娘の奈々が2年生になった。
学業に力を入れ成績もトップクラス。
陸君に認められたくて必死に頑張っている。
まだ成果は見えないようだが、日増しに元気を取り戻しつつある。
それに比べてわたしは、、、
娘を含め周りには以前と変わらない仲の良い夫婦を演じながら、実際は完全な仮面夫婦。
それも全て自分がしでかしたことのせい、、、
分かってるけど寂しい気持ちがつのる。
美子はその日朝から買い物に出かけた。
昼前に本屋に立ち寄ると雑誌を読んでいる陸を見かけた。
娘の奈々とはもちろん以前の関係には戻れてないが、少しは話してくれるようになったと嬉しそうに言っていた。
そういえば今日は休校日で奈々は図書館で夕方まで勉強してくると聞いてたけど、、、
陸に声をかけ挨拶を交わす。
陸は驚いたようだが相変わらずの礼儀正しい態度だった。
整った優しげな顔立ち、細身の身体付きだが背が伸びたようだ。
そして久しぶりに会ったせいか大人びた気がする。
本当にこんな男の子があのまま奈々の彼氏でいてくれたら、、、
自分もそうだけど、娘もなんてバカなことをしたんだろう、、、
美子は陸を食事に誘った。
学校のことなど楽しく話をした。
本当にいい子だわ、、、
陸君だったら、、、安心して奈々を任せられるのに、、、
まだ一途に陸を想い続ける娘のために母親として何とかしたやりたい、、、
「陸くん、、、奈々はすごく後悔してる、、、陸くんに赦してもらえるように一生懸命に頑張って、、、陸くん、、、奈々とやり直すのは無理かな?」
思わずきいてしまう。
こんな機会はそんなに無い。
「、、、無理です、、、」
「やっぱり、赦せない?」
「、、、それもあります、、、それに、、、」
何かを陸が言いよどんでいる。
「なに?おばさん知りたい、、、」
「でも、、、」
「誰にも言わない、、、教えて、お願い、、、」
「俺、、、あんなふうに、、、奈々のこと、、、する自信がなくて、、、」
あっ、、、動画のことか、、、わたしは見て無いけど、、、
初めてのときとか、、、他のもあったらしいけど、、、
「そう、、なの?」
「あの奈々があんなに乱れて、、、気持ち良さそうに、、、叫んで、、、」
陸が苦しんでいるのがわかる。
奈々のことを心から嫌ってはいないことも、、、
だから余計に辛い思いをしてる、、、
そして女の経験が無いから自分への自信が持てないでいる。
つづく
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