夏休みも終わり登校初日。
今日は午前中で学校も終わり部活も無い。
海人は朝から千里や友人たちに囲まれ雫のことなど見ようともしない。
人望のある海人の周りにはいつも人が集まる。
夏休み前にはいつもその輪の中に自分もいたのに、、、海人との雰囲気に気付いた何人かの友達から声をかけられた。
どうしたの?何かあったの?
心配気に尋ねてきたが、なんでもない、ちょっとね、、、
そう誤魔化すように応えておいた。
クラスの半数以上がいなくなり、海人も千里と帰るつもりのようだ。
とにかく声をかけて足がかりをつけておかないと、、、時間が経つほど状況が悪くなるのは目に見えている。
とりあえず純平とは別れると言って、海人に信じて貰えるようにやり直したいと伝えよう。
海人は優しいからきっと受け入れてくれる。
そして早いタイミングで誘惑してしまう。
そうすれば、絶対にわたしのカラダに海人は夢中になる、、、
キスだって、フェラだって全部自信がある、、、
よし、声をかけよう、、、
「おい雫、一緒に帰ろうぜ、、、」
いきなり純平が入ってきて、躊躇いもなく声をかけてきた。
その横柄な態度に残っていたクラスメイト達が思わず息を呑む。
しかしそんな雰囲気をものともせずに純平が近づいてくる。
どうして、、、タイミングが悪すぎる、、、
しかも、、、学校では馴れ馴れしくしないという約束だったはずだ、、、
「純平、、、くん、、、学校では、、、」
「何言ってるんだ、、、京野とは別れたんだろう、、、俺はコソコソやるのは嫌いなんだよ、、、」
えっ、、、ウソだろう、、、
クラスメイト達がざわつき見つめてくる。
海人達も、、、
イヤだ、、、こんなの、、、
「昨日、お前、言ってたよな、、、これからは俺と付き合うって、、、」
「そんなこと、、、言ってない、、、」
蚊の泣く様な小さな声しか出ない、、、
海人に昨日も純平に逢ってたこと、知られちゃうよ、、、
「そうかな?でもそのあと、俺達シタよな、、、あれは付き合うということだろう?」
雫は昨日もヤツに逢ったのか、、、
そして抱かれたのか、、、
あんなことがあったのに、、、
千里と目を合わせる。
雫はやはりそんなオンナだったんだな、、、
雫は黙り込み俯いてしまった。
「おい滝上、ここはお前のクラスじゃないぞ、、、それに人の彼女に適当なこと言って、チョッカイ出すな、、、」
同じバスケ部の浜中が詰め寄って行く。
滝上よりひと回りガタイがよく、厳つい顔をした男だ。
迫力がある。
「おお、補欠の浜中くんか、、、お前には関係無い、引っ込んでろ!」
怯むことなく挑発する。
「なんだと!」
「雫は京野より俺を選んだんだよ、、、初めても俺がもらった、、、無理矢理じゃないぜ、、、雫から誘ってきたんだ、、、誰かみたいな中古品じゃなくて新品だったから全部俺が仕込んでやった、、、補欠のお古と違って最高の仕上がりだぜ、、、感度良好のいいオンナにしてやった、、、お前や京野には一生縁のないエロいオンナにな、、、」
「このクズ野郎が!」
「やるのか、この補欠野郎!」
掴み合う二人を海人達男子が引き離す。
「やめろ、二人とも!」
二人とも憎しみを込めた瞳で睨み合う。
いたたまれなくなった雫がカバンを持って逃げる様に教室をあとにする。
「待てよ、雫!」
純平が後を追う。
まるで台風が過ぎ去ったあとの様な静けさ、、、
気まずい雰囲気が漂う中、言葉少なにそれぞれが教室をあとにする。
「浜中、俺のために悪かったな、、、」
「そんなことはない、、、これは俺自身の問題だ、、、けど、お前、、、本当に池上と別れたのか?」
「ああ、そうだ、別れたよ、、、」
「でも、あんな仲良かったのに、、、いや、すまん、、、」
「雫にとってはヤツの方が良かったんだろうな、、、俺は大丈夫だ、心配するな、、、」
「けど、、、あの野郎、、、」
思わず肩に手をやった。
分かってる、厳つい男だが、心根は優しくいいヤツな
のだ。
つづく
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