ノリコがどんどんキレイになっていく。
以前の派手目のメイクは影を潜め、ナチュラルな感じが悔しいくらい様になっている。
肌も艷やかで、いつも余裕すら感じさせるほど穏やかな雰囲気だ。
わたしには分かる。
あれは満たされているオンナ、、、
以前のわたしも、、、そうだった、、、
「ちょっといい?」
男子が声をかけてくる。
ダイキと上手くいってないことを感じ取った男たちから、声をかけられることがこの頃多い。
もちろん相手になどしない。
とりあえず男を見る、、、
かなりカッコいい、、、
見たことがある、、、隣のクラスの一番のイケメンだ、、、
よくわたしのことをチラチラ見てた。
「なん、、、ですか?」
「えっ?あっ、ゴメン、、、その、小川さんに話があって、、、」
わたしじゃなかったんだ、、、少しというか、かなりハズい、、、わたしって、、、少し自意識過剰みたい、、、
改めて男がノリコに話しかける。
「小川さん、、、ちょっと二人で話せないかな?」
その口調にはイケメンの余裕を感じさせるものがあった。
自分がイケてると思い込んでいるのが鼻につく。
明らかに告ろうとしていて、もう上手くいくと思い込んでいる。
本当にそうなればいいのに、、、
アンタにはこの程度の男がお似合いだ、、、
「ここで話してもらえませんか?」
「頼むよ、、、すぐに済むから、、、」
「じゃあ、ムリです、、、」
「えっ?ああ、分かった、ここでいいよ、、、」
「なんですか?話って、、、」
「あの、、、今度二人で遊びに行かないか?俺、小川さんといろいろ話がしたいんだ、、、」
「それはできません、、、わたし、彼氏がいますから、、、」
男はやはりかなり自信があったのだろう、、、
ハッキリと断わられ、ショックを受けて立ちつくしていた。
その態度にはある意味、熱意がまるで感じられず、ただ簡単にオンナなんか落とせるという驕りがあったことを思わせる。
どこにでもいるクズ男だ、、、
おそらく最近キレイになったオッパイのデカイ女とセックスしたいというゲスな考えだったのだろう、、、
見た目はいいと思った自分が恥ずかしい、、、
「あの、、、用事が済んだなら出て行ってもらえませんか?あなたのクラスじゃありませんよ、、、」
男はふてくされた顔して引上げて行った。
少しだけノリコを見直した。
以前の彼女だったら、おそらく付き合って、簡単にカラダをゆるしていたと思う。
それにしても、、、彼氏って、、、多分、ダイキのことだよね、、、まさか、、、本当に、、、
その日はもう何も頭に入って来なかった。
授業も人の話も、、、
本当にダイキとノリコが、、、付き合ってるの?
抱き合って、、、キスをして、、、
裸になって、、、セックスして、、、
思いきり愛し合う二人が浮かんでくる、、、
イヤだよ、そんなの、、、
頭がおかしくなりそうだ、、、
イヤだ、、、いやだ、、、嫌だ、、、絶対にイヤだ、、、
息が出来ないくらい苦しくなる、、、
涙がにじんでくる、、、
わたしが朝倉と関係してると知ったときのダイキの気持ちが痛いほど分かった。
ダイキはずっとこんな辛い思いしてたんだ、、、
ダイキはノリコを抱きながらわたしよりずっといいと言っているかも知れない、、、
わたしがそうしたように、、、
いやだよ、、、わたしダイキの一番でいたいよ、、、
こんなに辛いことだなんて思ってもみなかった。
改めて自分の罪深さを知る、、、
そして報いを受ける、、、
ノリコは今、輝いている。
夏休み前のわたしのように、、、
そしてわたしのいるべき場所にノリコがいる、、、
悔しくて、苦しくて、、、すごく辛い、、、
でも自分が全部招いてしまったこと、、、
二人は間違いなくセックスしてる、、、
あのノリコがダイキの逞しい腕の中で愛を囁き合って、、、あの日、初めてダイキに抱かれて本当のオンナの歓びを知ったわたしみたいに、今度はノリコが、その歓びを、、、
わたしにはそれを責める資格などない、、、
わたしは誰にも渡してはいけないダイキを裏切り他の男との快楽に溺れた。
本当はダイキの方がずっと気持ちがいいのに男におもねるように、わたしをもっと愛しててもらいたくてクズ男に偽りの言葉を何度も口にした。
あのとき、なぜ好きでも無い男に愛されたいと思ったのか、、、未だに分からない、、、
それをダイキに聞かれてしまった。
ダイキはだからわたしが何を言っても信じてくれない、、、そんなこと当たり前だ、、、
わたしはもっと報いを受けなければならない、、、
いつかきっとダイキは戻ってきてくれる、、、
そう思わなければ、、、わたしは生きていけない、、、
つづく
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