美晴はとある高級ホテルのカフェで一人、近頃評判のケーキを食べていた。
休日の今日、久しぶりに大学時代の友人と会い、その帰りがてら不意に立ち寄ってみようという気になった。
迷った末にモンブランを注文したが、とにかく美味しい。
セットでついてきたコーヒーも味わいがある。
今度は凪を誘ってまた来よう、、、
凪は今海外出張でフランスにいる。
二週間の予定で来週の月曜日に帰ってくる。
長い期間ではないが、やはり寂しい、、、
けれども昨夜は出張に行って初めて連絡があり、予定通りに帰れそうだと言ってくれた。
凪が帰ってきたら結婚に備え準備を始めるつもりだ。
二人でそう決めていた。
そして少しでも早く帰れるように、忙しい凪と連絡を取るのは日本に戻って来てからにしようと美晴は言
った。
時差もあるし仕事で大変な凪に負担をかけたくない。
凪の帰りが待ち遠しい、、、
早く逢いたい、、、
そして凪の逞しい胸に抱かれたい、、、
わたし、身も心も凪を求めてる、、、
凪に開花させられたオンナが疼く、、、
今夜は自分で思いきり、、、
美晴は頬を染めた。
合田は同じホテルで開催された学会に出席していた。
たいした内容では無かったが、大病院の跡取りとして顔つなぎはして置かなければならない。
学会を終え、ふと立ち寄ろうとしたカフェで見覚えのある女に目が止まった。
かつて見合いの席で合田に恥をかかせた女だった。
里見美晴、、、
聡明なずば抜けた美貌と女らしさに満ちた抜群のスタイルをしたオンナ、、、
ひと目見て気に入った。
このオンナは絶対にモノにする、、、
自由にできるオンナには不自由してないが、このオンナとだったら結婚しても構わない。
そのつもりだったのに、、、
この俺に恥をかかせやがって、、、
このままじゃ気がおさまらない、、、
どうやら一人のようだ。
チャンスかも知れない、、、
それにこのオンナ、、、
益々キレイになって、、、色気も増してやがる、、、
ネットリとその豊かな胸元に視線を注いだあと、さり気ないふりを装い声をかけた。
「あれ、、、里見さんじゃないですか?」
「あっ、、、合田さん、、、」
美晴は思ってもいなかった相手に声をかけられ戸惑いを覚えていた。
正直、あまり会いたく無い相手だが、素気なくするわけにはいかない。
しかし合田はまるで気にすることなくズケズケと目の前の席に腰を降ろしていた。
「今日は学会だったんですよ、、、」
「そうなんですか、、、」
「あまり気乗りはしてなかったんですけど、来て良かった、、、こうして里見さんに会えたから、、、」
「そう、、、ですか、、、」
わたしは会いたくなかったけど、、、
それにしても、、、この人、どういうつもりなんだろう?
わたしには心に決めた人がいるとハッキリ言ったはずなのに、、、
「その節は勝手に先走りするような態度をとってすいませんでした、、、里見さんの気持ちも考えずに、、、あまりにも貴方が俺の理想の女性だったから、、、舞い上がってしまって、、、恥ずかしい限りです、、、」
あの時とは違い、高圧的な態度は影を潜め素直に謝罪してくる。
「いいえ、そんなことは、、、こちらこそ失礼なことを言ってすいませんでした、、、」
そんなこと心にも思ってはいないが、とりあえずは、、、
「いや、いいんですよ、、、あなたのような素敵な女性に恋人がいないはずはないですから、、、」
なんて応えたらいいものなのか、、、
その後も合田はしきりに美晴を褒め称え、彼氏が羨ましいと穏やかそうな笑みを浮かべている。
そんなこともあり、それなりに和やかな雰囲気のなか美晴は合田に告げてトイレにたった。
つづく
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