病室を出ていった冴子は、数分でまた戻ってきた。
手には花柄のハンカチらしき物が、柔らかく握られている。
冴子 お布団、取るわね…
そっと布団が足元まで捲り取られ、入院患者が着せられている煩わしい物を結び留めている、その紐を解いてしまった。
新入社員:赤星 あの……何を?
冴子 黙ってて………
言葉を吐くことも許されない雰囲気に、口を閉ざすしかなく……。
ふんどし状の物も外されてしまった。
これにはさすがに恥ずかしくて、口を開きかけたときだった。
ハンカチでベニスを拭いだしたのだ。
突然のことに驚いて言葉が出ない。
黙々とその作業が続けられて若い彼のペニスは、言うまでもなく逞しい姿に変貌していた。
その様子を黙って見ていた彼は、衝撃を受けた。
一度チラリと彼を見た冴子は片手で髪の毛を抑えて屈み込むと、そのまま口を開けて勃起したモノを咥え込んだのだ。
あの綺麗な上司が………
信じられないでいる彼の下半身からは、確かな温もりが伝わっていた。
新入社員:赤星 あの……うっ……あっ……
冴子は聞く耳を持たず、やはり黙々と頭を上下に動かし続けた。
禁欲的な生活が続く赤星には現実感がなく、それなのに煽情的な光景が嫌でも享受を迫る。
気持ちの整理が付かずに、高まる快感に狼狽えるしかない。
冴子の唇が、官能的な感覚を呼び起こす。
我慢なんかできなかった。
あっ……っと思ったときには、冴子の口の中に射精をしていた。
冴子は彼を振り返り、そのまま黙って飲み込むのを確かに見てしまった。
冴子 こんなに濃いの……初めてよ……
言いながら冴子は白いプリーツスカート手を入れ、やはり白いショーツを足から抜きとった。
そのままベッドに上がると彼の身体を跨いで、下半身に自分を合わせる。
ここまできて、彼を見やる。
冴子 恥ずかしいから、見ないで…
言われたが彼は、そこから目が釘付けだった。
黒々としたひとつの塊が左右に別れ、自分のモノを飲み込んでいく一部始終を見ていた。
何ともいえない感覚に追って温もりに包まれる。
切なげな顔を見せる女上司を見て、どうしようもなく淫欲が掻き立てられた。
冴子 いい?……このことは生涯、黙ってて。
彼女は恥ずかしそうに重なる下半身をスカートで隠し、彼を見下ろしながら腰を揺すり始めた。
冴子 足は痛くない?………こっちを見ないで…
自分が着ていた紺色のジャケットを脱ぐと、彼の顔に被せる。
視界が奪われると膣の中を掻き分ける感覚だけが、異常にリアルに伝わってくる。
大人の女の確かな息遣いが淫らな色に染まり、耳に届く。
自由が効かないこの身体が、やきもきする。
これがこの人の中か………凄い…。
気を使って緩やかに動く腰が、彼女の良さをたっぷり伝えてくれる。
彼女の脚に手を置いて、柔肌を撫でずにはいられない。
まるで拷問のような快感に、呼吸が粗くなった。
ジャケットを剥がされると、苦しげな表情の彼女の顔が目の前にあった。
声を出されるとでも思ったのか、口を手で塞がれる。
頭がおかしくなりそうだった。
いや実際、おかしくなっていた。
上司という概念は意識にはなく、スカートからブラウスを引き抜いてフラジャーを鷲掴みにする。
その柔らかさをよく確かめる前に押し上げて、むしゃぶりついていた。
恐れおののきながら羨望の眼差しで見ていたあの上司は彼の顔の横に両手をつき、軽い痛みと快感に声なき声をあげた。
冴子の掠れ声は彼の舌先が乳首を弾くのと比例して、その喜びを舌の持ち主の耳に伝える。
夜風に晒して空気に撫でられる物足りなさを覚えるたびに、この感触を夢見ていた。
舌にこねくり回され、突かれて……強く吸われて痛みを覚え、弾かれてその甘さに酔う。
堪らなくて、冴子は自分の色情に従った。
彼の頭をあのときのように抱きしめて、入口付近にきたペニスを逃さないように包み込み、身を起こして深くで味わう。
目を閉じて意識をすれば、その形のシルエットを包み込んでいることが脳裏に浮かぶ。
その快楽がさらに官能の奥へと誘った。
粘膜の壁に握られる錯覚に陥り、入口以外の締められる感覚を初めて知った。
首を斜め横に傾けて恍惚の世界で腰だけが、波打つような動きを続けている。
夢のような世界が、終わりを告げようとしていた。
ペースを早められて射精ができたなら、どれだけ幸せだろう。
出そうで出すには至らないゆったりしたペースが、ある種の苦しみを与えてくる。
射精ができない苦しみは、そのまま女の冴子の喜びに結びつく。
オーガズムこそが女の望む快感の最高峰だと思うのは、射精のシステムがある男ならではの勘違いなのだ。
女はむしろオーガズムに至るまでの過程に、重点を置く。
少しづつ階段を登るように、あの日の脚立を上がるように高まりゆく快感に酔いたい、それが女であり冴子だった。
街中で揺れるノーブの胸を誰かに気づかれるかもしれない憔悴感、胸を曝け出して見られるかもしれない羞恥心、あの日、脚立の下できっと見られていた屈辱的な羞恥心…………淫欲が急上昇した。
高まる快感が体温を上げ、汗でブラウスが肌に張り付く。
男のどうしようもない男根が、悲鳴を上げる。
欲しかった狂喜が身体を満たしていく………。
久しぶりに子宮が男のエキスを吸い上げる、その快感に冴子は身体を震わせた………。
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