オンナの悦びを知って、千里は益々その美貌に磨きがかかっていった。
元々の美形の上に滲み出すような色気が加わった。
一段と落ち着きも増し大人びた雰囲気を漂わせる魅力的な女性になっていった。
それでいて海人と二人のときはより甘える態度を取ってくる。
そしてまるで新婚の新妻のように尽くしてくれた。
セックスに対しても益々貪欲になっていった。
少しかかったが一度到達した絶頂への道筋を覚えてしまうと、元々敏感なカラダをしている千里はいとも容易く昇り詰める。
道筋を完全にマスターすると、どんな寄り道でも近道をしても辿り着くことが出来る。
そしてそれがどんどん千里のオンナの才能を開花させていく。
感度が昂まり、絶頂が深まっていく。
千里は海人の腕の中で
このごろはものすごく感じてしまう、自分でも怖くなるぐらい、、、でもすごく幸せ、、、
と囁くようになった。
まさしく千里は花開いた、、、
そして満開への階段を海人と二人で登っていく。
そして三ヶ月ほどが過ぎた頃。
短い冬休みも講習を含めほとんど一緒に過ごし、年も代わり今年は3年生になる。
その日も昼食時、海人は千里と手作り弁当を食べていた。
今日は剛志も一緒だ。
弁当にかかる材料費は月々払うようにしている。
千里はいらないと言ったがなんとか受け取って貰ってる。
本来だったらそれ以上に払うべきなのだが、千里は頑として受け取ろうとはしなかった。
それでは自分が海人にしてあげている意味がなくなってしまうようで寂しいと言って。
海人はそんな千里の言葉が嬉しかった。
その日も千里のお弁当は本当に美味しかった。
三人の話も弾んだ。
途中までは、、、
「本当にいつ見ても千里ちゃんのお弁当は美味しそうだよな、、、」
「それはそうだよ、、、でも剛志の分は無い、、、」
「くそ、、、悔しいぜ、、、」
「浜中君、わたしのオカズ分けてあげようか?」
「ええっ、いいのか?」
「もちろん、、、いつも浜中君、わたしのお弁当、褒めてくれるから、、、特別だよ、、、」
「やったね、、、嬉しいぞ、、、千里ちゃんはやっぱ、優しいね、、、」
確かに優しいよな、、、
でも剛志とこんなに打ち解けてたっけ、、、
俺以外の男には塩対応だけど、、、
まあ、剛志は友達だし、、、
えっ、、、
「ほら卵焼きだよ、浜中君、ア~ンして、、、」
「そんな、、、いいのか?」
「いいよ、、、特別と言ったでしょう、、、」
「じゃあ、いただきます、、、」
千里の箸にねぶりつくように剛志が卵焼きを口にした。
なんだよ、、、これって、、、海人は唖然として見つめていた、、、
「美味しいよ、すごく、、、」
「フフッ、良かった、、、じゃあ次はお肉ね、、、はい、ア~ン、、、」
「うまい、、、すごくうまい、最高だよ、、、」
「フフッ、嬉しい、、、」
本当に嬉しそうに瞳を輝かせて剛志を見つめる千里。
それを熱く見つめ返す剛志、、、
そこまでする必要があるのか?
ただオカズを分けてやるだけでいいだろう、、、
気分が悪い、、、
こいつら、俺に嫉妬させようとしてるのか?
食欲が一変になくなった。
周りのクラスメイトも驚いた表情で二人を見てる。
そうだよな、、、今のは絶対におかしいよな、、、
海人は弁当をたたみ、千里に返した。
「えっ、、、もう食べないの?」
今ごろ気づいたように千里が言ってくる。
「ああ、、、もういい、、、」
「美味しくなかった?」
黙って席を立つ、、、
ムカムカする、、、
剛志を見ると気まずそうに目を逸らした、、、
「海人どうしたの、、、どこに、、、」
最後まで聞かず教室を出た。
時間を潰して教室に戻ると数人の女子生徒と千里が話をしていた。
先生が入って来て皆が席に着いた。
結局はその後も学校では千里と剛志の二人とは話をしなかった。
次の休み時間、千里が寄って来たけど、トイレに向かい時間ギリギリに戻ってきた。
ホームルームが終わると剛志は逃げるように部活に向かった。
千里はまた女子生徒に囲まれて話してる。
ちょうどいい、、、一人で帰りたい、、、
教室をあとにした。
俺は小さい男なんだろうか?
でもア~ンて、、、
周りの皆も驚いてたし、、、
恋人が他の男にあんなこと、、、
普通怒るよな、、、
駅で地下鉄を待ってると、千里が駆けて来た。
「どうして黙って一人で帰ったの?」
息を切らせながら千里が言った。
「いいだろう、別に、、、」
「昼のことだよね、、、そうだよね?」
他にも何かあるのか?
そんな目で見てしまう。
「ごめんなさい、、、そんなつもりじゃなかったの、、、自分でも気づいたら、あんなことしてて、、、でも軽い気持ちで、、、」
「軽い気持ちって、、、ところで女子達と何話してたんだ?」
「なんであんなことしたんだって、、、他の男にア~ンだなんて、、、皆に責められて、、、だからわたしは、、、あれはヘンな意味じゃないって、、、」
「そうか、、、要するに千里は反省はする気は無いんだな、、、」
「反省はしてる、、、海人が嫌ならもう絶対にしない、、、でも悪気はなかった、、、何となくしてしまっただけ、、、」
「俺は千里が他の男に何となくあんなことするオンナだと思ってなかった、、、千里は他の男に何となく、どこまで出来るんだ?」
「そんな、、、酷いよ、、、わたしは海人を裏切ったりしない、、、他の男って、、、浜中君は友達でしょう、、、あれぐらい、いいじゃない!」
「分かった、、、明日からもう弁当はいらない、、、一人で食べることにする、、、」
「えっ、、、海人、、、」
佇む千里を残し家に向かう。
千里とこんなふうにケンカをしたのは初めてだった。
それに最後の千里、、、
あんなに感情的な千里も初めて見た。
何か千里の中が変わってしまった気がする。
家に帰ってから千里から何度も電話とメールがきたが、海人は受けつけなかった。
つづく
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