところはもう痛くない?」
「ああ、全然、、、」
「ハルくん、、、ワザと殴られたでしょう?」
「、、、さあな、、、」
「誤魔化そうとしたって分かるんだよ、、、」
「そっか、、、」
「わたしはハルくんの一番弟子なんだから、、、あんなのハルくんなら簡単によけられたはず、、、」
カレンは護身術をハルに教わっている。
「自分を抑えきれなかった、、、あんなに酷いことを口にするヤツを懲らしめてやろうと思った、、、だから、殴らせておいて正当防衛で、、、」
そうか、、、なんだかんだと言っても、やっぱりミズキのこと、、、
「カレンのことを侮辱した、、、ゆるせなかった、、、」
「えっ、、、」
てっきりミズキのためだと、、、
わたしのためだったの?
嬉しい、、、胸が熱くなる、、、
「それにしても、、、アイツどうかしてる、、、あんな下劣なことを人前で堂々と、、、正気とは思えない、、、」
「きっとハルくんに嫉妬してるんだと思う、、、何もかも敵わないから、、、歪んだ対抗心からミズキに手を出したのかも知れない、、、だから自慢気にあんなこと、、、それにしてもアタマ悪すぎ、、、下品でキモくて最悪の男、、、」
「俺なんかに嫉妬したってしょうが無いだろうに、、、」
「何度も言うけどハルくんは悪くないからね、、、
あのクズ男とミズキが全部悪い、、、」
「でも、あのとき、、、カレンが止めてくれて、、、良かったよ、、、」
「あんなヤツのためにハルくんが何か罰を受けるなんて、わたし絶対にイヤだもの、、、本当はメチャクチャにやられるところを見たかったけど、、、」
「ありがとう、、、俺、なんかいつもカレンに助けてもらってるな、、、」
「そんなことない、、、わたしの方がずっとハルくんに守ってもらってるよ、、、」
さりげない言葉に気持ちがあたたかくなる、、、
どうしてミズキには分からないんだろう、、、
見た目や気持ちのいいことが全てじゃない、、、
「でも、、、ご褒美貰おうかな?」
「おう、なんでもいいぞ、、、何か食べに行こうか?」
カレンは思い切って腕を組んでいった。
「えっ、、、、」
ハルが立ち止まる。
「いいでしょう、これぐらい、、、それとチョコパ食べたい。」
「う、うん、、、それはいいけど、、、」
「早く行こうよ、、、」
有無を言わせず歩き出す。
そして、、、胸を押し付ける、、、ムニュ、、、
「あの、、、」
「しょうが無いでしょう、、、わたしの大きいんだから、、、いいから、早くしないとパフェ、なくなっちゃうよ、、、」
「なくなるわけないでしょが、、、」
二人は顔を見合わせ笑ってしまう。
腕を組んだままカフェへと向かった。
つづく
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