夏休みももうすぐ終わる。
奈々は勉強の息抜きに近所の公園を散歩した。
緑豊かなかなり大きな公園だ。
気分転換にはもってこいの場所。
ふと人通りの無い外れにあるベンチで話し込んでいるカップルが目についた。
男は陸だった。
あれから、何とか会話を交わすまでにはなっていたが、以前のようには戻れていない、、、
当たり前だよ、、、
わたしがあんな事をしてしまったのだから、、、
でも頑張るしかない。
いつか、、、わたしに振り向いて欲しい、、、
相手の女性は、、、あれは山吹さんだよね、、、
でもどうして二人が、、、
山吹ほのかは学年一と言われるほどの美人で、スタイルもモデルなみだ。
大人びた雰囲気で物静か、、、
男子にはメチャクチャ人気がある。
でも何度告白されてもにべもなく断られているという噂だった。
そんなほのかが何か必死になって陸に訴えかけている。
「お願い、そんなこと言わないで、、、彼とは別れる、、、もう逢わないから、、、」
「もう遅いよ、、、他のヤツともセックスしてるなんて、、、俺にはもう無理だ、、、彼とやり直してくれ、、、」
「いやよ、、、陸の方が好き、、、彼とは嫌々シテただけ、、、陸の方がカッコいいし、セックスだったずっと気持ちいい、、、」
セックスって、、、陸は、、、山吹さんと、、、シタの、、、
「ほのかはそんなことで男を選ぶのか、、、もっと大切なものがあるだろう?そんなオンナだったなんて思ってなかったよ、、、とにかくほのかとはやって行けない、、、今日限り別れる、、、」
「そんなの、イヤだぁ!」
あの山吹さんが取り乱してる。
陸が立ち上がると泣いて縋ろうとしていた。
たまらず奈々が声をかけた。
「二人とも、、、こんなところで何してるの、、、」
二人はまるで気付いてなかった奈々に視線を向けた。
「奈々、、、どうして、、ここに、、、」
「散歩してたの、、、そしたら二人がいたから、、、」
ほのかは涙を拭うと奈々を睨みつけ、陸に声をかけた。
「わたし、陸のこと絶対に諦めないから、、、」
ほのかは踵を返し、駆けるように去って行った。
陸は奈々に話しかけることなく、憮然とした表情で公園をあとにした。
奈々は陸のあとを追う。
「陸、どういうことなの?山吹さんと付き合っていたの?」
「お前には関係ない、、、」
突き放されたが奈々は怯まない。
陸の後ろをついていく。
陸が家に入っても構わず後を追う。
「勝手に入るな、、、」
「イヤだ、、、話を聞くまで離れない、、、」
陸が他の女の子と付き合ってた、、、セックスしてた、、、
頭の中をそれだけが渦巻いてる。
イヤだ、、、そんなこと、、、
陸が山吹とキスをして、、、求め合って、、、裸で抱き合って、、、激しくセックスして、、、
胸が苦しいよ、、、
辛すぎるよ、、、
初めてハッキリとわかった、、、
わたしがあの男とシタとき、こんな苦しみを陸に与えたんだと、、、
あのオンナのカラダの中で陸は気持ちよくなったんだ、、、
イヤだ、イヤだ、、、絶対にイヤだ!
陸の部屋に上がり込む。
家には陸以外はいないようだ。
陸はベッドに腰掛けた。
「部屋にまで上がり込みやがって、、、」
「話してくれるまで帰らないから!」
「なにキレてるんだよ、、、もう分かったよ、、、話したらすぐに出ていけよ、、、」
奈々は黙って頷いた。
夏休みの前にほのかに告白された。
初めは断ったけど、しつこいぐらいに真剣だったほのかにほだされ付き合うことにした。
ところがほのかには幼馴染みの恋人がいて中学時代から交際していた。
「それって、、、二股ということ、、、」
奈々が陸の隣に腰を下ろした。
「そういうことだな、、、誰かと一緒だよ、、、」
陸の冷たい視線、、、
返す言葉がない、、、
でもわたしは陸だけが好きだった。
セックスに溺れたけど、、、本当に好きなのは陸だった。
「まあ、お前と違って、、初めては幼馴染みとシテたけどな、、、」
山吹さんとやっぱりセックスしたんだ、、、
陸の初めてが、、、
悔しい、、、
でも全部自分が悪い、、、
「ごめんなさい、、、わたし、、、初めては全部、陸と決めてたのに、、、後悔してる、、、」
「今更遅いよ、、、新しい彼氏が出来たら、もうあんなことするなよ、、、」
そんなこと言わないで、、、
両手で顔を覆い、嗚咽が漏れる。
涙が溢れて止まらない、、、
つづく
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