コユキは二年になった。
学校では事件の動揺もようやく収まりをみせ、平穏な日々が戻りつつあった。
ダイキも大学生になっているはずだ。
どこの大学に入ったのだろう?
元気でいるのかな、、、
コユキはひたすらダイキを待ち続けていた。
5月の連休が過ぎた頃、ユキナは久しぶりに都心に出かけ、学生時代の友人と逢っていた。
五年ぶりの再会とあって今日は夜まで、つもる話でもしようと盛り上がっていたのに、友人の子供が学校で発熱したと連絡が入ってきた。
友人はゴメンね、また日を改めてと詫びを入れながらイソイソと帰って行った。
せっかく楽しみにしてたのにな、、、でも母親だからしょうが無いよね、、、
残念だったけど、少し早めの昼食を取って家に帰るつもりでいた。
「じゃあな、、、」
「おう、、ダイキ、また明日な、、、」
すぐそばに学生二人が立っていた、、、
ダイキって、、、まさか、、、
目を凝らす、、、間違いない、、、あのダイキだった、、、
一人になったダイキにすかさず声をかける。
「ダイキ君!」
「えっ?ユキナさん、、、」
「やっぱり、ダイキ君だ、、、」
「どうして、、、ユキナさんがこんなところに、、、」
「さつきまで友達と逢っていたの、、、わたしこそダイキ君に逢えるなんて、、、でも嬉しいわ、、、元気そうだね?」
「ええ、何とか、、、ユキナさんも元気そうで、何よりです、、、」
簡単な挨拶を交わす。
しかし、ここで別れたりしたら、もう逢う機会は無いかも知れない、、、
ユキナのためにも、いろいろと話をしたい。
カフェに誘うと、一瞬の躊躇はあったが応じてくれた。
とりあえずは当たり障りのない話をする。
やはりダイキは大学生になっていた。
近くにある有名大学だ。
おめでとうと言いながら、改めてダイキを見つめる。
髪は黒くなって以前よりは伸ばしていた。
爽やかな整った顔立ち、、、より大人びた気がする、、、
うん、やっぱり、、、いい男だわ、、、
それに、、、すごくセクシー、、、
きっと大学でも、、、モテているんだろうな、、、
何となく嫉妬してしまい、戸惑う、、、
娘の代わりと言い訳する。
ダイキは朝倉の身に起こった出来事な知っていた。
きっと誰かに聞いたのだろう、、、
そしていよいよ本題に入る、、、
「ダイキ君、、、コユキのこと気にならない?」
「あっ、、、そうですね、、、元気ですか?」
「元気じゃないわ、、、分かってるでしょう?病気じゃないよ、、、ダイキ君のことずっと待ってる、、、ダイキ君に赦して貰おうと真面目にして、勉強も頑張ってる、、、」
「そう、、、ですか、、、」
「それ、、、だけ?」
「すいません、、コユキのことは、、、忘れました、、、」
そうとは思っていたが、、、
やはりショックだった、、、
でも簡単には引き下がれない、、、
「話は聞いたわ、、、コユキは本当にバカなことをしてしまいました、、、わたしも謝ります、、、ダイキ君を傷つけてごめんなさい、、、でもコユキも心から反省して
るの、生まれ変わってやり直したいって、わたしが言うのも何だけど、必死に頑張ってるわ、、、だから、連絡だけでも、、、してくれないかな?」
「それは出来ません、、、」
「どうして?彼女が居るから?」
「そんなのいません、、、そんな気になんかなれません、、、」
「それならどうして?恋人に戻ってくれなんて言わないわ、、、せめて友達に、、、」
「ムリです、、、絶対に、、、」
余りに冷たい拒絶だったが、娘のためにも引き下がることは出来ない、、、
「どうして、、、他にも、、何かあるの?」
もしかして妊娠のこと、、、
まさか、、、それは絶対にない、、はずだ、、、
「それは言えません、、、とにかくコユキとは終ったんです、、、」
ダイキは頑なにコユキを拒み続けた、、、
まるで埒が明かず、店を出る。
ダイキはコユキの裏切りへの怒りだけでなく、それ以上に何か強いわだかまりを感じているようだ、、、
それはいったい何だろう?
娘と朝倉のセックスを直に聞いたことが関係してるのだろうか?
きっとやりきれないほどに辛かったと思う、、、
愛している女が他の男の腕の中で歓喜の叫び声をあげる、、、
もしかしたら、、、
その時のコユキの狂態に、、、情事に溺れてしまった娘に、、、男としての自信を失ってしまったのかも知れない、、、
きっとそうだ、、、
コユキはそう思い込んだ。
あんなに好き合っていた二人だもの、、、
何とかきっかけを作ってあげたい、、、
わたしに出来ることなら何でもする覚悟はある。
それが娘の償いになるのなら、、、
それが常識から外れていることでも、、、
並んで歩くダイキの顔を盗み見る。
ドキリとする、、、やはり男ぽくなった、、、
正直、ダイキの顔、、、すごく好き、、、
それに本当はそれ以外も、、、
本当に娘とお似合いだと思ってた、、、
でも、、、モロ、、、わたしのタイプ、、、
性格だって、、、
引き締まった若いカラダ、、、
わたしが、、、男としての自信を取り戻してあげたい、、、
それには、、、
カラダが熱くなる、、、
でも、、、そんな、、、こと、、、
つづく
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