8.~其々の旅へ…(エロ無し)~
元の態勢に戻って話しをする。
「ねぇ、カズさん。今は独り身なんでしょ、何でパートナーとか探さないんですか?」
「そうだねぇ。シニアの出会いとかってのがあったり、出会い系のメールがどうのとかってあるけど、そういうのに足を踏み出す勇気が無いし。休み前は呑みに出掛けて朝はゆっくりしてるし。後は映画に行ったりとか、サッカーやってたんで実際に競技場に行く事もあるけど、テレビで観戦してたりなんかしてると時間が無いって言うか、それを言い訳に逃げてるというか、自分を誤魔化してるって言うか… 」
「じゃぁ、昨日は何で?」
「う~ん… 正直に言うとね、理沙ちゃんが可愛くって自制が効かなくなってしまったんだ。」
「またまたぁ。」
「いや、本当なんだって。恥ずかしい話、昨日待合室に入って来た時に一目惚れって言うか初恋ってのじゃ無いけど、見てるだけでイイなぁって思ってたんだ。それが一人になっただろ。で、気付いたら馬鹿な妄想って言うか想定して動いてしまってたんだ。それで、晩酌しようと部屋を出たら理沙ちゃんが一人で座っていて。思い切って声をかけたら一緒に呑んでくれて… 嬉しくなっちゃってもう自分を止められなくなって、あぁいう事をしてしまったんだ。」
「そうなんだ。」
「そういう理沙ちゃんは何で?媚薬を使われたって聞いた時に嫌がらずに俺なんか相手にしてくれたの?」
「だって、カズさんってチョイ悪まではイかないけど、チョッと悪い系かなと思ったらさりげなく優しいし、私が喋り過ぎでお話ししてる間を与えてないだけかも知れないんだけど、カズさんは聞き上手だし、それに… 」
「それに?」
「昨日も旦那が単身赴任で寂しいなんて言いましたけど、実はそれは喋り相手としてなだけで、ホントを言うと10年近くレスで… 女として扱われて物凄く嬉しかったんです。」
「えっ! こんなに可愛いのに? でも、言い寄って来る男とか居たでしょ?」
「私もカズさんと似てるのかも知れないのかな? 息子がこの春に大学へ入って家を出たんですけど、子育てを言い訳に自分を抑えてたって言うか… 誘われた事が無かった訳でも無いですし、私も出会いのメールとかってあるのは知ってたけど、足を踏み出せなかったんです。」
「じゃぁ、何で昨日は?」
「恥ずかしい話、今は女でも色々と映像を観たりとか出来るじゃないですか、そんなの観て憧れちゃったり悶々としたりしてたんですけど、実際に媚薬って言うモノを使われて自分を抑えてたのが一気に解放しちゃったって言うのかな?感度って言うのが昂っちゃって… ただ、カズさんだから甘えたって部分が大きいんですけどね。」
「ホントに?」
「えぇ、だってカズさんもさっき言ったみたいに嫌なら逃げればイイだけなんですけど、この人ならって自分から求めちゃったんですもの。♡」
「そう言われると嘘でも嬉しいなぁ。」
「嘘なんかじゃありません。さっきAVみたいのに憧れがあるかもって言ったけど、昨日カズさんに鏡の前でされたりチョッとお尻を叩かれたり、言葉で攻められたりした時、正直言ってキュンキュンしてたんです。」
「そうなんだ。」
「今もカズさんに悪戯しちゃったけれど、本当はこんなシチュエーションでして欲しかったりもするんです。」
「じゃぁ、今まで抑えていたのを俺が解放しちゃったって事?」
「ですね。だから、カズさんには色々と責任取って貰いますからね。♡」なんて話してると、いよいよバスも到着となった。
翌日は私がお昼前に鹿児島中央駅に着くので、待ち合わせしてランチに行こうと約束をして其々の旅へと向かった…
了(前編)
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