それでもアキナが諦める気配も見せずに、しきりに接近を図ってくる。
わたしが間違っていた。
心を入れ替えるからやり直したい。
反省した表情を見せながら、しきりに復縁を迫ってくる。
もちろんハルキにはそんな気持ちは毛頭ない。
あんな裏切りをした女を赦す気になるはずがない。
あんなに好きだったのに、今では見るだけで気持ちが悪くなる。
ハルキは口もきかず、アキナを避けるため休憩時間は生徒会室で過ごすようになった。
ほとんど誰もいないその場所が心の休まる憩いの場になっていた。
何日か過ぎてアキナと仲良しの上地サエコが放課後に声をかけてきた。
後ろに後藤ミユを従えて、、、
あのとき一緒に遊びにいった二人の女子だ。
話があるとひと気のない裏庭へと移動する。
どうせアキナとのことだろう、、、
「霧野君、あまりにも酷いんじゃない?」
「どういうこと?」
「アキナが霧野君のこと、、、一途に想ってるの知ってるでしょう?」
はぁ?どこが?
「ふーん、、、一途、、ねえ、、、」
「それなのに、たった一度、デートをドタキャンしただけで別れるだなんて、、冷た過ぎるよ、、、」
アイツ、、、自分に都合の悪いことは話してないんだ、、、まぁ、それも当然か、、、
「黙ってないで、何とか言いなさいよ、、、」
「上地さん、、、アイツがその日、何してたか知ってる?」
「えっ、、、大事な急用ができたんでしょう?」
「男と逢った、、、他の男と、、、」
「そんなの、、、きっと大切な話があったのよ、、、」
「違うよ、、、話しただけじゃない、、、二人でホテルに入った、、、浮気だよ、、、」
「ウソだよ、、、そんなこと、あるはずない、、、」
「ちょっと待って、、、霧野君、証拠はあるの?」
初めてミユが口を挟んでくる。
「あるに決まってる、、、」
「じゃあそれを見せて、、、」
「君達には、、、見せたくない、、、」
「ほらやっぱり、そんなのないんだ、、、ウソにきまってる、、、」
サエコがハルキを睨んで言ってくる。
このアキナのコバンザメが、、、
それにしても面倒なことになった、、、
もう終ったことだし、どうでもいいと思ってはいたが、アキナの都合の良いように事実を捻じ曲げられるのは我慢がならない。
「しょうが無いな、、、上地さんが見せろと言ったんだからな、、、忘れないでくれよ、、、」
ハルキは動画を見せた。
「何これ、、、」
「いやだ、、、」
二人は顔を赤くして見ていた。
俺、、、知らないからな、、、お前達が望んだことだ、、、
「これ、、、諸橋だよね、、、二人とも、裸じゃん、、、」
「そうだね、、、間違いなくユウトだよ、、、あの二人、まだ続いていたんだ、、、」
さすがにボンバンは見せられない、、、
例の会話だけにしておいた、、、
「もう、いいだろう?俺をドタキャンした大事な用事はこれだったということさ、、、」
「酷い、、ね、、、」
「これは、、無理だよ、、、」
「そういうことだから、、、もういいだろう、、、」
「本当にゴメン、、、」
「こんなこと、知らなかった、、、ゴメンなさい、、、」
二人は謝罪の言葉を口にしてその場を去っていく。
しばらくして戻ろうとしていたらミユが一人引き返して来た。
「霧野君、、、これからもわたしと友達でいてくれる?」
「もちろん、、、」
「良かった、、、」
そう言うといきなりハルキの手を両手で握ってきた。
「わたし、、、ハルキ君のためだったら、何でもするから、、、遠慮しないで言ってちょうだいね、、、」
頬を染めて見つめてくる。
「分かった、、、ありがとう、、、」
嬉しそうに笑みを浮かべたミユが慌てて両手を離す。
「あっ、ゴメン、、、わたし、つい、、、」
「ううん、、、、」
「わたし、、、行くね、、、」
「うん、、、じゃあな、、、」
ミユが恥かしそうに駆けて行った。
なんだか意味深な言葉だったけど、、、
ミユはアキナやサエコと違って、素直で優しく思いやりのある女の子だ、、、
それに可愛い顔をしてるし、、、小柄だけどオンナらしい身体つきで色気もある、、、
ミユ本当にいい子だからな、、、
まあ、深い意味はないだろう、、、
ハルキはそう思い直した。
つづく
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