二学期が始まるとジェフが転校してきた。
母は日本人だが父親はアメリカ国籍で黒人だった。
小学生まで日本で育ち父親と共に日本語は堪能だ。
その後アメリカに渡っていたが、またも父親の仕事の都合で半年だけ日本に滞在するらしい。
ジェフは190を越える長身、逞しい身体付きで迫力があり、とても同い年には見えなかった。
けれど整った顔立ちと人懐っこい性格で皆と打ち解けるようになっていた。
そしてジェフの外見や雰囲気から漂うセックスアピールが女子生徒達からの視線を集めていた。
「よう、陸、、、」
「おう、ジェフ、、、」
二人は不思議に気が合い、仲が良かった。
「相変わらず奈々と一緒だな、、、」
「当たり前でしょう、そんなの、、、ねえ、陸、、、」
奈々はもう以前に戻ったつもりでいる。
確かにしていることは恋人と変わりがない。
デートをしてセックスをする。
相性もいい、、、
奈々は脇目も振らず陸一筋に尽くしてくれる。
でも陸にはまだ全てを受け入れられない何かを感じていた。
奈々は初めジェフに対して壁を築くっていた。
何となく怖い気がすると言っていた。
その外見もあったのだろう、、、
陸を通して接しているうちに見かけと違い穏やかななジェフに次第に心をゆるすようになった。
今では友人として話が出来る関係だ。
そうしてしばらく過ぎた頃、二人でいるときジェフが尋ねてきた。
てっきり二人は恋人同士と思っていたのに違うのかと。
陸は正直に答えた。
以前はそうだったが、あることがあって離れていた。
まだ正式に恋人に戻ったわけではない。
もう少し考えてから結論を出すつもりだ。
いずれにせよ大切な幼馴染みには違いがない。
陸はそうジェフに告げた。
「そうか、、、」
ジェフは深く追求はしてこなかった。
だがその自らの経験の多さから何かを察しているようだった。
そんなある日、奈々がジェフの家族と食事をすることになったと言ってきた。
ジェフの父親のアルが奈々の父と仕事上の繋がりが出来たことで家族同士、一度食事でもという話しになったようだ。
「ねえ、陸も来るでしょう?」
「えっ、俺が、、、遠慮しておくよ、、、」
「ええっ、、、どうして?」
「どうしてって、、、家族同士なのに、、、俺は部外者だし、いたらヘンだろう?」
「そんなことないと思うけど、、、」
「とにかく今回は遠慮するよ、、、」
奈々は渋々ながら承諾した。
美子とはほのかと付き合い始めたときに、お互い納得の上で関係を終わらせていた。
そして今、奈々との関係が戻りつつあることも知っている。
きっと美子はそれを悦んでいるはずだ。
だからこそ美子と逢うことは気がひける。
美子のことは今でも好きだ。
傷ついた自分を慰めてくれて、自信も与えてくれた恩人だ。
今は出来るだけ逢わない方がいい、、、
つづく
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