「しばらくはユウトさんから離れていた方が良いと思いますよ、、、こんなことしても逆効果です、、、わたしにも心を開いてくれないんですから、、、、わたし、リクとは別れました、、、マキさん、何ならリクと付き合ってもいいんですよ、、、」
これは完全な宣戦布告だと感じた。
わたしにクズを押し付けて、ユウトをかすめ取るつもりだ。
「誰があんな男と、、、もう顔も見たく無い、、、」
「酷いですね、、、そんな男と浮気したくせに、、、それに隠そうとしても知ってるんですよ、わたし、、、」
「何を、、、?」
「またシタんでしょう?浮気セックス、、、誘われたって言ってましたよ、、、マキさん、凄かったって、、、」
あの男、、、そんなことを、、、
くされ切ってる、、、
「そんなのウソよ、、、」
「でもリクとまたシタんですよね?」
「、、、、、」
答えることが出来ない、、、いいや、答えたくない。
「だからおバカだって言うんです、、、浮気を続けながら、いくら謝ったって、許してくれるはずがないでしょう、、、」
「違う、、、あれは違う、、、もうしない、、、絶対にしな
い、、、」
「あ~あ、無理だと思うな、、、」
ナナミは席を立った。
「わたしは諦めませんから、、、先輩を絶対に振り向かせてみせます、、、自信も有ります、、、」
自信に満ちた澄んだ瞳、、、
真っすぐで、、そう、わたしみたいに汚れていない、、、
ナナミはその場を立ち去った。
夜ベッドに入ってもまるで眠れない。
別れたらこうなる事は分かっていた。
いろんな女がユウトに近づいてくる。
わたし程度の女など幾らでもいる。
目黒やナナミのような飛び抜けた美女もユウトを狙っている。
わたしなんて運が良かっただけ、、、
いろんな偶然が重なって、こんなわたしをユウトは愛してくれたのに、、、
それを当たり前のように感じるようになっていた。
普通に考えても、目黒やナナミを差し置いてわたしを選ぶはずがない、、、
もしあの二人がわたしより先にユウトと知り合っていたら、わたしの事など眼中になかっただろう、、、
今になってそれがハッキリと分かる。
それなのにわたしは取り返しのつかない過ちを犯した。
ユウトが愛してくれただけなのに、自分がそれだけの価値のあるいいオンナだと錯覚してしまっていた。
わたしはユウトにふさわしい、世界一幸せになる権利のあるオンナだといつしか思い込んでいた。
自分が嫌いな、そう、あのリクのような人間になっていた。
つづく
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