ケントはミズキと同い年の母方の従兄弟にあたる。
ダイキも何度か顔を合わせたことがある。
男としては小柄だが、目を見張るほど整った顔立ちをしており、アイドル顔負けの美青年だった。
ただコミュ障害があり、会社勤めが続かず、今はフリーターという状況だ。
そのくせプライドがやたらに高く、人を見下した態度を取る。
ダイキは余り良い印象をいだいてはいない。
そして、ミズキの両親も以前から、何か毛嫌いしている感じを受けてはいたが、、、
「カフェじゃないだろう?」
突き刺すような父親の言葉、、、
その声には怒りが込めらていた。
「えっ、、、なんのこと、、、」
黙ってスマホの動画を見せつける。
そこには楽しげに腕を組み、ホテルに入っていくミズキとケントが映っていた。
コユキが雇った調査員から送られてきたものだ。
「これは、、、違うの、、、ホテルの、、、中にあるカフェに行っただけ、、、」
「このホテルにカフェはない、、、それにラブホテルじゃないか?しかも腕まで組んで、、、ウソをつくんじゃない!」
「それは、、、ゴメンなさい、、、わたし、急に具合が悪くなっちゃって、ケントが心配して休んでいこうって、、、でもそれだけ、、、何もしてないからね、、、ダイキ、本当だよ、、、ヘンに勘ぐられたくなかったから、、、ウソついてゴメンね、、、」
ダイキは黙ったまま、ミズキを見ようともしない。
「じゃあ、これはなんだ?」
続けて動画を見せられる。
そこにはホテルを出て抱き合う二人が、、、
そして、長い口づけ、、、
互い身体を弄り合いながら、、、
ほんの1時間前の出来事だ、、、
「ヒッ、、、違う、、、これは、無理やり、、、いきなりケントにキスされて、、、イヤだから、やめてって、、、それなのに離してくれなくて、、、逃げられなくて、、、」
「そんなふうには見えないぞ!」
父親の怒りは頂点に達しようとしていた。
「だって、、、従兄弟だし、親戚だから、、、じゃけんにしたらいけないと思って、、、」
「アイツとは距離を置けと言ったはずだ、、、お前はもうすぐ嫁にいくというのに、、、他の男と、しかもこんな男といかがわしいホテルに入るだなんて、、、しかもキスまで、、、お前は何を考えてるんだ!」
「でも、、、分かった、、、もう二度と二人では逢わないから、、、わたし、久しぶりに逢って油断してた、、、本当にゴメンなさい、、、ダイキ、、、信じて、、、わたしは、、、」
ダイキは一言も口をきくこともなく、ミズキに報告書を手渡した。
「何、、、これ?」
震える手で中身を見る。
そこには二人の最近の密会が記されいた。
二日前もラブホに入っていた。
今月になって四回も逢っている。
必ずホテルで過ごしている。
久しぶりだなんて嘘っぱち、、、公園で熱烈なキスをしている写真もあった。
「これ、、、ダイキが、、、調べさせたの?」
「そうだよ、、、念のために、、、」
コユキが調べさせたとは言えない、、、
「ひどいじゃない、、、スパイみたいなマネして、、、わたしのこと、信じて無かったんだ!?」
完全に逆ギレだ、、、
「そうかも知れない、、、でも、ミズキ、さんは、、、実際にこんなことしてたよね、、、」
ミズキさんって、、、ダイキの心が離れていっちゃう、、、だめだよ、、、そんなの、、、
「それは、、、でも信じて、、、ふざけてキスしただけ、、、それ以上のことは絶対にしてない、、、」
「さっきは無理矢理と言ってたけど、、、俺は他の男とふざけてキスしたり、ホテルに行くような女性とは結婚出来ないよ、、、」
ミズキは地のの引いた顔をして、それでも食い下がってきた。
つづく
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