そして一ヶ月後、ユウトは大学から姿を消した。
ユウトの行方が分からないまま半年が過ぎた。
マキは学食にいた。
髪は後ろで一つに束ねられ、化粧も殆どせずに黒縁のメガネをかけている。
カラダのラインが出る服装は避け、胸も目立たないように下着でガードしていた。
いかにも地味で目立つことを避けた女子学生の出で立ちだ。
フリーになったマキに誘いをかけてくる男たちを遠ざけるための対策だった。
それでも声をかけてくる男はいる。
マキは最低限の受け答えで、その全てをはねつけた。そんなマキの頑なな態度に、同性の友人たちも次第に距離を置くようになり、殆どの日々を一人で過ごすようになっていった。
けれどもマキは少しもそれが苦痛ではなかった。
勉学により一層打ち込める。
それでもマキの成熟したカラダが疼きを覚え、耐えきれないときもある。
そんな夜はユウトを想って自分を慰めた。
ユウトのカラダを思い浮かべ、その名前を何度も呼びながら絶頂に身を委ねた。
食事をとるマキの後ろから話し声が聞こえてきた。
数人のグループの会話の中にユウトの名前を口にするのが耳にはいった。
思わず耳をそばだてる。
「宍道先輩、アメリカにいるらしいぞ、、、」
「やっぱり、、、そうなのか?」
アメリカって、、、そうか、、、目黒さん、それで、、、
何もかも繋がった、、、
「以前から教授に勧められていたのに、断っていたらしい、、、」
「ええっ、どうして?勿体ない、、、」
「どうやら婚約者がいたみたいで、、、彼女のそばに居たかったじゃないかって、、、」
そんなこと、、、少しも知らなかった、、、
ユウトはわたしを思って、言わなかったんだ、、、
目黒の言葉も初めて合点がいく。
わたしの為にユウトは自分を犠牲にしていた、、、
そんなことも知らないで、、、そんなユウトをわたしは、裏切ったんだ、、、
「それなら、、、どうして?」
「婚約がご破算になったらしい、、、彼女が浮気をして、、、」
「バカじゃないの、その女、、、先輩みたいなイケメンで優しい婚約者がいるのに、、、留学を断わるぐらい想われてたのに、、、」
「ねぇ、ところで、その浮気相手って、どんなヤツなの?」
「それがさ、、、確かに可愛い顔してるんだけど、クズなヤツで、、、宍道先輩の恋人を横取りしたって自慢しているらしい、、、」
「なにそれ、、、可愛い顔した男って、、、キモ、、、やってることクズじゃん、、、女も最悪だけど、、、」
「そのクズ男も見限られたらしくて、、、だから余計に言い触らしているそうだ、、、彼女のこと、オッパイだけの淫乱オンナだとか、中出し大好きなアバズレだとか、、、哀れなもんさ、、、」
つづく
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