4.身体の変化
僕はその日から夢を見るのが楽しみになっていた。以前にあった不気味さは無い。
僕は夢である事と、抵抗しない女である事を利用して自分の快楽の欲求を満たすには最適だと思った。
毎日夢の中で女を抱いた。犯した。
女の無反応は変わらずだったし、起きると必ず夢精していた。
また、毎日女を抱く事に気づく事があった。
女はボロボロの髪で気づかなかったが、顔立ちは美人だった。
そして、肌艶が良く大きな胸は程よい柔らかさと張りがあった。
膣の中も、名器と言うに相応しかった。
僕は完全に女の虜になっていたと思う。
「佐藤くん、ちょっと、、、」
ある日に上司に手招きされた。
僕は自分のデスクから立ち上がり、上司の呼ぶ方へ向かう。
誰もいない応接室に案内され、腰をかけるよう促される。
「佐藤くん、体調は大丈夫か?最近、日に日に顔がゲッソリしてるように見えるが、無理してないか?」
「え、、、」
確かに疲れやすくなっていたし、たまに目眩がした。原因はあの夢にあると、心のどこかで分かりつつも気にしない用にしていた。
僕はあの夢を見ていたかった。
僕は大丈夫である事を適当に言い訳をしたが、上司は納得した様子は無かった。
「明後日はスケジュール的に丁度落ち着いてるから、1度病院に行きなさい。有給になるけど、検査して、それでその結果の報告をするように。」
僕は抵抗しても無駄なのは分かっていたので、納得はしてないが「わかりました。」と上司の提案を受け入れた。
その日仕事終わりにスーパー銭湯に寄った。
銭湯に行くといつもの習慣で体重を測る。
体調は53kgだ。前に測った時から、、つまり2ヶ月で7kg減っていた。
僕の身長は176cm。元々細身だったが、かなり細くなっていた。
等身大の鏡を見ると、生気の無い、目の窪んだガリガリの姿が映る。
サウナの中で、汗をかきながら僕は考える。
(きっと、、夢のせいだ。)
(もし、、病院に行って、原因が分かって、、治療したら、あの夢は見なくなるのか?)
(それは嫌だ。まだまだ楽しみたい。)
そして病院に行く日が来た。
僕は憂鬱な気持ちで、病院に向かう。
医者から一通りの問診を受ける。
僕は素直に答えた。ただ、夢の話はしなかった。
そして、毎日夢精して起きる事も。
医者の指示で採血とレントゲン、心電図をする運びとなった。
検査を終えてからはしばらく待合室で待たされた。
そして、呼び出され結果を聞く。
血液検査も、レントゲンも、心電図も何の異常も無かった。
ただ、栄養価が極端に低いということで、1ヶ月分の栄養補助食品を処方された。
そして、栄養価の高い食品を指定され、意識して食べるように言われた。
次の受診は1ヶ月後となった。
その足で僕は職場へ。
上司に報告すると、少し不思議そうな顔をしていたが、とりあえず1ヶ月後の再診を待とうと結論付けた。
僕は安心していた。
大きな病気は見つからない。栄養を取るのが治療というのなら、僕は全然余裕だと思った。
職場からの帰り道、薬局で栄養補助食品を出してもらい、ダンボールを抱えて家に帰る。
帰る途中、(体に異常がないなら、あの夢はなんなんだ?)と思った。
しかさ、深く考えずに、甘く見ていたことを、この日の夜に分からされることになる。
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