その日、和宏が帰宅して夕食の席に着くと娘の奈々がいない。
妻に尋ねると夕方、陸の家に行ったまま帰ってこないということだった。
それなら心配無いと食事を始める。
しばらくして美子のスマホがなった。
「あら、隣の瞳さんだわ、、、」
そして電話に出た美子の顔色が見る見るうちに変わっていった。
「そんな、、、、そんなこと、、あるはずが、、、、、分かりました、本当に申し訳ございません、、すぐにお伺いします、、、」
「どうしたんだ?何かあったのか?」
ただならぬ妻の様子に和宏が尋ねる。
「二人がケンカしてるって、、、」
「ケンカって、、、理由は?」
「奈々が、、、浮気したんだって、、、陸君が怒って、、、奈々が泣いて謝って、、、取り乱してるみたい、、、」
「まさか、、、奈々がそんなこと、、、」
娘が陸に夢中だっていうことは和宏も感じていた、、、
「わたしだって、信じられない、、、とにかく行ってくる、、、」
「俺も行く、、、」
あの奈々が浮気だなんて、、、
どうしても信じられない、、、何をしたんだ?
他の男とデートしたのか?
まさか、、、
それ以上のことを、、、いや、娘に限ってそんなことはありえない、、、
二人は隣家へと急いだ。
玄関はご主人の道夫が開けてくれた。
案内されたのは陸の部屋だった。
ベッドに腰掛けた奈々が両手で顔を覆いながら泣いていた。
「ごめんなさい、、、陸、わたしバカだった、、、ごめんなさい、、、」
ひたすら謝罪を繰り返しながらシャクリあげる奈々の肩を抱くようにして瞳が横に座っている。
そんな瞳に頭を下げて美子が入れ替わる。
「わあああぁぁぁ、お母さん、わたし、、、陸に酷いことした、、、あああぁぁ、、ごめんなさい、、、」
美子が泣き続ける奈々の背中を撫でる。
陸は怒ってるというよりも辛そうな顔をして、こちらも涙を流していた。
「陸君、、、何があったんだ?すまないけど、話してくれないか?」
「おじさん、、、」
言いづらそうだ、、、
やはり、、、そういうことなのか、、、
つづく
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